れおぱるレビュー

『氷属性男子とクールな同僚女子』

オススメ度 B+

 

OP: B

ED: A

作画: A

わちゃわちゃ: B

 

あらすじ

 

新社会人の冬月さんは、入社式の朝、足下が凍ったまま桜を見ているスーツ姿の青年、氷室くんに出会う。
雪女の末裔で感情が高まると周囲を凍らせてしまう氷室くんは、入社式に向かう途中、緊張で凍って動けなくなっていたのだ。冬月さんのおかげで緊張がほぐれ、会話を交わして別れた二人は同僚として再会。同期入社の狐森さん、冴島くんとも知り合う。

引用元:TVアニメ「氷属性男子とクールな同僚女子」公式サイト

©Miyuki Tonogaya/SQUARE ENIX

©殿ヶ谷美由記/SQUARE ENIX・氷属性製作委員会

 

どうも!社会人を題材にしたラブコメはいつも素晴らしいですね...

れおぱるレビューです!!!

 

入社式に行く途中、緊張のあまり物理的に凍っていた雪女の末裔・氷室くんと出会ったクールな女子・冬月さんは氷室くんの凍りついた脚を溶かす為に色々と尽力し、感謝される。

その後、入社式で再会した2人は同じ部署に配属され...という物語。

 

社会人の恋愛を取り扱った作品だったので、落ち着いた雰囲気の中で燃えたぎるような大恋愛を繰り広げる事に期待し見始めた本作でしたが、大恋愛には至らなかったものの、求めていた落ち着いた恋愛を終始展開してくれ、静かに悶えながら2人の幸せを祈るような気持ちで終始視聴できたのでとても楽しかったです。

 

本作の特徴として特筆すべきなのは、冬月さんの魅力の引き出し方とその多さですね。

クールな同僚女子というテーマで描かれてはいますが、冷徹みたいな冷たい雰囲気ではなく、滅多に取り乱さない落ち着きの良さでそこを描いているので、エピソードを重ねる毎に増していくギャップの多さは直接彼女の魅力に繋がっていて、氷室くんと共に冬月さんに惚れてしまい続ける空間が出来上がっていたのは非常に素晴らしかったですね。

元々落ち着いた性格なのでそこから滲み出る大人の女性の魅力はもちろんの事、仕事の中でかっこいい一面を垣間見せたり、女の子の心を忘れないお茶目な一面を時折見せてきたりと...冬月さんが持つ魅力の多さとその引き出し方が非常に長けていた印象がありました。

一方で、冬月さんの魅力の引き出し方を見ているともっとどうにかできなかったのかなと思ってしまうのが氷室くんの魅力の引き出し方になります。

本作は男子が女子を追いかけるという描き方がなされているので、恋する乙女の顔を担うのも男側の役目になってしまっている為、冬月さんの溢れんばかりの魅力に終始翻弄されていく氷室くんが多く描かれていたので、もう少しかっこよさで冬月さんを振り向かせて離さないような魅力を描いてもよかったんじゃないかなと感じます。

 

また、氷室くんが冬月さんに想いを寄せていることは早々に明確に描かれていたので、恋愛面のストーリーをもう少し進めてもよかったんじゃないかと感じました。

こういう系のラブコメはテーマに沿ったヒロインのかわいさを描くことが大前提ではあるので、2人の関係性が現状維持のままというのも正解なんですが、近年では現状維持という手法を取らずに最終的にゴールするところまで描いてくる作品も増えているので、現状維持というままでは少し物足りなさを感じてしまいます。

なので、氷室くんの明確な想いを増幅させていき、冬月さんに対するアプローチを積み重ね、感情をあまり表情に出さない冬月さんをどうしようもない恋する乙女へと変貌させ恋する乙女の顔で最大瞬間風速を叩き出すような描き方をしたらもっと盛り上がったと私は思いました。

 

恋愛面の展開のさせ方でもう一つ言うと、氷室くんと冬月さんのカップリング以外にも、本作では2組のカップリングが成立していましたが、この2組のフォーカスの当たらなさが少々消化不良だったかなと感じます。

というのも、氷室くんと冬月さん以外の主要キャラも妖狐の末裔や不死鳥の末裔など非常に設定の良いキャラが集まっていたので、主軸の2人とは違ったラブコメが2組分描けてしまうポテンシャルがあったからです。

氷室くんと冬月さんの関係性を現状維持のままにさせるのなら、せめて主軸のカップリングも含めた3パターンのラブコメで全体が盛り上がっていくような群像劇の愛の物語にもシフトできたと思いますし、それができる環境が整っていたので惜しいことをしているなと感じました。

 

氷室くんと冬月さん、2人の相性が非常に良かった為、早い段階で関係性のフォーマットが完成しており、恋愛面に進展がなくとも面白いが持続し安定した面白さがここにはありました。

恋愛面を進めてみても、このプレゼントを渡してどんな反応するのかな?とか悩みまくる描写にやられますし、

お揃いの物が増えそれを見つめるだけであの日の出来事を思い出せるようなどうしようもない恋心をしっかり堪能できる素晴らしい作品でした。

また、本作で印象的だったのは瞳の動かし方。

事あるごとに瞳が小刻みに動く演出は表には出していないが内心ものすごく感情が動いている事を容易に感じ取れますし、ただ見つめ合う空間で頬を赤らめるよりもよっぽど心境の揺らぎを感じ取れたので、そこでも我々の恋する乙女の一面が刺激されます。

雪女の末裔とかいうファンタジー要素も出オチにはせず、氷室くんの心の揺らぎが伝わりやすいようなエフェクトとして能力が使われていたのも新しくて楽しかったです。

こういう安定したラブコメがあるからこそ3ヶ月が楽しくて仕方がなくなるような、各クールに欠かせない存在枠として非常に良いアニメですので是非。