れおぱるレビュー

『英雄王、武を極めるため転生す 〜そして、世界最強の見習い騎士♀〜』

オススメ度 B-

 

OP: B

ED: B

作画: C

わちゃわちゃ: B

 

あらすじ

 

一代で大国を築き、英雄王と称えられた老王イングリス。彼はその最期に「生まれ変わって、生涯を己の武のためだけに捧げる生き方をしてみたい」と女神アリスティアに願い、遥か未来の世界に転生を果たす。ただし、その性別は何故か女性になっていた!!気を取り直して赤ん坊の身で鍛錬を始めるが、そこに前世にはいなかった「魔石獣」と呼ばれる怪物が現れる。イングリスは襲い来る魔石獣を前に、規格外の力を存分に発揮する――!!

引用元:TVアニメ『英雄王、武を極めるため転生す 〜そして、世界最強の見習い騎士♀〜』

©ハヤケン・ホビージャパン/『英雄王、武を極めるため転生す』製作委員会

 

どうも!鬼頭明里さんの声を堪能する為だったらどこへでも駆けつけます!

れおぱるレビューです!!!

 

自らの武を持って大国の王として君臨し、英雄王として崇められていたイングリスは、老衰後女神から転生を持ちかけられ権力や地位などを捨てただ武を極めたいと願い目が覚めると女の子のイングリスとして転生していた...というお話。

 

魔族や魔物をどうのこうのする物語に最近飽き飽きしている私なので、何かが違う異世界を舞台にしたアニメを求めてたどり着いたのが本作。

魔族や魔物と対立する物語などではなく、本作にしかないハイランドという文明が進んでいる国に支配される地上世界を舞台にした物語だったので、設定レベルから他にはないを感じていた為大いに期待して見始めた作品でしたが、結論から言うとつまらないが先行してしまう残念な展開になってしまったなと思いました。

 

転生後、名誉や地位や権力に目も暮れず、ただ己の武を極める為にひたすら強くなっていくクリスは転生前にはなかったハイランドの存在を知り、いつかハイランドに住む強者と一戦交える事を夢見るようになるんですが、

結論としてハイランドに辿り着かないまま物語が幕を閉じてしまったのは消化不良感しかありません。

せっかく本作にしかない設定なのにも関わらずそれをや全然活かそうとしない展開は残念に思えます。

クリスの戦闘民族っぷりを生かしていろんなしがらみや過程をすっ飛ばしてハイランドに道場破りに行くようなノリで大暴れして欲しかった求めていたものが描かれないこれじゃない感は凄かったです。

また、ハイランドという唯一無二の設定がありながら、物語が進むにつれ魔石獣という言わば魔物と戦う事が物語のメインになってしまっていたこともつまらないと感じる要因になっていたと思います。

クリスの幼少期では対人戦をしっかり描き戦いの中で楽しさと駆け引きを見出す面白いバトルを展開していただけに、それを感じられなくなってしまった対魔石獣戦はやらなくて良かったのではと感じてしまいます。

物語上でも騎士アカデミーに入学していたので、命を取り合うような戦いは出来ずともアカデミーに属する強者たちとクリスが笑顔で一戦交え合うようなストーリーの方がまだ面白かったかなと思えてしまいますしね。

魔族や魔物が絡むストーリーが見たくない想いで見始めた作品なだけあって結局そっち方面の話で落ち着いてしまったのは本当に残念でした。

 

ただ、悪いところばかりではないのも事実。

本作ならではのハイランドという設定レベルから面白さを感じ取れる面と同様に面白さを感じたのは、なんといってもクリスの描き方でしょう。

地位や名誉や権力は前世で持て余すほど手に入れてしまっているので、今世では武を極める事と幼馴染で親友のラフィニアを守ることに達していたという描き方が突き抜けていたのはシンプルに面白かったです。

作中で無類の強さを誇るクリスなのに、世界平和やメインテーマのハイランドに微塵も興味がなく、ただ戦えるならそれでいいみたいなスタンスは惚れ惚れします。

そして、戦えば戦うほど、敵が強敵であれば強敵であるほど笑顔で戦ってしまうクリスもここにしかない魅力がしっかり描かれていて戦闘シーンに美しさを見出せるようなとてつもない事を成し遂げていた印象もありました。

また、強すぎるが故に物語のバランスブレイカーとして君臨してしまう危険がある為、ラフィニアにだけは忠実というブレーキを用意する事で物語の進捗を調整できるという描き方も面白いなと感じさせられましたね。

最強だけど面倒な事に巻き込まれたくないとか、そもそも最強な事を理解していないみたいな腑抜けた描き方をせず、己の強さをしっかり理解させていて、それでも物語が崩れ落ちてしまわないように調整ができる力の与え方は観ていて上手いなとひしひしと感じました。

 

魔族や魔物がどうのこうのやる物語はもう描かれ尽くされているので新しいアニメがそれを紡ごうとも最初から飽きが先行してしまう状況が成立してしまっている現状、何かが違うをやらなければつまらないに属してしまう厳しい環境が続く中で、この物語にしかないがちゃんと輝いていたのにも関わらず結局魔石獣がどうのこうのに落ち着いてしまったのは非常に残念でしたが、

大義名分を持たずに戦闘とご飯の時だけ生き生きする一歩身を引いた主人公の描き方は別角度から見る物語を成立させていて、設定レベルから面白いを感じる作品として駆け抜けてくれた印象があります。

原作ではおそらくハイランド絡みの話をドンパチやるんでしょうが、1クールのアニメには到底収まりきれない内容なので、1クールアニメとしてはつまらないというイメージがどうしても先行してしまいます。

広げた風呂敷やまだまだ掘り下げられるポテンシャルを持っている騎士アカデミーなど面白くなる要素が未だ眠ったままで幕を閉じてしまうので、長期的に楽しむべき作品だと感じました。