れおぱるレビュー

『現実主義勇者の王国再建記』

オススメ度 B+

 

あらすじ

 

相馬一也は勇者召喚の儀式によってエルフリーデン王国に召喚された。
アルベルト王はその資質を見抜き、彼に王位を譲るとともに娘リーシアとの婚約も決めた。
現代知識を駆使して挑む王国再建記がここに始まる。
 引用元:第1話|STORY|TVアニメ「現実主義勇者の王国再建記」公式サイト

© どぜう丸・オーバーラップ/現国製作委員会

 

どうも!今期の国家再建枠2つ目!

れおぱるレビューです!!

 

面白いというか、私の性癖が刺激される作品でした。

ある日突然異世界に召喚されたソーマは、王に才能を買われ王位を譲られるが、召喚された国・エルフリーデンは問題だらけで...という物語。

 

国作りについては、実際に行ったことがないのでどういう手順を踏めば良いかなど皆目見当もつかないジャンルではありますが、本作は見たいなと思える展開を一つ一つ丁寧にやってくれる、まるで私の性癖のために作られたのかと疑いたくなってしまうほどのストーリー展開がされており、非常に良いものでした。

まず、エルフリーデンに上がっている大きな問題として、財政難と食料不足に解決に着手していくソーマ。

この世界の人からすると考えもつかないような、現代の知識に基づいた改革を行い、少しずつ状況が改善されていく様子など、掲げているテーマに沿ったものがちゃんと描かれているなと感心した記憶があります。

現実主義と謳っているだけあって、魔法やチートでどうにかするというものは行わず、問題解決も短期的な見方で行うのではなく、長期的にメリットの大きい方を選択し政策を推し進めていく様子などが見ていて非常に気持ちよく、また、その政策により問題が解決されていく様子なども描写されるので、達成感というものも感じられました。

今期にはもう一つ赤字国家を再生するアニメがありましたが、そのアニメに求めていたことの全てをこのアニメが賄ってくれていたと言っても過言ではないほど、現実主義かつ丁寧に物事を描いていたので、非常に素晴らしいなと感じました。

 

その大きな問題解決に着手して以降、その問題から新たな問題が派生するように広がっていき、数々の問題を解決に導いていく中で、国内の一部過激派からの反発と隣国からの攻撃などに晒されるのが1クール目でした。

問題から派生する新たな問題も、突拍子もないものなどが描かれるわけでなく、こう動いたらここが飛び出すといったように、妙に納得のいくストーリーの繋がりを感じられる物語の運びも非常に面白く感じましたね。

そして、国内の改革だけでなく、隣国との戦争にも現実主義に基づいた戦術が描かれていたのがまた素晴らしかった。

隣国が攻めてきたのも、改革を行う上で仕方がなかったことで、その戦争を勝利に収めることで、国内の一部で起こっている反乱も鎮圧することができるという問題同士の結びつき、解決の方法は美しさを感じられるほど。

ここまでテーマ通りにストーリーを展開してくるのかと。

正直驚かされ続けた1クール目でした。

 

そして2クール目。

勝利に収めた隣国との戦争の戦後処理から始まり、大陸の盟主である帝国との関係性をどうするか、まだまだ抱えるエルフリーデン国内の問題などが描かれていました。

戦後処理パートに至ってというか、物語全体に言えることですが、正直テンポが悪すぎるので長く退屈に感じられる方もいるかもしれませんが、裏を返せば一つ一つの踏むべき工程を丁寧に踏んでいっているということですので、改めて本作の丁寧さなどに驚かされました。

また、2クール目は1クール目のように大きな爆弾が爆発するような大事件は起こらないものの、国内の大きな問題解決から派生した小さな問題の数々に政策を打ち出していく様子が描かれており、少しずつですが着実に国力が上がり、財政が回復していく様子などが垣間見えるので、達成感がものすごいのなんの。

国作りアニメというものはこういう姿であるべきなんだなという、一つの教科書のようなものが目の前で出来上がっていく感覚がありました。

 

ただ、丁寧に進めすぎたが故、ストーリーで描ききれていない、解決できていない問題が数多く残っているのも事実。

魔王領やトモエちゃんの活躍の場などはまさにそうで、物語の肝といえる部分が全く描かれることなく、2クールが経過してしまっていたため、正直消化不良です。

私の性癖に大きく語りかけてきていただけに、物語完結まで見届けたいという思いがありますが、あからさまな低予算でアニメが制作されているので、続編が絶望的というのも減点対象ですね。

基本的に作画があまり安定していないので、アニメとしての出来が悪すぎるんですよ。

ここはもう少しどうにかならなかったのかなと思います。

 

現実主義と王国の再建を掲げてストーリーが始まった本作。

掲げているテーマに寄り添ったものをきちっと描き、テーマに対するアプローチが非常に美しいなと何度思ったことか。

チートや魔法に頼らなくとも現代の知識だけで無双できるこういう異世界アニメがやっぱり好きなんですよね私。

国内にいる人材を選りすぐって、優秀な人材を集め、国内の問題を国内のものだけで解決していく様とか、物事を長期的な目で見て、メリットとデメリットを把握した上で判断を下していくところとか、国作りに求めるものをしっかり描いてくれたなともう感謝しかありませんね。