れおぱるレビュー

『トモちゃんは女の子!』

オススメ度 A+

 

OP: A

ED: A

作画: A

わちゃわちゃ: A

 

あらすじ

 

春、桜の舞い散る通学路。相沢智(トモ)は高校入学と同時に、想いを寄せる幼なじみの久保田淳一郎に愛の告白をする。しかし、トモのことを「親友」としか見ていない淳一郎には、その想いは全く伝わらない。
一世一代の告白が失敗に終わり、気を落とすトモはもう一人の幼なじみ・群堂みすずにアドバイスを求める。すると、みすずの口から思いも寄らないアドバイスが飛び出すのだった――。

引用元:STORY | 「トモちゃんは女の子!」 TVアニメ公式サイト

©柳田史太・星海社/トモちゃんは女の子!製作委員会

 

どうも!そこに大恋愛の物語がある限り名作だ!と叫びまわるのが趣味です!

れおぱるレビューです!!!

 

男っぽい性格で女の子として見られないことが悩みな少女・相沢智は、高校入学と同時に親友である・みすずに幼馴染の男友達・淳一郎が好きであると打ち明ける。

淳一郎は智の事を男友達の延長として見ている為、トモちゃんを女の子として見せる為の葛藤の日々が始まる...

 

名作でしたね...

正直舐めてました。ここまで恋愛面で面白さを紡ぎ倒してくるとは思ってもなかったですね...

本当アニメは最後まで見なければわからないなと理解させられるような作品でした...

 

素晴らしい大恋愛を紡いだ本作ですが、前半と後半でガラッと物語の印象が変わるのが深く印象に残ります。

物語の前半にあたる部分では、トモちゃんをなんとか世間一般で良しとされる女の子へ改造していこうとあの手この手で女の子らしさを叩き込まれ、やったこともない恋愛の駆け引きを淳一郎を振り向かせる為に行いますが、悉くトモちゃんが撃沈・自爆する事により面白いギャグとして処理されていた印象があり、この物語はラブコメを匂わせつつも女の子として見られたいギャグを主体とした作品なのかなと思うレベルでテンポも良かったですし、描かれるギャグも面白かったので、

〇〇さんをフューチャーする作品にありがちな現状維持で物語を締めるのかなと大体予想していたんですが、それが大幅に覆される後半にこの物語の全てが詰まっていました。

後半パートでは、世間一般で良しとされる女の子になりたくてもなれなかったトモちゃんやそれを後押ししてきたみすずちゃん、キャロルちゃん、はたまたトモちゃんに対する気持ちを明確にしてこなかった淳一郎ももがき苦しむ様が描かれ続け、

全員で作り上げる青春の物語と大恋愛が完成していたなという印象があります。

トモちゃんも淳一郎もお互いに好きであることはわかっているのに、中々ゴールに辿り着けないのは世間一般で良しとされるカップル像になりたいわけじゃないからという答えを導き出し、自分達らしさを貫きそういうものだと受け止め合う事で大恋愛に発展していく様は見事としか言いようがありません。

また、そのゴールを見出していく過程で紡がれるキャロルちゃんの恋模様やみすずちゃんの立ち回り方なども素晴らしかったですし、淳一郎のバックボーンを後半で掘り下げる事によりトモちゃんに対する気持ちを徐々に明確にしていくなど、決して誰1人として欠けてはならない全員で作り上げる青春と大恋愛が丁寧に描かれてたのは素晴らしい以外の言葉がありませんでした。

それに加え、みすずちゃんがトモちゃんと淳一郎の関係性が縮まらない原因を作ってしまったと後悔するフェーズでは、一見大恋愛に繋がらなそうだった前半のコメディパートの見え方が変わってくるという描かれ方がされていたのもものすごく、

トモちゃんに世間一般で言われる女の子の姿を推奨してきたからこそトモちゃんに間違った道を歩ませてしまったと解釈できるようになるので、大恋愛に繋がらなそうだった前半パートでさえもなくてはならなかった存在へと昇華され続ける描き方はシンプルに物語の紡ぎ方が上手いなと感心する事しかできませんでした。

世間一般で良しとされる女の子像や男の子像に囚われる事で自分達が望む関係性に近づけずそこに楽しさも見出せないのであれば、その大恋愛観は間違っているとはっきりと描き、

恋愛には無限のパターンがあっていい。自分達らしさを受け止め合え、望むような楽しい関係性が築けた時こそそれが大恋愛と呼べるのだからとしっかり描ききる姿勢は名作と言わずしてなんと言うのか。

本当に素晴らしいものを見たと心の底から思いましたね。

 

そんな己を貫くことで大恋愛を成立させた作品に言うには野暮なことかもしれませんが、

前半と後半の印象がガラッと変わることでどうしても目立ってしまう問題もありました。

それは強すぎるコメディパート。

前半で描かれるコメディパートはテンポが非常に良くヒット率も異常に高いので、本作を見始めた時に初めに見出す楽しみポイントの一つになるんですが、後半からどちらかと言うと真面目パートに突入してしまうので出来るはずのコメディの面白さが損なわれてしまっているなという印象が常に付き纏ってしまっていたのは少々痛かったかなと感じます。

前半のコメディパートに、わからない事だらけの初恋だからこそ間違ってしまったという意味を見出す後半パートを付け足す事によって物語全体の調和を計っていましたが、やはり前半パートの勢いが失われてしまった悲しみというのはどうしても感じてしまうので、コメディパートと大恋愛の緩急のバランスをもう少し調整して最後まで全方位の勢いが失われないラブコメにしてくれたらもっと嬉しかったかなと思いました。

ただ、先ほども言ったように私の言う世間一般論に囚われない事で大恋愛を成立させた作品なのでこれが正解なのは変わりないので大した問題じゃないんですけどね。

 

わからない事だらけの初恋だからこそ間違える事は多々ある。

世間一般で言われる恋愛の形をなぞるようにして性に合わない恋愛の駆け引きを行ってしまえばゴールしても望んだ関係性にはなれない。

始めは世間一般で良しとされるカップルを目指すも中々ゴールに辿り着けず、これじゃダメだとみんなで悩みもがき、導き出した自分達らしさを貫いた恋愛の形だからこそ誰にも負けない大恋愛が成立する。

決して誰1人として欠けてはいけない素晴らしい青春の物語と素晴らしいラブコメを見ました。

誰かが決めた価値観なんかに囚われず『トモちゃんは女の子!』だからこそ描ける大恋愛を終始徹底して描く姿勢には脱帽する以外にないですね。

ボーイッシュな女の子は好みじゃないからさほどハマらないだろうと決めつけていた1月の私をぶん殴ってやりたいくらいにハマり散らかした作品になりました。

 

メインに据えられる女の子が好みじゃないからとか、そういうしょうもない理由をつけてラブコメを見ないのはやはりいけませんね。

一度見始めたアニメを途中で切ってしまうのも本当にいけません。

1クールアニメの本質と自分自身がまだ気付いていない女の子の好みを訴え続けられるような作品で、目が覚まされました。

自分の知らないを知る時こそ興奮するものはありませんからね。

先行する価値観で物語を判断せずにいろんなアニメに触れる事で本作のような名作に出会えるんだと考えると益々アニメにハマってしまいます。

本当に素晴らしい作品でした。