『よふかしのうた』
オススメ度 A-
OP: S
ED: S
作画: A
わちゃわちゃ: B
夏らしさ: C
あらすじのうた
“眠れない”中学2年生・夜守コウは、初めて夜に誰にも言わずに外に出た。昼間とは異なる雰囲気の町中を歩いていると、フードをかぶった年齢性別不詳の人物に声をかけられた。それが吸血鬼・七草ナズナとの出会いだった。
どうも!夜っていいですよね、響きがえっちで!
れおぱるレビューです!!!!
眠れない中学生・夜守コウがふと夜の街に飛び出し、そこで出会った吸血鬼・七草ナズナに強い憧れを抱き、吸血鬼の眷属になるために吸血鬼に恋をする...というお話。
まず、ストーリーがどうのこうのとかは一旦置いといて、夜という世界の映し出し方が非常に上手いなと感じるアニメでしたね。
大人になった今でこそ夜という世界は身近な存在になりましたが、我々が小学生や中学生の頃の夜という世界は日常にあるものなのに非日常を味わえる特別な空間と言いますか、夜を知ることで見る世界が広がって行くようなものすごい感覚を味わえていましたよね。
この作品が映し出す夜というものは、まさしくそういう感情を描いている夜であり、あの時味わった感覚が蘇ってくるような凄さを感じました。
また、日常にあるものなのに日常には無いような特別な空間としての描き方も非常に長けており、主人公のコウくんがズブズブと夜の魅力にハマっていく様はまさにあの時の自分と照らし合わせることができるので、作品に対する没入感というものが物凄かったですね。
この夜の映し出し方の良さがこの作品には終始あるので、タイトル通りの夜更かしの素晴らしさを終始感じることが出来、非常に素晴らしかったと思います。
ですが、ストーリー的に思うところが多々あったというのは正直な感想であり、
あらすじを見る限りでは夜の世界で繰り広げられる異種族とのラブコメ的なものを感じ取ることが出来ますが、実際に描かれているのはラブコメに発展するまで、ラブコメの前段階、すなわち他人を好きになるための準備期間が永遠と映し出されており、イメージしていた物語に対して期待を裏切ってくるような印象を感じました。
まず、出会いと恋に発展させるための名目は申し分なくスタート的には良い出だしではありましたが、そこから先は夜の世界を楽しみ夜の魅力にどっぷりと浸かるようなエピソードが6話まで続き、全く恋に進展がなかったのは掲げているテーマに対しては良く無いのかなと感じてしまいました。
7話以降も恋のパートに進展があるかと言われれば無いと断言できる内容が続いていたのは正直良くないですが、7話以降でこの物語が他者に恋をするための準備段階であるということに気が付きだした頃にはこの作品が面白く感じていたことも事実ですので、一概には悪いと言えないのもまた事実。
吸血鬼に恋をする物語としては面白くない展開ではありましたが、そこに向かうための準備段階としては非常に素晴らしいことを7話以降でやっていた印象があります。
7話以降では、ナズナちゃん以外の吸血鬼が登場し、物語的にも動き出すパートであり、コウくんが知らなかった吸血鬼の事情であったり、吸血鬼なりの苦悩や吸血鬼に恋をしてしまった人間の苦悩を知る中で、自分が何になろうとしているのかを理解していくパートは圧巻でしたね。
このパートがあることにより、よく知らなかった相手を知ることで初めて恋をするという選択肢が生まれていくわけであり、
実際最終回では、吸血鬼とはなんなのか、コウくんは絶対吸血鬼にならなければならないのかを明確にした上でナズナちゃんに恋をするという選択を自ら行なっていましたし、これから紡がれる恋の物語の準備段階のエピソード、実際に恋に落ちていく順序の運び方としては申し分ない出来だったと感じます。
ただ、先で述べたように我々が期待していたのは最終回のその先の物語なので、やはりアニメのみのストーリーでは満足できなかったというのが正直な感想になってくると思います。
原作ありきのアニメなので、アニメ内で勝手に改変すると色んなところから文句が出てくるので、原作に準ずる形?でスローテンポになってしまったことは仕方ない事ですが、それであれば最終回のその先が描かれるように2クールやそれ以上でやって欲しかったかなと感じてしまいます。
物語的には面白いはずなのに、どうにも乗り切れない感情がずーっと続いて、面白さにどっぷり浸かりかけた時に終わってしまうようなアニメでした。