れおぱるレビュー

『シャインポスト』

オススメ度 S

 

OP: S

ED: SS

作画: A

わちゃわちゃ: SS

夏らしさ: SS

 

みんな聞いてくれよ...あらすじみたいだ...

 

「君たちTiNgSには解散してもらおうと考えているんだ」。
その日、アイドルグループ”TiNgS”の青天国春(なばためはる)は、所属事務所の社長にそう告げられた。メンバーの玉城杏夏(たまききょうか)、聖舞理王(せいぶりお)と共に、コンサートで中野サンプラザを満員にすれば解散は取り消されるという。頼みの綱は、突如充てがわれたマネージャー、日生直輝(ひなせなおき)の手腕だけ。だが、そんな彼からも予想外の言葉が飛び出して……。
「みんながみんなのアイドルを、大好きって大きな声で言えるようにしたい!」。
はたして春は、自身が言い放つ「輝く道標(シャインポスト)」になれるのか。

引用元:第01話|STORY|TVアニメ「シャインポスト」公式サイト

©Konami Digital Entertainment, Straight Edge Inc. / シャインポスト製作委員会

 

どうも!

おいおい...みんな聞いてくれよ...

やっぱり俺はシャインポストを愛しているみたいだ...

れおぱるレビューです!!!

 

素晴らしいアニメでしたね...

2022年夏クールはアイドルを取り扱ったアニメが沢山あったクールだったので、正直本作以外のアニメが化けるだろうと放送前は思っていたので、このアニメがこんなにも面白くなるものだとは夢にも思っていませんでした。

これだからアニメを見る事をやめられないんだ!と言いたくなるような素晴らしいものが描かれていましたね。

 

知名度が全くない弱小アイドルグループ・TiNgS。

デビュー1周年を機に解散の危機が迫っていた彼女らの元に1人のマネージャーが現れ、中野サンプラザを満員にし解散の危機を逃れるために頑張る日々が幕を開ける...という物語。

 

まず、このアニメを象徴することと言えば、マネージャーが持つ嘘を見抜く特殊能力です。

詳しくいうと、嘘をついている人間が輝いているように見えるという能力で、終始その能力が物語を突き動かすためのキーとして活躍していました。

1話の時点では、アイドルアニメにもこういう強烈なスパイスを持ってこないともう話題にもならないのかとイロモノ枠的な目で見ていたんですが、2話以降からその能力の印象がガラッと変わりました。

単純に嘘を見抜く能力ということだけが示された1話に対して、2話以降では、TiNgSの面々が持つ不安や自信のなさからついてしまう嘘の場面でその能力が映されるようになり、TiNgSを解散させないために必要な一人一人を完成させていくエピソードに繋がるための問題点の洗い出し部分として使われていましたし、

何より、その嘘を見抜く能力で嘘を直接指摘するというような見せ方は一切せずに、洗い出された問題点に対してマネージャーがしてあげられる最大の努力でサポートしてあげ、才能を見出し開花させ、輝かないアイドルとして表舞台に立たせてあげる。

そういう一つ一つのエピソードや成長を盛り上げていくためのキーとして随所で演出的な要素で使われており、特殊能力だからといってそれを主導に物語を構成するのではなく、あくまで演出の一部として物語に取り込んでいく様は素直に見せ方が上手いなと感心しかしませんでした。

また、本作でつかれる様々な嘘は、他人を陥れ自分を棚にあげるようなズルい嘘というものはひとつもなく、先ほど申し上げたように不安や自信のなさからくる嘘であったり、照れ隠しの嘘など、TINGSの全員がTINGSが大好きだからこそついている嘘であり、そこから感じる優しさなどは物語そのものの雰囲気を作るための大事な要素として盛り込まれていたので、この辺の嘘のつかせかたも素晴らしいの一言。

この嘘を見抜く能力があるからこそ『シャインポスト』が『シャインポスト』であり続けるんだと思えるような見せ方を終始徹底していた事は本当に素晴らしいなと感じます。

 

そして、その嘘の見せ方だけが長けているわけじゃないのが本作の凄いところですね。

先ほど申し上げたように、嘘を見抜く特殊能力だけで物語を進めてしまうとイロモノ枠として認知されてしまうんですが、それをさせなかったのは、本作が徹底した正統派アイドルアニメとしての泥臭さやアツさからなるストーリーそのものの面白さだったと感じます。

嘘によって洗い出された問題点を改善していく事がエピソードの運び方のフォーマットとして繰り返されていくんですが、嘘によってきっかけを与えるだけで、各エピソードで映される当人の成長は特殊能力とか一切関係なしに、マネージャーのサポート力であったり、TiNgSのメンバーそれぞれが当人を支えたり背中を押す形で成長を促し、1人の立派なアイドルとして完成していく様は実に見事で、それが顕著に現れていたのが、第4話と第6話。

このアニメだからこそできたような特別な事などはぶっちゃけ描かれてはおらず、どちらかというとベタな成長を描いていくエピソードではあるんですが、それが視聴者が求める泥臭さとアツさに合致していた印象で、その物語と視聴者のイメージを限りなく近づけていた要素に、演出として組み込まれている嘘が輝いて見える能力があったのではないかと個人的には感じています。

エピソード的に王道なことをやっているのでそれなりには何もせずとも盛り上がりはするんですが、ここぞという場面で嘘を見抜く能力を取り入れられるため、より一層面白いが上塗りされた印象で、結果的に『シャインポスト』でしか描かないエピソードへと昇華し、しっかり当人の成長にも繋がっていた第4話第6話は素晴らしいという言葉以外表現するものがないレベル。

私は今でも素晴らしいものを見せてくれてありがとうと感謝を伝え続けています。

 

そして、中盤以降に差し掛かると物語の展開にも大きな動きが加わり、TiNgSが TINGSへと完成する物語が主に描かれるわけですが、ここの運び方もお見事でしたね。

TiNgSがTINGSになる為に必要な要素としてスポットが当てられた伊藤紅葉と祇園寺雪音。

元々はTINGSの一員だった彼女らが突然TINGSを抜けると言い出した訳を探っていくうちに新たに浮上する青天国春が抱える過去。

アイドルアニメの主人公が物語の後半で掘り下げられる運び方に関しては、序盤にとてつもなく強烈なスタートダッシュができ物語に勢いがつき出した頃にやってくる展開なので、個人的に物語そのものの深みが増す感じが感じられて好きなんですが、本作のそれは他のアニメにはない3人同時の掘り下げとして、TINGSが抱える最終問題として君臨していたので面白さのレベルが違った印象でした。

特に、1話から嘘で塗り固められていたTiNgSで唯一輝いていなかった主人公が初めて嘘によって輝く描写がここで盛り込まれており、それを見せられた時の鳥肌や、とんでもないアニメになってきたという高鳴る感情は今でも鮮明に覚えているレベル。

春ちゃんを攻略することでTiNgSがTINGSとして完成していく様も非常に見事であり、実際に見て欲しいので詳しくは言いませんが、

杏夏ちゃんや理王様の「信じて」という言葉では動かなかったかもしれない春ちゃんの心は、マネージャーが加入する前に紅葉ちゃんと雪音ちゃんが態度で示していてくれたからこそ突き動かすことができ、最終的に春ちゃんをセンターに据えてのTINGSとして完成に至ったというこれまでの経緯が全て重なりTINGSそのものが視聴者が望んでいた形のそれより上で完成していたので、良いものを見れたなと。心の底からそう思えるような物語は最高でしたね。

 

2021年には、伝説のアイドルの心臓を受け継ぐアニメが乱立していたり、マネージャーがいてもうまく動かせなかったアニメがあった中で、

その時から視聴者が求めていたアイドルアニメはもっとシンプルでいい、マネージャーをもっと物語に関与させた方がいい、というような感情や不満、消化不良感を全て解消してくれるような物語の完成度の高さに、正直私はこのアニメになら骨を埋めてもいいなと思ったレベルで好き...いや、愛していました。

クライマックスでは、そこまでに完成していたTINGSがどこまでも登っていけるんだろうなという序盤では感じられなかった期待で満ち溢れていますし、序盤から中盤で打っておいた布石の数々がクライマックスを盛り上げる要素として一つ一つ置かれていく構成そのものの面白さも感じられ、

特殊な要素だけで話題にさせようとせず、物語そのものの面白さで勝負をしてきた『シャインポスト』らしさをひしひしと感じられる素晴らしいものになっていました。

 

リアルタイムの放送では、某コロナの影響で総集編があったり、制作困難になり3週間ほど空いてしまったりとテンポ的な面で恵まれないアニメではありましたが、これからこのアニメを見ようという方は既に全話配信された状態ですので、その辺の心配は必要ないと思います。

アイドルアニメをこよなく愛する我々が求めていること、それ以上のことを当たり前かのように提示して実行してくれた本作の凄さはもっと評価されるべきです。

22夏クールはアイドル枠である『ラブライブ!スーパースター!!』や『ルミナスウィッチーズ』というビッグネームが名を連ねていたクールでしたので、戦う環境としては正直悪かったのかもしれません。

ですが、そんなビッグネームが名を連ねる22夏クールにおいて、今年のアイドルアニメ枠において、圧倒的な存在感で上に上り詰めてきた実力派のアニメでもありますので、面白さは保証します。

正直9月頭くらいまで、『メイドインアビス』か『サマータイムレンダ』、『シャインポスト』この3つのアニメでSSはどれにしようかと本当に悩みまくっていた中の一つだったので、私自信思い入れがハンパないです。

 

シャインポストを見てください。

シャインポストを好きになってください。

シャインポストを愛してください。

 

私からは以上です。