れおぱるレビュー

『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』

オススメ度 A

 

OP: A

ED: S

作画: C

わちゃわちゃ: B

 

あらすじ

 

放送部に所属する高校生、遠藤碧人と小林詩帆乃は、困惑していた。実況と解説を付けながらプレイしていた乙女ゲーム『マジカルに恋して』のメイン攻略キャラ・ジークヴァルトに、自分たちの“声”が聞こえていたから。「神々よ!エンドー様、と、コバヤシ様...とおっしゃるのでしょうか?」リアルとゲーム世界が交差する、ファンタジー・ラブストーリー開幕。

引用元:TVアニメ『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』

©恵ノ島すず・えいひ/KADOKAWA/ツンリゼ製作委員会2023

 

どうも!あぁ...そうだ...今日もリーゼロッテがかわいくて尊い...

れおぱるレビューです!!!

 

放送部に入部したばかりの遠藤くんは発声に伸び悩んでおり、それを見かねた小林さんがゲームをしながら実況をやってみることを勧める。

小林さんの解説付きでやり始めたゲームは、彼女が愛してやまない作品『マジカルに恋して』。

『まじこい』の良さを永遠と語る小林さんだが、どうしても許せないことがあるらしく、それは悪役令嬢・リーゼロッテが歩む結末がどのルートも悲しすぎるというもの。

そんな話をしながらプレイしていると何やらゲームの世界に声が届いているらしく...という物語。

 

悪役令嬢作品が増え出した近年、悪役令嬢自身に転生や憑依する形で破滅エンドを回避していくというフォーマットが主流でしたが、本作では現実世界からゲーム世界に干渉する形で破滅エンドを回避していくという全く新しい視点でスタートしていたので設定そのものに面白さを感じられました。

肝心のストーリー部分も設定の良さが遺憾無く発揮されているものばかりで新たなジャンルを開拓していく様子に立ち会えたような喜ばしい気持ちが持続していたので素晴らしい作品に出会えたなと心の底から感じられましたね。

 

ストーリー部分ですが、前述した通りまずは描く視点の良さが大前提としてあるので、『まじこい』のありきたりなストーリーも面白さに変換できていて非常によかったですね。

この物語の大きなテーマ、「リーゼロッテを救う」

それを達成する為には、結末を知る小林さんの助言の下ゲーム内の各キャラを動かしていく必要がありますが、表面上の問題だけをゲーム内キャラに伝え動かしてしまうと、小林さんが掲げる最高を超えた最高のハッピーエンドには辿り着けないので、まずはリーゼロッテの悪役令嬢ムーブを無効化していく作業から始まります。

悪役令嬢ムーブの無効化と聞くと何を言っているのか分かりませんが、簡単に言うと照れ隠しのためにツンデレのツンをリーゼロッテがこれでもかと発揮してくるので、その照れ隠しを婚約者であるジークやゲーム内主人公であるフィーネに理解させ、ツンを発動してきても反感を買わないような下地を作り上げるという問題の深いところを改善していく描写が物凄く良かった印象があります。

その悪役令嬢ムーブの無効化を行う事により、リーゼロッテがどれだけツンツンしていようともそこには、かわいい女の子とそれを今日も愛でる優しい人達しか残らないというとてつもなく幸せな空間が広がっていて、小林さんがリーゼロッテに惚れる理由も身をもって体験できるという抜かりなさも味わえるので素晴らしかった。

また、その無効化を行っていく際にゲーム内キャラのリーゼロッテに対する気持ちを表した描写もそうですが、そのゲームを俯瞰している遠藤くんと小林さんの喜びも描写する事で二重に嬉しい感情が我々に伝わってくるという設定の良さを生かした感情の描写をしてくるのは非常に良かった。

しかも、ゲームを俯瞰してるのは遠藤くんと小林さんだけでなく、我々視聴者も俯瞰している立場にあるので、遠藤くんと小林さんが感じているものを共有できるかのような感覚に陥ることができ、我々視聴者を巻き込む形で進行できたのも本作の武器であり特権でしたね。

ほんと、設定の良さが終始滲み出ていた作品でした。

 

前半で悪役令嬢ムーブを無効化することによりただのかわいい女の子・リーゼロッテを手に入れることができた我々に待ち受けるのは、本当の問題であるリーゼロッテに訪れる破滅。

それを回避し最高を超えた最高のハッピーエンドに到達させることが本来の目的であるのでここからが本番になるんですが、

前述した通り問題の根底にある深い部分、リーゼロッテに対する意識改革を行なっていることにより、ゲーム内キャラが自然とリーゼロッテを守りたいと思えるような空間がすでに出来上がっていたので、後は遠藤くんと小林さんの助言を聞きつつ破滅エンドを回避していくように各キャラが動いていく後半はシンプルにストーリーが面白いなと感じることができました。

『まじこい』が本来紡ぐはずのシナリオはありきたりなものなのでそこに面白さは感じ取れませんが、リーゼロッテが主役になることにより、新たに紡がれ出したシナリオのシンプルな面白さ、このゲームを網羅する小林さんですら未知の領域に入ってしまった先の見えない面白さなど、現実世界とゲーム世界がリンクして面白いを紡いでいくストーリーはやはり圧巻。ここでも設定の良さをふんだんに生かしてきて二重の面白いを叩きつけてくるな...と。

惚れ惚れする展開に指を加えて観ていることしかできないくらい没頭できました。

 

それに加え、本作に対する信頼が揺るぎないものになった要因の一つに、1クールできっちり納めてくる手際の良さもあります。

良いところで納めたとか、納めることはできたけどまだ続きがありそうとかいう中途半端なところでケリを付けずに、作中で提示された全ての問題にケリをつけ、小林さんが目指した最高を超えた最高のハッピーエンドを迎えるどころか、我々視聴者が更に望んだ遠藤くんと小林さんに対する、

最高を超えた最高のハッピーエンドを超えた最高のハッピーエンド

を理解しそれを明確に描いてくることで全員が幸せな気持ちになって大団円を迎えるというとんでもないことを成し遂げていましたからね。

ここまで完璧に終わらせてくるのかと。

正直ここまで描いてくれるとは思ってもなかったので、驚きが見終わった今でもずっと続いています。

本当に素晴らしい作品をありがとうと伝えたいですね。

 

ただ、ここまでベタ褒めしている作品でも悪いところがあるのでAに留まる形になってしまいました。

その悪いところは作画にあります。

私自身、作画が悪くても物語が面白ければSSをつける意思と覚悟は持ち合わせているんですが、この作品の場合は小林さんが愛してやまないリーゼロッテをいかに美しく見せ続けるかというのも重要なポイントなので、それが出来ていないというか、作画の悪さにより「あ、今のところ作画乱れてたな」と思ってしまい物語に没頭している最中に横槍を投げられるような事が何度もあったので、そこは減点対象かなと思います。

また、クライマックスが割と軽いノリで進むんですが、そのノリ自体はこの作品が当初から作り上げてきた雰囲気にあっているので問題ないんですが、作画の悪さが相対的に安っぽさに繋げてしまっているのは良くないなと感じられたのも良くなかったですね。

原作のCMやEDの原作絵が非常に美しいだけあって、アニメ本編の作画の悪さを見るたびに悲しくなりますし、もう少し力を入れて欲しかった。

 

リーゼロッテは幸せになりますし、リーゼロッテの周りに集まる人物たちもリーゼロッテのツンデレを愛でることにより幸せを感じ、どうしようもないほどの愛をリーゼロッテに募らせていき、

それを見ている遠藤くんと小林さんも共に何かを成し遂げる事で信頼関係が芽生え恋愛に発展していく...という2つの世界を同時に動かし、双方を幸せにする事で我々視聴者も幸せを永遠に感じられるとかいう頭のおかしなことを平気でやってくる天才的な作品。

これはものすごい革命を起こしたんじゃないでしょうか。

散々擦られまくっている異世界系や悪役令嬢系も視点を変えるだけでまだまだ描けることは沢山あるなと思い知らされた気分です。

是非見てほしい、立ち会ってほしい作品ですので、リーゼロッテは今日もかわいい!と言いながら観てみてください。