れおぱるレビュー

『メイドインアビス 烈日の黄金郷』

オススメ度 SS

 

OP: SS

ED: B

作画: SS

わちゃわちゃ: B

夏らしさ: B

 

あらすじ

 

黄金郷を求めて旅する決死隊「ガンジャ」。隊の一員・ヴエコが持つ「星の羅針盤」を頼りに未開の地の航海を続けていた。ある日、激しい嵐がガンジャ隊の船団を襲う。次々に他の船が波にのまれていく中、羅針盤が屹立していることに気づいたヴエコ。隊のリーダーであるワズキャンにすぐさま知らせたその時、嵐の向こうに島が現れる。ようやく辿り着いたその島で、ガンジャ隊は見渡す限りの巨大な大穴を見つける。

引用元:ストーリー | アニメ「メイドインアビス」公式サイト

©つくしあきひと竹書房メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会

 

どうも!素晴らしい...以外の言葉が見つからないアニメは本当に困っちゃいます。

れおぱるレビューです!!!

 

2017年夏に放送された『メイドインアビス』並びに、2020年1月に公開された映画『メイドインアビス 深き魂の黎明』の続編となる本作。

1期では、未知の大穴を大冒険する過程で、我々が想像だにしていなかった様々なエピソードが紡がれ、強烈な印象を我々に与えたのは記憶に新しく、

映画では、愛という一言で表せることができるのに対し、愛の一言では済まされないようなものすごいストーリーを展開し、再び我々に衝撃を与えてきたのは昨日のことのように覚えています。

オススメ度をSSにしてはいますが、本来であればオススメなんかできない作品ではあるんですよ。

面白いのに容易に勧められない度し難さはこの作品ならではのところではあるんですが、オススメしなければならない。そういう使命感すら抱かせてくるTVアニメ第2期、もうすごいの一言ですよ。

こんなことあります?オススメしてはならないとわかってるのにオススメしなきゃならないんですよ?もう頭がおかしくなりそうです。

 

ということで、まずは映画のおさらいから。

ナナチが成れ果てる原因を作った探窟家ボンドルドと対峙したリコさん隊は、プルシュカと出会い、ボンドルドの目的を知る中で、レグを解剖されかけ、ナナチが再びあの日感じた恐怖に怯える。そういう話でしたね。

この映画の凄いところは、ボンドルドが純粋な悪になりたくてそのポジションに立っているわけではないというその後のストーリーにも繋がってくる、その人をその人たらしめる行動理由なんです。

ボンドルドがなぜあそこに留まり非人道的な実験を繰り返していたかという問題に対して、返ってきた答えは、アビスの解明・人類の進展の為だというボンドルドなりの探究心であり、

実際、それがアビスの呪いに対抗するための手がかりに繋がっているという凄さは、ボンドルドという人が持つ信念に繋がってきていますし、信念が感じられることで悪役であるはずなのに憎めないが憎まなければならない相手ではあるという複雑な感情につながってくるという凄みにも繋がっていましたね。

最終的には、リコ達はプルシュカが望んだように、プルシュカと共に旅をすることを選択し、二度とは戻れない絶界へ向かうことになり...というのが映画のお話。

 

ここからが本作が描くTVアニメ第2期。

深界六層に存在する成れ果て村を舞台にしたエピソードは、今まで描いてきた冒険譚とはまた違った凄みを終始感じられ、人が必ずもつ深いところに触れることでより登場人物達の感情が伝わりやすくなるという本当に凄いことを成し遂げている話でした。

 

成れ果て村で重要視される「価値」という概念が2期でのメインテーマとなっており、価値とは?にひたすら焦点を当てて、尚且つ『メイドインアビス』らしさを忘れない冒険譚も続いていたので、1期や映画を簡単に超えてくることができるものすごいエピソードの数々で感情がぐちゃぐちゃにされましたよ本当...

とにかく凄いのは、2期のメインテーマである「価値」

価値とは、簡単に説明するとその人自身が体験してきた出来事から生まれる思考や行動であり、価値があるからこそその人がその人であり続けるという、人間なら誰しもが持つ言わば、行動理由的なもの。

この価値が重要視される舞台でひたすら価値に触れることで見えてくる登場人物達の人間性は、どんな理論を並べられるよりも容易に我々に感情などを訴えかけることができ、このストーリーで描きたいものが嫌でも脳裏に叩き込まれていく感覚が常にあり、それによって目を背けたくなるような悲しい体験も実際に自分たちが体験してきたかのように伝わってくる凄さがありました。

しかも、2期で紡がれる時間軸の違う二つの物語、

リコさん隊の冒険譚と、ガンジャ隊の冒険譚が成れ果て村を起点に時間軸を超えた繋がりを見せていくシーンなどは圧巻そのもので、

二つの冒険譚が繋がった途端に語られる成れ果て村の生い立ちエピソードでは、メイドインアビスらしい慈悲が全く感じられない辛すぎるエピソードも描かれるという鬼畜ぶり。

それなのに見てられないという感想ではなく、面白い...という感情に繋がる凄さはもうこの作品でしか出せないものだとひしひしと感じさせられました。

 

結局、このエピソードで描きたかった事は私自身100%理解できているかと言われれば素直に頷けないんですが、恐らく、

夢や目的に対して進み続ける力の重要性や、それを構成する為の積み重ねの重要性だと思うんですよね。

先で述べたように、2期では価値というものが徹底的に描かれ、価値を構成する体験からなる思考や行動がその人をその人たらしめるわけで、価値を育むためには様々な体験の中で、自分で道を選択し続け前に進み続けることこそが重要であり、それが積み重ねとして価値となっていくという人間なら誰しもが持つ深いところに触れていくことで、リコ達にここで体験したことや、この先に待ち構えている今までを超えるような体験も冒険を進める上で重要な価値となってくることを認識させたようなエピソードだと個人的には思っています。

このエピソードがあることにより、リコ達は更なる冒険やライザの手がかりを探す為の足取りを止めることはありませんし、物語全体を見渡しても重要なキーポイントとして今後語られていくことは間違いないだろうなと思えるほどの深さ、もう素晴らしい以外の言葉が見つかりませんね。

 

そして、物語の中でもう一つ重要になってくるのはファプタという謎の少女?の存在。

物語を見ていくとファプタが何者なのかというのが描かれ、ファプタの目的が母の解放であることも明かされますが、

ファプタの何が凄いっていうと、度し難い環境の中でしっかり成長を遂げていく姿と、物語当初からの疑問ポイントであるレグの出所に繋がっているかもしれないという物語全体に関わるキーパーソンだということですよね。

度し難い環境の中で成長を遂げていく姿はまさに圧巻そのもので、母から感じる憎しみや悲しみを受け継ぐ形で己の行動理由を構成し、成れ果て村の住人を敵視し実際に村人と戦う中で、ファプタが知らなかった母の一面を次々と知り、憎しみや悲しみ以外の母の感情を初めて感じ、自分の行動理由が自分で選択したものではないことを認識し、迷いに迷った結果自分で選択した行動理由を基に行動に移すことで、価値の化身が本物になるという成長を遂げる様はまさに2期で描きたいことを凝縮したような凄さを感じられましたね。

物語全体に繋がるキーパーソンとしての描き方については、レグが記憶を失う前の姿を知っているということもあり、レグが何者なのか?という今後描かれていくであろうエピソードでまた重要なポジションに立ってくるでしょうし、自分の価値を明確にし成長を遂げたことで、成れ果て村編だけでは終わらいポジションに立ってくるでしょうし、本当この後が楽しみになるような繋げ方をしていて、メイドインアビスが描こうとしていることの面白みがもう感じられるという素晴らしいことをしていました。

 

ここに辿り着くまでに今まで描いてきたことが、そこの章だけに留まらず、今回であればプルシュカの活躍であったり、価値に繋がる積み重ねとして振り返ることができたりと、物語全体を通して紡がれているシンプルなストーリーのおもしろさをひしひしと感じられるのが本作の特徴であり、近年のアニメで言えば、冒険譚を描かせたらこのアニメに対抗できるものはいないだろうと断言できるほどの出来の良さ、間違いなくアニメ史に残る名作だと思います。

未知の大穴で未知の生物に遭遇し、アビスの呪いがあることで容易に動けないという制限があることで物語がさらに面白くなっていくという設定の良さ、

そもそも描いているストーリーはとてもフィクションとは思えないほど人間みが感じられ、完成度が高いものであり、恐らく作者の実体験なんだろうなと思ってしまうほどの出来は素晴らしい以外に言うことがありません。

オススメできない作品でありながら、オススメしなければならないという使命感に駆られる本作。

間違いなく見る人を選ぶ内容であり、実際1期は私も画面を直視できなかったレベルのグロさがありましたので、無理にとは言いません。

ですが、間違いなくアニメ史になを刻む名作であることは確かなので、絵が嫌いだからという理由で敬遠している場合ではないと思いますよ。

 

↓1期はこっちか!度し難い...↓

『メイドインアビス』

 

映画はレビューを書いていないだと!?度し難い...