れおぱるレビュー

『処刑少女の生きる道(バージンロード)』

オススメ度 B-

 

OP: A

ED: C

作画: A

わちゃわちゃ: B

 

あらすじ

 

かつて日本から現れ、この世界を滅ぼすほどの厄災をもたらしたと言われる《迷い人》。日本人の少年・ムトウミツキ、彼もこの世界に召喚された《迷い人》だ。グリザリカ王城に召喚され、「無能力」と判定されたミツキは、王城から追放されてしまう。ゆくあてもなく彷徨っていたミツキは、自分を保護してくれるという神官の少女・メノウと出会う。

引用元:STORY -処刑少女プロジェクトポータルサイト-

©佐藤真登・SBクリエイティブ/処刑少女製作委員会

 

どうも!少女と少女のエモ散らかした関係性が大好物です!

れおぱるレビューです!!!

 

異世界に召喚された「迷い人」がその世界に災いをもたらすとして、迷い人を殺すためだけに迷い人に接触する神官・メノウがある日、殺しても死なない不死身の迷い人・アカリに出会う...という物語。

 

異世界転生や異世界転移系の物語が蔓延る昨今で、他とは被らない設定で幸先の良いスタートを切ったなという印象があり、この物語の謳い文句も、「少女が少女を殺すための物語」ということで、とんでもなく期待を膨らませて見た作品でありましたが、結論から言うと期待に結果が追いつくことはありませんでした。

 

物語の導入部分は非常に良く作られており、ちょっと細かすぎるかなという設定も混乱する事なく理解できましたし、メノウが殺すべき相手であるはずのアカリと旅に出るための大義名分を作る部分も、非常に良く、これから紡がれていくであろう2人の尊い関係性というものが感じられるような導入でしたが、その旅に出るまでの第1章が長すぎたかなという印象もあります。

というのも、2人が出会ってから旅に出るための大義名分ができるまで、1〜6話までかかっているんですよね。

2人が旅に出るまでの大義名分作りが目的の第1章ですので、ここを疎かにして良いものかと問われればそうではないと言えますが、私が求めていたこの作品で見たい部分はその先の旅路で紡がれる2人の尊い関係性でしたので、そこにたどり着くまでが少々退屈かなと感じてしまいました。

 

そして、それ以降の肝心の旅路ですが、ここも2人の関係性の描き方というものが個人的には足りないと感じてしまいます。

というのも、ストーリー上の細かな設定が物語を突き動かし、キャラはそれについて行っているような印象が見受けられ、私が考える良い作品の条件の一つ「キャラが突き動かすような物語」というものが感じられなかった事が大きいと思います。

メノウとアカリ、2人の尊い関係性を作るなら尚更、キャラが突き動かす物語は必要不可欠だと思うので、ストーリーを進めていく中で、細かな設定部分というものが色濃く出てしまい、私が求めるものの描き方が薄かったかなと感じてしまいました。

ですが、それを全く描いていないというわけでもなく、第6話で描かれているように、アカリには未来の自分と現在の自分が宿っており、メノウに固執し続ける理由というものも描かれているので、その辺は原作でちゃんと描かれているんだろうなぁと感じることもできます。

ですので、1クールアニメじゃ収まりきれないような深いストーリーなんだろうなぁという印象もあり、一言でいうならば、1クールアニメには不向きな作品だったんじゃないかなという印象です。

 

この辺を踏まえると、キャラ立ち自体は非常に良いもので、個人的な性癖というものをしっかりカバーしてくるアニメでしたが、それを活かせるようなストーリーではなく、キャラ全体が窮屈に行動してしまっているような印象を受けてしまうアニメだったんじゃないかなと思います。

 

それと、アカリが不死身な理由である回帰能力について。

作中で度々語られ、物語全体で見てもキーポイントとなるアカリの回帰能力ですが、これを上手く活かせていないんじゃないかなと個人的には思います。

というのも、この作品自体、メノウ主軸で描いているので、アカリの回帰能力がスポットを浴びる事が途切れ途切れでしかないんですよ。

最悪の結末を辿っては回帰能力でいい方向に進むように調整しているアカリを主軸に描いていたならば、「死に戻り」のようなタイムリープものの面白さも作品に取り入れられ、より一層作品に深みが増していただろうなと感じるだけに、回帰能力の描き方については惜しいなと思ってしまいますね。

あと、単純に我々オタクはタイムリープものが大好きすぎるので、誰を主軸に物語を描いていくかというものの大切さを改めて知らされたなと感じました。

 

1クールじゃ収まり切らない本来描きたいストーリーや、キャラの関係性というものが伝わってくるだけに、1クールアニメとしての不向きさをひしひしと感じるような作品でありました。

これが2クールやそれ以上続くのであれば、「設定が突き動かす物語」から、「キャラが突き動かす物語」に変わったんだろうなぁと思うと、1クールしか尺が取れなかった不憫さに同情してしまいそうになりますね。

アカリとメノウの関係性を描くにあたっての浅さもそうですが、物語序盤で伏線を撒いているフレアやフラアートと呼ばれるメノウの関係性も全く持って回収出来ていないので、1クールアニメとしての消化不良感はものすごいですが、続編やそれがなければ原作で補完するといった形でカバーしていきましょう。

あと、この作品には今期トップクラスエピソードである第8話があるのも魅力的でして、

演出と絵コンテだけで凡エピソードを神エピソードに変えるというとんでもないことを成し遂げているエピソードですので、第8話を見るだけでも価値がありますよ。ほんと凄いですから!!!

 

少女が少女を殺すための物語、気になる方は是非見てみましょう!