れおぱるレビュー

『異世界のんびり農家』

オススメ度 B+

 

OP: A

ED: SS

作画: A

わちゃわちゃ: A

 

あらすじ

 

「農業をしながらのんびり暮らしたい」
病で命を落とした青年・街尾火楽(ヒラク)は、神様に望みをかなえてもらい、異世界へと転生するが……目覚めたのは深い森のど真ん中。
水も食料もなければ寝床もない、頼れるのは神様からもらった「健康な身体」と「万能農具」の力だけ。
それでもなんとか自給自足の生活を始めるべく、火楽は見渡す限り広がる森の中を右往左往しながら奮闘する。

引用元:STORY/ストーリー|異世界のんびり農家

© 内藤 騎之介 /
異世界のんびり農家」製作委員会

 

どうも!疲弊した心をいつも癒してくれるのはスローライフ系のアニメですね!

れおぱるレビューです!!!

 

若くして病死してしまった街尾火楽は、神の手違いにより過酷な人生を歩んでしまったことを告げられ、せめてもの罪滅ぼしに次は望みを叶える形で転生させると約束され、そこで「農業をしながらのんびり暮らしたい」と願うが、転生した先は見渡す限り森が広がり人の気配すら感じられない場所だった...という物語。

 

ここまでタイトル通りのものを貫いてくるのかと終始驚かされたアニメでした。

タイトルにもある通り、異世界でのんびり農家をするというのが本作の大きなテーマですので、世界を救う為に武器を取るみたいな描写があれば貶しまくってやろうと身構えていたんですが、蓋を開けば農業農業農業。

本当に異世界でのんびり農家をするだけのストーリーはシビれましたね。

近年では、スローライフを謳いながら重苦しい雰囲気にシフトチェンジしてしまう悲しい作品がある中で、ここまで波風立てずにスローライフを貫いてくる作品は久しぶりに見たような気がします。

終始自ら謳っているのんびり農家を徹底し、視聴者から求められているのんびり農家に応え続ける姿勢に私は感動しましたよ。

スローライフを貫けば何も起こらない物語になってしまう危険性があり、物語的な面白さが皆無になってしまうものですが、本作はそれに臆することなくスローライフを貫くことにより本当に何も起こらずただ火楽が作った村が農業によって繁栄していく様だけを描いていて逆に怖かったですね...

私の性癖に刺さりすぎて。

それ程にまで徹底してテーマ通りの物語を貫けていました。

 

本作で特筆すべきなのは農業を使った物語の動かし方でしょうか。

前述した通り、農業によって反映していく様が永遠と描かれるんですが、ただ農作物を生産して売り捌くようなことはせず、火楽が作りたいと思った農作物を育て、それを美味しく食べる為に得意分野が異なるヒロイン達が能力を遺憾無く発揮し、結果として村の文明レベルの底上げに繋がり、それが村の繁栄に直結していくというような流れで構成された村を大きくしていく描き方も私の性癖すぎて頭がおかしくなりそうでした。

火楽が願った気ままに野菜を育てるということも達成されていますし、これでもかと補充されまくるヒロイン達にも異なる得意分野を与えることで活躍できる場を均等に与え村全体が盛り上がっていきそれがタイトル通りのものとして形になっていく様は何も起こらないながら圧巻で、物語的には何も起こっていないのに面白いと感じることができる凄みに溢れかえっていました。

こういうところの積み重ねから本作の何もないなりの強さが滲み出るんだろうなとひしひしと感じさせられましたね。

 

ただ、一つ消化不良だなと思うのは、あまりにもテンポよく女の子達を補充したことによる掘り下げ不足要素ですね。

火楽が暮らす死の森を村と呼べるレベルにまで押し上げないといけないので、人員の補充は必須ですが、人員を補充パートを詰め込みすぎることで魅力を持て余してるキャラが多かったように感じます。

前述した通り、それぞれのキャラに得意分野が割り当てられているので、掘り下げ不足でもそれなりの活躍ができてしまう環境があることにより、もう少しあの子に触れたいな...と思ってもそれ以上の映し出しがされないのでそこが勿体無いなと思ってしまいましたね。

また、キャラデザも非常に良いので、他の異世界アニメのヒロイン達と同等の魅力の引き出しがなされていれば村人全員がメインヒロイン候補として視聴者から愛されるキャラ像もできていたと思います。

ヒロイン達の魅力を引き出すことによって物語側から用意されるイベントではなく、キャラが動いた結果のイベントに見せられるような、キャラが突き動かす物語もできるので、キャラの掘り下げはもう少しやってほしかったですね。

 

目に余るほどのご都合主義やあまりにも女の子を補充しすぎてしまうようなどうしようもない事ばかり描き、物語的な面白さもないといっても過言ではない本作ですが、

ご都合主義だからこそ、女の子を補充しすぎてばかりだからこそ、何もないからこそ素晴らしいが成り立ってしまうようなテーマとそれに対するアプローチの仕方を永遠と紡ぎ続け、決して求められている事以上の事に手を伸ばそうとしない姿勢は信頼に値します。

私からスローライフ系に向ける信頼がより一層強固になるような作品で毎週楽しみまくれました。

今週もすげえのんびりしてるなと思ってたらいつのまにかEDが流れ出すほど30分間に没頭できますし、本当にすごい作品です。

EDも曲の良さもさることながら、映像がとにかくよくて泣きますよ。

村人達が火楽に一輪の花を手渡し続ける映像は物語の進捗によって変わり村人達からの愛を感じることができますし、EDの最後にみんなからもらった一輪の花達が集まって花束を抱える火楽が映し出されるところは最高すぎましたね。

しかも、最終回のED映像も元から持つ良さをフルに活かした最終回仕様の映像を差し込んできてましたし、是非ともそこまで見ていただきたい。

本当に素晴らしい作品でした。