れおぱるレビュー

『夫婦以上、恋人未満。』

オススメ度 B+

 

OP: A

ED: A

作画: A

わちゃわちゃ: C

 

あらすじ

 

薬院次郎はクラスでも地味な陰キャ高校生。恋人とは無縁の生活を送っていた。
そんな中、疑似夫婦生活を送る「夫婦実習」が始まると、自分とは正反対でクラスの陽キャ美少女ギャル・渡辺星とペアを組むことに!
成績上位者はペア交換が出来るそうで、2人はお互いの想い人とペアを組むため、本気で疑似夫婦を演じることに。

引用元:Story -TVアニメ『夫婦以上、恋人未満。』公式サイト-

©2022 Yuki Kanamaru/青瞬学院

 

どうも!俺はいつだって幼馴染負けヒロインに恋をしてしまうんだ...

れおぱるレビューです!

 

面白かったというよりは、回を重ねるごとに好きになっていったという表現の方が合ってるアニメでした。

ブコメに必要な要素の一つとして、ヒロインの魅力をどれだけテーマに沿う形で引き出すことができるかっていうのが私の中の評価基準に存在するんですが、この作品の場合はそのヒロインの魅力を引き出す力、映し出す力に非常に長けていたので、星ちゃんにしても詩織ちゃんにしても一瞬で恋をしてしまうような環境が出来上がっていたのは非常に強く感じました。

ですが、ラブコメの展開そのものに荒さを感じてしまったので、全体的な面白さに繋がらなかったのが非常に惜しいなと感じてしまったのは残念でしたね。

 

授業の一環として、同じ学年の男女で疑似夫婦実習を行うとして、陰キャの主人公・次郎と、ギャルのヒロイン・星ちゃんがペアになってしまうが、お互いに第一印象は最悪で...という物語。

ブコメの場が作られるきっかけとして見る導入としては、少し強引な設定かと感じられてしまいますが、ラブコメというものはこれくらい強引でなければ面白くないので私は素晴らしいと思いましたね。

そして、導入部分で非常に強く感じた事はテンポの良さ。

この物語が何を描きたいのか、主要キャラはどんな性格なのか、誰が誰にどのような矢印を向けていくのかなどなど。

物語の序盤に欲しい情報がテンポよく提示された序盤の展開は気持ちよさすら感じてしまい、メインヒロインである星ちゃんにも『着せ恋』のようなポテンシャルの高さを感じていたので大いに期待できた導入でしたが、その後の展開そのものがあまりよろしくなかったのかなというような印象があります。

 

まず、星ちゃんの描き方についてですが、

次郎のことが好きではない状態から→好きかも?→好き!というような感情の流れがハッキリ描からていないのにも関わらず言動や表情から汲み取れるような描き方は非常にオシャレで素晴らしさを感じましたね。

それに加え、キャラなのに恋愛経験がないという設定もうまく活かされており、揶揄っているはずなのに時折出てしまう恋する乙女の顔が視聴者を次々と堕としていってた印象があります。

しかしながら、全てを描かない次郎への気持ちの揺れ動きが描かなすぎた、曖昧だったという点に関してはもう少し気持ちをハッキリさせるフェーズを増やすなり、描かれはしましたけどもう少し早い段階に持ってきてもよかったんじゃないかなと感じてしまいます。

全てを描かないことで、星ちゃんの気持ちを視聴者の感性に委ねられるようなオシャレさは個人的に好きなのでどんどんやっていって欲しいんですが、ラブコメというジャンルにおいては、誰かが誰かに恋に落ちるフェーズを明確にしてくれた方が最大瞬間風速に繋がりやすいのでそこはバシッと描いてもよかったんじゃないかと思ってしまいます。

また、せっかく疑似夫婦という立場にいるにも関わらず、理想の嫁らしい魅力を引き出されていたのは詩織ちゃんの方で、星ちゃんはどちらかというとエロ要素でしか次郎に迫っていくことができなかったのは少し薄っぺらさを感じてしまいます。

設定が非常に良いメインヒロインだったので描き方次第では今年No.1ヒロインの候補に名を連ねていたと思うのでそこだけは残念でしたね。

 

次に、立場的には負けヒロインの詩織ちゃん。

次郎とは幼馴染の関係にあり、両想いであることが本人達の知らないところで描かれていますが、お互いに奥手なため中々恋愛に発展せず...というもどかしさしか感じない描写が前半から中盤にかけて描かれており、そこら辺に関しては星ちゃんの独走状態で物語が進んでいましたが、詩織ちゃんが負けヒロインではなくメインヒロインとしての輝きを放つとんでもない描かれ方をしたのは後半からでした。

前半の何もしないことが敗因に繋がりそうになっていた詩織ちゃんとは裏腹に、次郎を取られそうなことを自覚した途端に攻めの姿勢に変わる我々が見たいヒロインレースが勃発すると同時に爆上がりする詩織ちゃんへの愛は非常に素晴らしかった印象で、

元々次郎とは両想いなので、バシッと決めるところを決める度に進展が加速していく様子は気持ちが良かったですね。

この物語の最大瞬間風速を叩き出したポイントも詩織ちゃんがメインの話・第11話。

一時は圧倒的に負けムードだった詩織ちゃんが一気にメインヒロインに躍り出るこのエピソードで感じた追い風は今期でもトップクラスでした。

また、理想の嫁像としてのヒロイン力を引き出すことで星ちゃんとメインヒロインと負けヒロインの立場を逆転するような面白すぎるラブコメを展開できていたのも素晴らしく、アニメ最終話の先の展開で2人がメインヒロインと負けヒロインという立場をコロコロ変えながら争って結局詩織ちゃんが負けヒロインになってしまうような完璧な展開を容易に想像できる土台が出来上がっていたのは非常に素晴らしさを感じました。

この1期の段階では両ヒロインが戦う環境が整った!というところで終わってしまうので、叶うことなら2期が観たいなとひしひしと感じるレベルの詩織ちゃんの描き方は完璧でしたね。

 

最後に次郎の描き方。

これは個人的には非常に良くないなと感じる部分が多かったです。

序盤で詩織ちゃんが好きだと公言し、形式的にはずっと詩織ちゃんの方向を向いてはいますが、度重なる星ちゃんからの揶揄いと、星ちゃんが本格的に次郎の方向を向いたことで揺れ動く感情が最終回まで気持ちをハッキリさせずずっと描かれており、ヒロイン2人の気持ちをハッキリさせるフェーズを描いたにも関わらず、次郎に関するそれがなかったのは中々スッキリしない描き方でしたね。

しかも、詩織ちゃんのことが好きだと公言している割に詩織ちゃんが攻めの姿勢になる後半を台無しにするように揺れ動き方が尋常じゃなくなりますし、詩織ちゃんファンとしても気持ちがよくない描き方でした。

どちらか一方に真剣になってしまえば簡単に物語が終わってしまう要素なので揺れ動くフェーズは物語が続く限り繰り返されてしまう事ですが、やはりヒロインの描き方がいい分そこが悪目立ちしてしまうのでどうにかして欲しかったです。

 

ブコメに必要な魅せるべきシーンをバシッと決めてくる決断力の良さや、1から10まで描かなくとも登場人物の気持ちを察することができるような細やかな描き方が見れば見るほど好きになるを体現するようなアニメだったので楽しみ度が右肩上がりだったのは素晴らしかったですね。

ですが、やはりラブコメとしての粗さが時折目立ってしまうことで心の底から楽しむことができなかったのもまた事実。

恐らくアニメより先の展開で死ぬほど面白くなるんだろうなと思えるポテンシャルの高さを中盤から終盤にかけて感じられるアニメだったので、本当に2期が来てほしい。

お願いします!2期来てください!!!