『転生王女と天才令嬢の魔法革命』
オススメ度 B
OP: B
ED: A
作画: A
わちゃわちゃ: C
あらすじ
前世の記憶を持つ王女、アニスフィアは魔法で空を飛ぶという夢のため、日夜怪しげな研究に勤しんでいた。ある夜、アニスはお手製魔女箒の試験飛行で、貴族学院の夜会に飛び込んでしまう。そこでは、天才公爵令嬢のユフィリアが王子アルガルドから婚約破棄をつきつけられていて!?
どうも!やはり百合が全ての問題を片付ける...
百合こそが至高...れおぱるレビューです!!!
魔法は使えないが魔法を誰でも使える世界を夢見て自ら編み出した魔学を熱心に研究し続ける王女・アニスは、空飛ぶホウキのテスト飛行中貴族学院の夜会が行われている矢先に墜落してしまい、そこで今まさに弟で王位継承権第一位の・アルガルドからフラれてしまい次期王妃の座を剥奪されてしまった天才令嬢・ユフィと出会う。
アルくんがいらないならとユフィの才能を誰よりも欲しているアニスはユフィの手を取り空飛ぶホウキで夜会を後にして...という物語。
公式で「王宮百合ファンタジー」を謳うだけあり、導入部分から描かれる百合に抜かりのない姿勢はお見事でした...!
というのも、アニスが徐々にユフィを侍らせるような導入ではなく、多少強引であっても居場所を失ってしまったユフィを連れ去るという形で自らの間合いに連れ込み居場所を瞬時に与えてしまい抜け出せない沼へと始めからどっぷりハメてしまうような導入には迷いがなくそれでいて完璧で大いに盛り上がりましたからね。
そしてその後に描かれるユフィの心情変化も非常に丁寧で良かった。
まずは強引な形でアニスの懐に入れられてしまい何が何だか分からない状態で、しかも次期王妃の座までも失ってしまい憔悴しきってるユフィを落ち込む暇もなくグイグイ引っ張り続けてくれるアニスにユフィは次第に惹かれるようになり、自分が持ち合わせていないものに憧れを感じ自ら付いていく事を選ぶようになっていくフェーズは見たかったものであり、よくぞやってくれた!ありがとう!と無限に感謝を伝えたくなるような描き方でした。
また、アニスに至ってもただ同情によってユフィに居場所を与えていたのではなく、本当に必要な存在だから、自分が持っていないものを持ち合わせている憧れからユフィと共に歩む事を選んだという描写がしっかりあり、
お互いがお互いを求め、お互いの凄いところをリスペクトし合う美しい関係性を前半パート丸々使いじっくり描いてくれた事で唯一無二の関係性が出来上がっており、求めている以上の百合が拝めたと言っても過言ではありません。
公式で「王宮百合ファンタジー」を謳うだけのことはあるなとひしひしと感じさせられました。
ただ、前半の2人の関係性の描き方が良すぎただけにどうしても心が離れてしまうのが後半パート。
2人の関係性が完成し、いよいよ魔学による魔法革命が始まるのかと思いきや、浮き上がるのはユフィを振った張本人であるアニスの弟アルガルドの問題。
アルガルドは姉に誰よりも憧れ、誰よりも愛していただけに王位継承権を放棄した姉が自分を突き放しているようで許せなかった。
また、アニスは魔法を使えない自分が魔法を重んじてきたこの国の王になるのは相応しくないと想い、大好きなアルくんに王位の座を譲ったという、
姉弟が大好きすぎるが故に生じてしまった幼少期から続くすれ違いがユフィやレイニを巻き込む形でものすごく大きな喧嘩へと発展してしまい、最終的には全てを壊さないと仲直りできない状況にまで発展してしまった重い空気感が長々と描かれてしまったのは物語そのものの失速に繋がってしまったかなと感じます。
確かに、物語導入部分で撒かれた問題の一つではありましたが、物語当初の流れからするとそんな問題がどうでも良くなるくらいの素晴らしい百合で飲み込んでくれるかと思っていたので、あまりにもフォーカスされすぎる問題にそんなもの求めていないんだよな...となってしまうのが正直な感想です。
それに続き訪れる問題が王位継承権が再びアニスに戻りユフィを引っ張り続けたあの頃の笑顔が失われてしまうクライマックス。
かつて憔悴しきったユフィをアニスが懐に入れてしまったように、今度は自らの道を歩み出したユフィがアニスを支える非常に重要なパートではありますが、あまりにも重苦しい雰囲気にしすぎだと感じてしまいました。
物語のクライマックス部分なので、最終回が更に盛り上がるように必要な工程ではありましたが、あまりにも登場人物が悲しい目をしすぎている為、本来見たかったものになかなか辿り着けず焦らされている我々にとっては心が離れてしまう大きな要因になってしまっていたと感じてしまいます。
しかも、本来このアニメに求めていた物語は、
転生者目線で魔学を用いて世の中の暮らしを更に豊かにしていき、天才令嬢と共に革命を起こし続けるような気持ちのいい物語だったので、求めていない王位継承がどうのとかいう問題は心底どうでも良かったというのが正直な感想。
転生者と天才と魔学という強みをあまり伸ばさずに物語当初から配置されている問題を少し強調しすぎたのかなと感じます。
ただ、終わり良ければ全て良しという言葉がこの世にあるように、
最終回では本来見たかったものが全て詰め込まれていて、更に求めている以上の百合を当たり前のようにそれも大量に濃密に描いてくれていたので笑顔で終われたことは非常に素晴らしかったと言えます。
本来見たかったシンプルで楽しい2人の魔法革命は最終回のその後の物語という消化不良要素もありますが、前半の盛り上がりと最終回の素晴らしさだけはガチという言葉以外見つからないほど素晴らしい作品なので是非。
魔法使いは人を笑顔にする為に魔法を使う、
『転天』は我々を笑顔にする為に物語を紡ぐ。
やはり百合は世界を救いますね。