れおぱるレビュー

『不滅のあなたへ』

オススメ度 A-

 

あらすじもあなたへ

 

何者かが地上に投げ入れたひとつの球。“それ”は大地を転がり、石やコケ、けがを負い死んだ白いオオカミへと姿を変え、雪原をさまよっていた。やがて“それ”は、飼い主の少年が暮らす小さな家にたどりつく。集落でたったひとり、豊かな土地を求めて去った仲間を待ち続けていた少年は、オオカミとともに旅に出ることを決意する。

引用元:ストーリー | アニメ「不滅のあなたへ」公式サイト

© ⼤今良時・講談社NHK・NEP

 

どうも!3ヶ月ぶりです!

れおぱるレビューです!!!

いつもクール終わりのレビュー期間に突入する際、なかなか気持ちをレビューに持っていくことはできませんが、一つ書いてしまうと気持ちが一気に高まるので、今期も元気よく!レビューを書いていけたらいいなと思います。

 

ものすごく印象に残る1話から始まるアニメでしたね。

地上に落とされた"それ"が地上のあらゆるものを形に残すためにいろんな体験を積み、物事を吸収して成長するというお話でしたが、とにかく1話がすごい。

全体の物語を通して、より一層感情移入が深くなる最終話付近が普通のアニメなら印象に残りやすいですが、このアニメは1話からそれを体験できるというものすごいことをやってのけてたと思います。

1話では、地上に落とされた"それ"が、雪原の集落に1人で住む少年の元に辿り着き、"それ"はまだ言葉を理解していないため、雪原の少年目線で物語が動き出していくんですが、ここが視聴者の心を一気に鷲掴みにするかの如くエモい展開で、1話なので何の思い入れもないはずなのに、まるで1本の映画を見たかのような満足感が得られ自然と涙を流してしまうというものすごいことをやっていましたね。

この1話だけで「これはキタな」と思わず言ってしまうような出来で、全20話通してもいまだに1番印象が強い部分になってました。

普通1話というのは、多少のインパクトも必要ですが、今後のストーリー展開に向けて根を伸ばす部分も多いので、1番印象に残った!ということは無いのですが、それを平然とやってのけるこのアニメの本気度が伺えました。

これを逆の意味で捉えると、1話以降は右肩下がりなのか?という疑問を持たれるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

1番印象に残ってるというのが1話というだけで、その後もいくつか印象に残る箇所はちゃんとありました。

 

1話後、"それ"はいろんなところを旅し、刺激を感じる中でその世界のあらゆるものを取り込めるという性質が明らかになり、それを求め旅することを運命付けられ、初めにニナンナという村に到着することになります。

1話が1話完結の物語だったので、それ以降もそういう話が来るかと思いきや、ニナンナ編から短中編のようなストーリー構成になっており、1話の展開がもう少し見たかったなという名残惜しい気持ちもここで払拭できました。

"それ"はニナンナの少女マーチから、"フシ"と名付けられ、言葉を理解してないフシに対し、マーチが積極的に面倒を見るようになり、次第に母親のような存在になっていく様は今思い出しても涙が出てくるほど素晴らしい出来でした。

まだ人間として非常に未熟なフシに対し、生きていく上で必要なことを丁寧に教えてくれるマーチの存在があったおかげで、フシはいろんなことに興味を示すようになり、言葉は発せないものの、大切なものをちゃんと理解しており、まるで子供の成長を見守っているような感覚にさせられ、1話とはまた違った意味でのエモさを感じることができました。

ここからはネタバレの関係上、詳しいことは言えませんが、その後のマーチから与えられる最大の"刺激"は1話と同等あるいはそれ以上のものが描かれるので、覚悟してみてください。

 

次にフシが訪れたのはタクナハという街。

そこで出会ったグーグーという少年と、リーンという少女の元で、まるで兄弟のように一緒の時間を過ごし、言葉を段々と理解していき、自分の意見も相手に伝えられるようになっていく様、ここでも人間として段々と成長していく姿に泣かされましたね。

小さな子供がいろんな刺激を通して"人間み"を増していくような成長の物語がここでも一貫して描かれており、1人の人間として一人前になっていく様を見届けることができますよ!

ただ、ここで現れるノッカーという存在で意見が真っ二つに割れるんじゃ無いかなと感じます。

ノッカーという存在は、フシがこの世のあらゆる物事を吸収することを邪魔してくる存在で、フシが旅する上で、強力な敵という立場になってくるわけですが、1話からニナンナ編まで一貫してエモい刺激を描いてきたにも関わらず、ここでファンタジーめいた敵を出してくるのはどうなのかなと個人的には感じてしまいます。

物語の性質上、ただ人間達の暮らしにフシが溶け込むだけではつまらなくなるので、敵キャラを導入することは自然な流れではありますが、ニナンナ編のように人間であるハヤセという人物を敵として描いたようなことを何故ここでやらなかったのかなと。少し首を傾げてしまいました。

ただ、フシが不死身である以上、生身の人間だと一生の敵にはなれないので、フシの性質上致し方ない部分もあり、一長一短かなと思いました。

 

そうして、グーグーとリーンと同じ時間を過ごす中で、フシ自身もかなり成長し、ノッカーと戦う中で、色々あり、あらゆる生と死を恐れるようになったフシが次にたどり着いたのは殺人が平気で行われるジャナンダ島。

ここでは、マーチやグーグーに育てられたフシの中にある確かな人間みの葛藤が描かれてました。

極端に死というものを恐れるようになってしまったフシは、自分に関わるものの死を見たくないという結論に至り、塞ぎ込んでしまいますが、ここまで旅をともにしてきたピオランの存在や、島で出会ったトナリという少女に人間はいずれ死を迎えるものだということを学び、それまでにどういう生き方をするのが重要かというこれまた今までとは違ったエモさが描かれていました。

ここですごいなと感じたことは、ニナンナ編の敵であったハヤセと、タクナハの敵であったノッカーが同時に現れ、物語が短中編で構成されたものではなく、ちゃんと裏で繋がりがあり、一つのフシの物語として描かれていたことを思い知らされたことですね。

先ほど申し上げた通り、生身の人間ではフシの一生の敵にはなれないものの、ハヤセという敵はフシの中に確かな恐怖心を与え、彼がこれから生きていく上で警戒すべきことを学ばせる存在になっていたのは素晴らしいなと感じました。

ただ、ここでも言いたいことがあって、最終的にハヤセとノッカーが一つになる?描写があり、それ以降のことが最後まで描かれなかったのが残念だな感じております。

もしかしたら、2期も決定しているので、そこで描かれることかもしれませんが、最終話でエピローグとこれからが描かれていたので、2期に向けて一瞬でも出してくれたら、また2期に対するモチベーションが1.2段階ほど上げることができたんじゃないのかなと感じます。

 

めちゃくちゃ長くなってしまいましたが、それほどまでにこのアニメは語りたい所が豊富だということで、1話の衝撃だけじゃないことは理解していただけたでしょうか?

"刺激"を求める旅ということで、1番の刺激は死になってしまい、どうしても暗く悲しい物語を描かざるを得ないんですが、一人一人が何のために生き、なんのために死んでしまったのかというものを丁寧に描いており、それに寄り添うフシの精神もいろんな人と交わることで一つ一つ成長していき、見届け方や受け止め方が異なってくるのもこの作品の素晴らしいところでもあります。

生と死を取り扱うストーリーなので、ひとつくらい寿命を全うするような話もあっても良かったんじゃないかなと思いつつ最終回を見ていると、それに応えるようなものも描かれ、高い満足感を得て見終えることができるのでオススメですよ!

途中でダレてしまったんじゃないかと思う部分もありますが、それはフシが自ら考えて意見を述べるようになったことの表れであり、その考えに至るようになったのは、今まで過ごしてきた人物のおかげということですので、フシが人として成長していく物語を見届けましょう!!!

 

個人的に、ハヤセさんに一晩身を委ねて愛を教えて貰うフシを見たかったのはここだけの話...