れおぱるレビュー

『お兄ちゃんはおしまい!』

オススメ度 S

 

OP: SS

ED: SS

作画: SS

わちゃわちゃ: S

 

あらすじ!

 

2年も外に出ないで、いかがわしいゲーム三昧の“引きこもりでダメニート男”な緒山まひろ。昼時に目を覚ますと、どうも身体の様子がおかしい…。不思議がりつつも布団から起き上がりタブレットを手に取ると…、そこには見ず知らずの“可愛い女の子”が画面に映っていた!自身の姿に混乱するまひろの元に、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れると、飲み物に薬を盛ったと告げられる…!みはりによる“女の子になる薬”の経過観察として、突如始まった女の子の生活!トイレやお風呂など分からないことばかり…。“元”お兄ちゃんであるまひろの運命はどうなる…!?

引用元:#01.まひろとイケないカラダ - エピソード | TVアニメ「お兄ちゃんはおしまい!」公式サイト

©ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会

 

どうも!TSっていいよな...

れおぱるレビューです!!!

 

引きこもりのダメニートの兄・まひろを更生させるために、飛び級で大学に進学した天才妹・みはりが女の子になる薬をまひろに盛り、女の子の身体になったまひろに女の子として人生を再スタートさせる...というお話。

 

導入部分だけ見ると、エロ漫画で見かけるような導入だけにえっちな展開へと思考が働いてしまいますが、そんな我々を嘲笑うかのようにしっかりとテーマに準える形で物語を展開し、しっかり面白いを叩き込んできた素晴らしい作品でしたね...

というのも、題材が一歩間違えれば下品になってしまうのにも関わらず、一歩踏み外すという事を徹底的に行わない事で、美しさを感じるレベルの変態アニメーションとしてあり続けたことにこの作品の凄みがあると思えるんです。

主人公のまひろちゃんは元男の子という事で、女の子の身体になったからには!と大暴れしそうなものですが、それを抑止するために物語前半部分で叩き込まれた女の子のいろは。

そこには我々が知る由もない、ただ生きてるだけで月に一度ものすごく辛い現象が待ち受けていたり、毎日入るお風呂でもいろんな部分をケアしなければならなかったり、一歩外に出てしまえば色々と気を使うことがあったりと、女の子はただかわいいだけ生き物じゃないんだぞと、いい塩梅で女の子のリアルを描いてくるので、まひろちゃん自身もそれを身をもって体験し、そういう下品な思考に至らなくなるように仕向ける物語展開に隙がなさすぎましたね。

しかも、女の子のリアルな部分を描きすぎないというのもポイント。

あまりにも徹底的にリアルを追求してしまうと、我々のような紳士は創作物でそんなものは見たくないと反発してしまいますが、そこを考えられた上での良い塩梅のリアルだったので我々もまひろちゃんと同じ立場に立って女の子というものを叩き込まれていく感覚に陥ることができ作品そのものに没頭できる空間が完成していたことは非常に素晴らしかった。

しかも、紳士だけに気を使いすぎるとどうしてもリアルではないような萌えに振ってしまいがちですが、そこを考え淑女にも受け入れられるように淑女に共感を得やすい女の子あるあるをリアルに寄せた形で提示してくることで、淑女にも愛される作品にもなってしまうという強さあふれる采配をとっており、紳士淑女に愛される唯一無二の作品へと上り詰めていく様は見ていて気持ち良すぎましたね。

オタク文化に浸かっている人間なら性別問わずに惚れさせてしまうような設定と物語の運び方、脱帽する以外することがありません。

 

その設定を生かした物語展開が徹底的に描かれた導入〜前半で女の子の立ち振る舞いを叩き込まれたまひろちゃんに待ち受ける中盤〜後半にかけてのパートも素晴らしさが止まらないのが『おにまい!』な素晴らしいところ。

ある程度女の子らしくなってきたところで中学生、それも女の子だらけの空間に放り込まれ徐々に社会復帰という大きなテーマに触れ出してくる重要なパート。

前述したように女の子だらけの空間に放り込まれようとも下品な空気感というものは一切なく、程よく変態であり続けながらも、しっかりと萌えを増幅させ続ける展開に私は涙を流して喜びました。

というのも、ただわちゃわちゃするだけというエピソードの中にも、男に戻りたがっていたはずのまひろちゃんが女の子の生活も悪くないと徐々に考えを改め出している描写が絶妙に差し込まれ、至る所で満更でもない表情を浮かべるので、我々視聴者はみはりちゃんと同じような嬉しい気持ちに包まれ、常に幸せな空間が広がっていたからなんです。

その空間を作り上げた立役者として、女の子を叩き込んだみはりちゃんの存在もありますが、何よりも内向的なまひろちゃんを温かく迎え入れてくれたもみじちゃん達の存在が非常に大きく、まひろちゃんに女の子だらけの世界の楽しさを教えてくれたおかげで、徐々にではありますが外交的な一面もまひろちゃんが見せ始め、大きなテーマである社会復帰に繋がるような描写も描くことができ、遊びパートにも関わらず物語のテーマに直結するような重要なパートはと昇華させられる程の関係性が構築できていたので素晴らしいという言葉以外かける言葉がありません。

しかも、徐々に社会復帰という名の階段をまひろちゃんが登る過程で、みはりちゃんやもみじちゃん達のおかげでここまで来れたことをまひろちゃんが誰よりも理解しているので、不器用ながらも感謝をまっすぐ伝える描写にエモさが溢れ出ており、ただかわいい女の子達がわちゃわちゃやるだけの作品ではない、只者ではない作品だと我々はひしひしと感じ取ることができるので、最終的には涙を流しながら拍手しかすることができない哀れなオタクにされてしまいます。

ほんと、オタクが好きな事を徹底的に理解し描いてきているなと感じる作品でした。

 

みはりちゃんの一存によって始まったお兄ちゃん改造計画ですが、当の本人であるまひろちゃんが誰よりも女の子の生活を楽しめるような物語展開、キャラ達の動かし方をしているので、見ている我々も終始笑顔で見守ることができる、そんな悪いところが一切ない素晴らしいジャパニーズ変態アニメーション。

日常系に分類されるアニメにも関わらず、画面の至る所が常に動きまくり、めちゃくちゃ安定した超作画を1〜12話まで毎回楽しめるのも凄いところ。

アニメーションの技術については詳しくありませんが、そんな私でもこのアニメーションが物凄い技術で作られていることはわかる。

聞くところによるとOPは1秒間に160枚の絵が使われているとかいないとか。

それと、演出部分においてもアニメーションの強みが存分に生かされていて、第9話のクリスマス回では、意図的に台詞を入れないシーンを長尺取るというあまり見ない攻めた描写を挟みますが、誰がどんな言葉を発しているのか容易に想像が出来るような動かし方をしていて、今でも鮮明に記憶に残っているほどのもので凄いなという言葉しか出てきませんでした。

この意図的な演出はここだけに留まらず、第8話のお泊まり回では意図的に作画を崩して独特な雰囲気を作り出すような演出も見ることができるので、純粋に映像作品としての凄さも堪能できます。

 

日本のオタク文化の良いところと悪いところがこれでもかと詰まり共存している作品なので、恐らく世に出てはいけないジャンルに分類されてしまいますが、

純粋な物語の面白さ、純粋な映像作品としての楽しさという点で是非全人類に周知してほしい作品だと私は考えます。

女子中学生の下着姿やお風呂に入るシーンなども一切手を抜くことなく大真面目に描き抜く姿勢もジャパニーズ変態アニメーションとしての地位を揺るがないものにしていますし、突き抜けたフェチズム描写があるからこそ下品に捉われない、一歩を踏み外さない絶妙なラインを攻めることができている素晴らしい作品です。

萌えはちょっと...など言っている場合ではありません。

全ての要素のレベルが高すぎるかわいい女の子の世界に平伏し、『おにまい!』無しでは生きていけない身体に改造されましょう!