れおぱるレビュー

『もういっぽん!』

オススメ度 S

 

OP: SS

ED: S

作画: B

わちゃわちゃ: S

 

あらすじ!

 

青葉中柔道部の園田未知と滝川早苗は中学最後の試合に臨んでいた。これでもう柔道をやめようと決めた未知は「スパっと一本勝ちで終わりにする!」と宣言する。しかし、結果は真逆で相手の絞め技で一本を取られ、その瞬間の失神した顔のアップがネットで晒されるという悲惨なことに……。何とも残念な終わり方になってしまったが、これで柔道は卒業して受験に専念。9カ月後、青葉西高校には無事に合格した未知と早苗の姿があった。

引用元:STORY | TVアニメ「もういっぽん!」公式サイト

©村岡ユウ(秋田書店)/もういっぽん!製作委員会

 

どうも!今ならすげえレビューが書ける気がするよ...

自分史上最強だから......!!!!

れおぱるレビューです!!!

 

面白い以外言うことある?

この一言のみでレビューを締めたいと思えるくらい素晴らしいアニメでしたね...

 

中学最後の大会で柔道を辞める決断をした園田未知は、中学最後の大会の最後の試合で氷浦永遠と出会い綺麗に一本勝ちで締めるつもりが絞め技で一本を取られてしまい失神までしてしまう。

畳の上に最後の試合で勝てなかったという後悔も残しつつも高校では柔道をやらずに彼氏を作り青春を謳歌すると意気込むが...というお話。

 

大きくジャンル分けをすれば「スポ根」に入るアニメなんですが、非常にスポ根らしくなくて、どのスポ根よりもスポ根を紡いでくるようなちょっと変わった雰囲気で物語が進行していましたが、非常に面白かったですね。

 

スポ根らしくないのにめちゃくちゃアツいスポ根を紡げた根底にあるのはやはり、物語の大前提に置かれているテーマ「青春を全力で楽しむ」にあると思います。

主人公である園田未知は高校入学と同時に柔道をやるのではなく青春を楽しむ為に彼氏を作りたいと事あるごとに口にしており、柔道を極めていくような空気感が微塵も感じられないことでスポ根らしくない雰囲気が物語全体に漂っていたのは『もういっぽん!』らしさかなと感じられます。

が、青春を全力で楽しんだ先にあるものをことごとくスポ根に置き換えていくことでとてつもなくアツいスポ根へと昇華されていく様がなんとも素晴らしいとしか言いようがありませんでしたね。

それを象徴するかのようなエピソードは第6話と第7話。

園田未知を中心とした「青春を全力で楽しむ」が周りに波及して紡げたこの二つのエピソードはまさに『もういっぽん!』にしかできないエピソードだったと感じます。

第6話では、青春の全てを剣道に捧げてきたように描かれてきた南雲杏奈が、「青春を全力で楽しむ」為にとった決断が非常に輝いており、やらなかった事で後悔を残さない為に剣道以上に大好きな園田未知と1秒でも長く共にいる事を選択する様は震え上がりましたね。

スポ根にありがちな凍てつくような空気感を一切出さずとも人生における重要な選択を非常にアツく面白く描いてくる様は最高でした。

また、第7話では秘密兵器先輩と脈打たれる姫野先輩が畳の上に帰ってくるエピソード。

ここでも「青春を全力で楽しむ」が徹底され、

姫野先輩の場合であれば、畳の上に残してきた後悔を今後の人生で思い返しても取りに帰れないので取りに帰れるうちに畳の上に帰ってくるような展開が描かれており、ここでも興奮が止む事がありませんでした。

スポ根の定石で言えば、一度舞台から降りてしまった先輩が復帰するとなると一悶着ありそうな感じがしますが、本作ではその空気も一切感じさせずに全員が後悔をしない為に「青春を全力で楽しむ」を貫いているのでギスギスなんか微塵もさせない常に前しか向かない姿勢が気持ちいいのなんの。

こういうところからスポ根らしくないが先行しつつも青春を全力で楽しんだその先にどんな作品よりもアツいスポ根が待ち受けている展開を感じる事ができ、1〜13話まで一切ダレることなく面白いを上積みしていくことで面白さを加速し続けてくれたなと感じられました。

 

また、スポ根らしくない空気感とは逆に実にスポ根らしいエピソードも点在してるしているのが本作のもう一つの魅力。

クライマックスの金鷲旗ではそれが至る所に満ち溢れており全てを語りたくなるほど感想が止まらなくなるんですが、誰か一つにスポットを当てるとなると真っ先に思いつくのは第4話。

永遠ちゃんが中学時代にわだかまりを作ってしまった尊敬する先輩・天音さんと再戦するエピソード。

柔道を愛する柔道馬鹿同士だからこそできるとてつもなくアツい試合と、そのバックボーンにある中学時代のわだかまりがいいスパイスになり非常印象に残ってますね。

永遠ちゃんの性格が奥手なのもありますが、2人とも柔道馬鹿だからこそ話し合いで解決するのではなく本気でぶつかり合ってあの日のわだかまりを解消していきたい、試合後には多くを語らず2人の表情からわだかまりを払拭した事が伺えるような描き方はアツい以外に言う事がありませんでした。

こういう本気でぶつかり合って全力で柔道を楽しむ姿勢が貫かれている展開は実にスポ根らしい展開で唸ることしかできないほどシビらさせられました。

こういうスポ根らしいエピソードも平気で展開できますし、6話と7話のような本作が掲げるテーマに沿ったエピソードもしっかり展開できてしまうエピソードの幅の広さは本当に素晴らしいものでした。

 

大きなテーマ「青春を全力で楽しむ」関連で言うと忘れてはならないのが主人公・園田未知の描き方。

彼女は導入部分こそ柔道なんかもうやりたくないと嘆いていましたが、いざ畳の上に戻ってくるとギラッギラ目を輝かせながら柔道を楽しむ事を大前提として常に初心を忘れない姿勢が描かれていて、『もういっぽん!』らしさが彼女を中心に常にあったと言っても過言ではありませんでしたね。

本心では彼氏を作ってイチャイチャしたいと思いながらも、自分が青春を全力で楽しむ為に必要なのは誰よりも愛している柔道を全力で楽しむ事だと分かっているので、青春を充実させる為に柔道には決して手を抜かず、たとえ試合で負けてしまったとしても負けがなんだと笑い飛ばしギラギラ目を輝かせ強い相手を称えながら次の試合に繋げていく前しか向かない姿勢はまさに『もういっぽん!』そのものでした。

また、そんな前しか向かない姿勢が周りに波及する事により、一切ギスギスしない割とライトな空間が持続していたのも素晴らしく、

クライマックスの金鷲旗にスポットを当ててみれば、青葉西高校だけでなく対戦する全ての高校が前しか向かない全力で柔道を楽しむ姿勢を貫いてくるようなアツい試合の数々が描かれていて、スポ根らしくないのにどんなスポ根よりもアツいスポ根を紡いできた集大成がそこにあった気がします。

それに加え、青葉西高校柔道部全員が園田未知を中心にした前しか向かない姿勢を維持する事により、一見個人競技に思える柔道でも、団体戦では柔道部一丸となって強大な対戦相手に一石を投じていくような活躍が描かれていたのも素晴らしく、

試合結果が勝ちだとか負けだとかはこの際関係なく、自分が持てる全てを出し切り畳の上に後悔を残さない姿勢が永遠に描かれていきますし、例え負けてしまったとしても柔道を同じように愛してきた頼もしい仲間にバトンを渡す事ができる信頼関係も非常にアツく、一つ一つのシーンがスポ根をよりアツくさせる為の燃料になり温度が永遠と熱くなっていくような感覚を味わえる事ができました。

この園田未知という主人公の描き方は一見簡単にできそうで中々できないものだなと感じましたし、園田未知を中心として物語の大前提「青春を全力で楽しむ」を貫いてくる姿勢がとてつもない面白さに繋がったんだなとひしひしと感じさせられましたね。

 

柔道と聞くと、汗臭いし痛いし暑そうだしとマイナスなイメージが先行してしまいますが、

本作では柔道のそういうマイナスなイメージも、柔道でしか感じられない喜び、プラスイメージもしっかり描いてくる事により柔道の全てを愛する空間が出来上がっているので、全話見終わった後にはその溢れんばかりの柔道愛が我々視聴者にも乗り移り柔道に対するイメージがガラッと変わりますよ。

試合展開では、いつもの軽い日常パートで和みつつも一気に緊張感を走らせてくるような空気の切り替え、緩急の付け方が非常にうまく、登場人物が感じているであろうスポーツ特有のゾーンを視聴者も共に感じる事ができるような描き方がされているので、目の前で起こっている試合に没頭することもできます。

柔道経験者がこぞって言う、自分より大きい人を投げ飛ばした時の快感を擬似的に味わえる事もできますし、それを経験する事によって柔道が好きで好きで堪らなくさせられるような感覚はやはりここでしか味わえませんし、本当に凄いものを描いてきたなと感心することしかできません。

間違いなく今期の覇権アニメと言えます。

最高に面白かったです。

いや、

面白い以外言うことある!?