『不滅のあなたへ Season 2』
オススメ度 A
OP: C
ED: C
作画: B
わちゃわちゃ: D
あらすじもあなたへ
老婆ピオランとの別れから40年。不死身のフシはたったひとり、孤独で退屈な島での日々を過ごしていた。「もう誰にも会わない」そう決めたはずのフシの前に、ヤノメ国の少女・ヒサメが現れる。彼女は言う。「私はハヤセの生まれ変わりなのだ」と……。再び動き出したノッカーの脅威から罪なき人々を救うため、フシはヒサメたち『守護団』と行動をともにすることにした。
どうも!3ヶ月ぶりです!
れおぱるレビューです!!!!
個人的に大忙しの秋から解放され身も心も余裕ができまくる冬は毎年心の底からアニメを楽しめる期間であり、年内の好きなクール上位に数えられるクールで、23冬ももれなく好きで好きでたまらないクールになってきておりますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
そんなことはさておき、本題。
21年春〜夏に全20話で放送された『不滅のあなたへ』の続編。
1期で浮上した突発的な問題は大方片付いていましたが、物語全体で掲げる「フシが生きる理由」や「終わりのない旅路」でフシが見出していくこと、「ハヤセさんとノッカーのその後」など大きな問題は片付いていなかったので、その辺の問題にもケリがつけばいいなと思い視聴を始めた第2期。
前述した大きな問題が片付いた?という感じで幕を引いた2期でしたが、問題を片付けるためのゴールを見出せたという大きな収穫があったおかげで、1期からの面白さを持続していた凄みをひしひしと感じられましたね。
深く関わってきた人全てが己の不死身のせいで死んでしまう悲しみを受け入れられなくなったフシは、人と関わらなければノッカーは自分のところにしかやってこない性質を活かし、誰とも関わらない生活を続けていた矢先、ノッカーが自分のいないところで人を襲ったと観察者から聞かされる。
ノッカーから人々を救う為に数十年ぶりに赴いた街でジャナンダで共に戦ったトナリと再会する...
という導入から始まった第2期。
まず目を引くのがフシの不死身を利用した数十年後の再会、数世代にわたる関わりなど、長い時を経て紡がれていく物語です。
数十年の時を経てフシの為に身体を作り替えてきたトナリに然り、ハヤセさんの死後数世代にわたりフシに関わってくるハヤセ一族などなど、1期で紡がれた物語や一緒になってしまったハヤセさんとノッカーの存在など、
1期丸ごと土台にしてそこに2期という枠組みを作り上げていくような面白さ、物語全体を見渡したときの一貫性など、長期にわたって紡がれる物語として非常に上手いなと感じることができました。
また、ハヤセ一族が敵ではなく、フシを愛する頭のおかしい一族として終始物語を掻き回していく様もハヤセさんの血を色濃く感じることができ、ふとした時にハヤセさんのあの不敵な笑みを思い浮かべることができる描き方は凄すぎましたね。
これも1期のハヤセさんの描き方がなければ成立しなかった事柄なので、こういう面でも1期という土台の良さをひしひしと感じることができます。
そして、2期で特筆すべきはなんといっても、
ボンシェン・ニコリ・ラ・テイスティピーチ=ウラリスの存在でしょう。
もう好きすぎてフルネームで書いてしまったんですが、彼の活躍はもう惚れ惚れするほどのもので、
1期である程度人間らしさを構築したフシにそれでも足りなかったというか、深く人と交わることで失ってしまった失わざるを得なかった人を信頼する心や、物語の大きなテーマであるフシが生きる理由を見出す存在として長期にわたって関わりがあった人物なので、本作の中でも群を抜いて印象に残る人物になったんじゃないでしょうか。
はじめは、トナリがフシの人を信頼できなくなった心は仲間がいないからだと指摘したところから始まり、程なくしてボンと出会うところから始まるんですが、始めの印象はふざけ倒していたキャラだったのでどんなネタキャラだと。不安に思う節もありましたが、フシと共に行動する中でボン自身も城の中で過ごしているだけでは体験できないことをいろいろと経験していき、フシにとって欠かせない仲間、友達、親友として常にそばに寄り添い続け、正しい道を指し示してくれる存在にまでなっていったのは圧巻でしたね。
また、ボンの大きな特徴としてあるのは、
見えないものが見える視野。
所謂幽霊が見えてしまうボンは他の人とは違った視野や価値観を持ち合わせており、それを大いに利用し、大きな成長を遂げ王としての器を完済させる7.8話は2期の最大瞬間風速だったと思います。
この話があったからこそ、ボンが覚醒しフシをより導く存在になり、クライマックスでの大きな起爆剤となりましたし、ボンの存在があったからこそフシが人を信頼していいことを再び学べたエピソードにも繋がってきてました。
今までフシ以外は比較的普通の人を描いてきた本作にとってボンはイレギュラー的な存在になりますが、それでも『不滅のあなたへ』らしさが損なわれずにむしろボンがいなかったら『不滅のあなたへ』は成立しないと言わしめるほどにまでなってますから、改めてボンという人物の突き抜けた描き方の良さに脱帽してしまいます。
ハヤセさんの子孫であるカハクやボンと旅していく中で訪れるノッカーからの大襲撃が2期のクライマックス。
ノッカーの襲撃に備え根を張り感覚を伸ばすという新たな技を習得したフシが大暴れしていきますが、それも万能ではなく限界が近づいた中で、満を持して徐々に明かされていくフシの真の能力の数々は興奮しましたね。
我々視聴者から見ると、真の能力はボンが早々に気付いた段階で認知していたんですが、それをボンがフシに伝えるタイミングがよく考えられてるなと心底感じられました。
ノッカーという目に見える敵が目前に迫り、兵士たちや仲間やフシが疲弊していく中で新たな情報をフシに流しこみフシが何も考えられなくなっていく様子や、意図せず蘇ったマーチがフシを探して彷徨う様など、真の能力を知っていた我々でさえもあまりの情報過多に何も考えられなくなっていき整理がつかなくなっていく様など、もう何も考えたくないのに面白いだけが先行していく様は圧巻そのものでしたね。
また、見えないものが見えるボンの能力を最大限活かしたフシのもう一つの真の能力が種明かしされる第18.19話は反則でした...
フシがその能力に気付くために必要になるのはボンの死である事を我々視聴者が一番理解するタイミングでそれが訪れるのでもう...もう!という感じで、どうして『不滅のあなたへ』はこういうことを平気でできるんだ!と言いたくなることが待ち構えてるので頭がおかしくなりそうでしたね。
ただ、その後に待ち構えていた幸せ・希望が大きくそれを上回ってくれたので、今回ばかりは許してあげることにするとします。
1期の短中編の組み合わせで、大切な人の死を起点にフシが成長していく物語とは異なる構成がなされた、中長編で構成される2期。
個人的には1期のマーチ編のエピソードが今も尚記憶に深く刻み込まれてるので、そのような物語が見たかったという願望もありましたが、ボンと共に歩み「フシが生きる理由」「終わりのない旅路」にゴールが見え、大きなテーマに対するケリの付け方が見出されていく非常に重要な章だったのでもう文句はありませんね。
強いて言うなら、ハヤセさんの子孫が女性のままでフシが一晩身を委ねて愛を教え込まれる展開が2期でも描かれなかったことが残念なことぐらいでしょうか。
2期で見出されたゴールに向かうための道が整備され、1期の土台に2期の骨組み、そして3期で完成に近付くであろう『不滅のあなたへ』は早々に3期も決定しましたし、まだ観てない方には是非とも見ていただきたいですね。
命の生死という非常に重いテーマを掲げる作品で、それに対するアプローチも非常に上手く、フシが感じ取っているものもそれにより深く共鳴できるので見応えがあります。是非。
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