れおぱるレビュー

『白い砂のアクアトープ』

オススメ度 B+

 

あらすじのアクアトープ

 

海の生き物が大好きな女子高生・海咲野くくる。彼女の頭の中は、館長代理を務める「がまがま水族館」のことでいっぱい。閉館の危機にある水族館を守るために、夏休み中も仕事に励んでいた。一方、アイドルを辞めた宮沢風花は、あてもなく沖縄へとやってきたが、偶然通りかかった観光協会の久高夏凛に「がまがま水族館」へと案内してもらう。水槽の前で不思議な体験をした風花は、「今、見えてた?」とくくるから声を掛けられる。

引用元:第01話 | Story|TVアニメ『白い砂のアクアトープ』

©projectティンガーラ

 

 

どうも!3ヶ月ぶりです!

れおぱるレビューです!!!

 

2021年も終わりを迎える頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

私は、毎年恒例の死にかけの秋クールという事で、絶賛脳が死んでいる真っ最中ですが、2021年秋クール、非常に豊作でしたね!

毎年秋クールは大豊作になってしまう法則がまた立証されてしまい、脳が死ぬ中レビューをどう書こうかと日々悩まされるのも秋の風物詩と言えますね。

 

そんなことはさておき、本題。

 

所謂、P.A.のお仕事シリーズという事で、期待を膨らませた方は多いのではないでしょうか?

私はもれなくその中の1人なのですが、私ね、

お仕事シリーズが嫌いなんですよ。

仕事に対するモチベというものがこのシリーズを見ることによって爆上がりしますし、仕事に真剣に向き合おうっていう気持ちが加速してしまい、大嫌いな仕事が大好きになってしまうという錯覚に陥ってしまうから本当に悩まされるんです。w

お仕事シリーズは本当にズルいと思いませんか?

子供の時に夢描いていた、その仕事のプロというものに現在の我々がなれていないのにも関わらず、仕事というものは真剣に向き合えば向き合うほど誰もがその仕事のプロになれる!やり甲斐というものは自分で見つけられる!仕事というものは美しいものだ!と徹底的に描いてくるので本当にズルいと思います。

出来ることならば、毎クールお仕事シリーズを放送して我々のモチベを保ち続けて欲しいと思えるほどのシリーズなので、毎クール放送してください本当に。

 

本題と言いながら、早速横道に逸れてしまいましたが、今からは本当に本題。

まず1クール目、アイドルという夢を失ってしまった少女・風花がふと思い立ち沖縄に行き、そこで閉館間近の「がまがま水族館」を存続させようと頑張る少女・くくると出会い、くくるの夢を叶えるために風花が水族館を手伝うという導入から始まりました。

導入としては非常に無難なところを描いており、アニメらしい閉館というテーマを取り扱っているので、物語の目標というところも見据える事ができ特に言うことのない導入だったのですが、正直言うと、1クール目は微妙だったなと私は感じます。

まず、他のお仕事シリーズと違う点としては、ダブル主人公であった事、キジムナーというファンタジー要素があった事などが挙げられ、一番の違いは、すでに出来上がってる組織の中で1から物を学ぶと言うよりは、家族とか気の知れた仲間達の下でゆるくお仕事を学んでいくという点がありました。

お仕事シリーズの醍醐味として、死にかけの目で目の前の作業を必死になって頑張るという導入があるわけですが、本作ではそういう描写もなく、物足りなさすら感じてしまう物語の入りだったので、新しいことを試してきたなという反面、やはりお仕事シリーズはこうであるべきだという意見も少なからずあったとは思うので、ここはちょっと新しいことを試しすぎてシリーズのファンを置いてけぼりにしてしまったのかなと感じてしまいます。

そして、ダブル主人公要素。

このダブル主人公においては、逆になんで今までのお仕事シリーズで描かれてこなかったのかと不思議に思うくらいハマっていた要素だと思うので、言うことは特にないのですが、一つだけ挙げるとするならば、全体の8割ほどをくくるメインで描いたことはよくなかったのかなと感じます。

本作のメインテーマが、夢を失った少女・風花がくくるの夢を後押しする事でもう一度夢を見つけるというものなので、仕方ないことではあるのですが、風花のサポート期間というものが長すぎて一瞬ダブル主人公を忘れてしまいかけたというのも事実ですので、ここも1クール目を微妙に感じさせた要素の一つではないかなと思います。

そして、一番意味のわからない要素キジムナーですね。

これは本当に意味がわからない。

なんなら邪魔しかしてないんじゃないかと思います。

お仕事シリーズに今までなかったファンタジーな要素だったので、物語にどう織り交ぜてくるかで、今までのお仕事シリーズとはまた違った面白さも開拓できたと思うんですが、1クール目はほどほど程度に、2クール目は完全に忘れ去られたような扱いで、キジムナーってなんだったの?と終始疑問に残ってしまうほど邪魔しかしてなかったので、こんなことになるなら最初から出さない方がよかったじゃん!と私は思いました。

 

こういう要素が積み重なり、物語を微妙にしてしまった1クール目ですが、もっと決定的な事があります。

それは、目的の不透明さ

1クール目の話が進む中で、「がまがま水族館」の存続は無理だろうなと察しがついてくるんですが、その存続か閉館かを彷徨っているエピソードの最中、幾つものエピソードを一つのエピソードの中に描き思わず?と頭の中に浮かんでしまうような物語の展開が中盤の方にあったので、結局どうしたいの?と思ってしまい、これが一番微妙だと思わせてしまった要因なのではないかなと感じます。

2クール目でこの要素が生きてくるかと聞かれても正直繋がりが感じられないようなエピソードもあったので、この辺にもう少し意味を持たせてきて欲しかったなと感じてしまうというのが素直な感想です。

 

そんな微妙が連なった1クール目でしたが、2クール目からは化けましたね。非常に面白かったです。

まず、「がまがま水族館」は案の定潰れてしまい、くくる達は敵視していた「ティンガーラ」という水族館に転職や就職を果たすわけですが、これが非常に良かった。

お仕事シリーズの導入に求めていた、出来上がってる組織、慣れない環境、多忙を極める仕事の中で1から勉強しなければならないことの数々。

新入社員の頃の右も左もわからないあの感覚が蘇ってくるような気持ちにさせてくれる!これぞお仕事シリーズ!と褒め称えたくなるような2クール目の導入は本当に素晴らしかったですね。

出来ることならばこれを最初からやって欲しかった!と言いたいところですが、これもまた新しい取り組みですよね。

1クール目で入社までの下地をしっかりと描き切り、慣れない環境の過酷さという物を他のシリーズと比べより一層深く描く事ができており、求めているもののその上を描かれたような、一本取られた!と思わされるような2クール目の導入は本当に素晴らしいと言わざるを得ない物で、ここにきて新しい要素が光ってくるか!と感心させられました。

2クール目に入ってからは、他のお仕事シリーズで描かれているような仕事の大変さ、その中にもやりがいがあるなど、仕事の楽しさを描き、他にも嫌な人だと思っていた人が実は物凄い人で誰よりも仕事に真剣に向き合っている真面目な人だという話があったり、水族館を取り扱っているアニメらしく、生き物に興味のない人が仕事を通すことで生き物に関心を持ち出したりと、1クール目で描いて欲しかった物全てが描かれていたので、2クール目に関しては特段言うことはないんじゃないかと思うほど、期待に寄り添うものが描かれていたので、2クール目だけは自信を持ってオススメができます。

 

ただ、ここでも足を引っ張るのが1クール目。

まず、一番最初に引っかかったのが、「がまがま水族館」にいたペンギンのチョコをはじめとする生き物達の存在。

くくるは2クール目始まった当初から頭を抱えるほど悩みまくるわけですが、ここで水族館、生き物を取り扱っている作品らしく、チョコをはじめとした「がまがま水族館」の生き物達、或いはキジムナーにくくるを励まして欲しかったところですが、励ますのはの字もなく、幼少期からくくるを支えたチョコの姿もなかったのは少し寂しいなと感じてしまいます。

くくるが誰よりも「がまがま水族館」を想っていたその背景には、今は亡き家族の思い出であったり、それに寄り添うチョコの存在だったりというものが1クール目で描かれていたので、2クール目でそれを繋げてこなかったのは勿体無いのではないかと。

私はここが最後まで引っかかっていたので、ここをもう少し繋げて欲しかったなど思います。

 

そして、1クール目第9話で描かれた研修に来たティンガーラ職員・知夢におじいが伝えたかった事が2クール目でもやんわりとしか、それもくくると風花にしか伝わっていない&描かれていないのは少し残念かなと思います。

第9話でおじいが伝えたかった事というのは、「どんな形でもいいから生き物に興味を持ってもらう事が大切」という事でしたが、この言葉を直接おじいから伝えてもらうという描写が無かった?或いは、非常に薄く記憶に残っておらず、別の人からそれを伝えてもらうという伝え方は良くないと思います。

この、おじいが伝えたかった事というものを2クール目の大々的なテーマとして取り扱っても良かったのではないか、1クール目で描いてきた事なので、2クール目の大々的なテーマとして扱うべきではないのか?ということが最後まで引っかかっていたので、1クール目をさらに微妙に感じてしまうことに拍車をかけていたと思います。

ただ、2クール通して描かれた、

夢を失ってもまた夢は探す事ができる。叶える事ができる。

というテーマは非常に良く描かれており、このテーマに関しては1クール目の下地がちゃんと2クール目にも繋がって、効いていたので、本当に描きたいものというものは、ちゃんと描ききれていたと思うので、総合的には良かったと言えるんじゃないでしょうか。

 

一つ一つのエピソードの出来は良いか悪いか?と問われれば良い!と自信を持って答えられるほど、一つ一つのエピソードをちゃんと描いてきたアニメではありますが、その一つ一つのエピソードの繋がりという点においては少々物足りなさを感じてしまい、そういえばあの話は?あの伏線は?あれはなんだったの?という細かな疑問が残ってしまうことも確かなアニメでありました。

しかし、全体的に描きたかったであろうテーマ、そして新しいお仕事シリーズの形というものも完成されており、お仕事シリーズは最高だなと再認識させられることも事実でありますので、仕事のモチベを取り戻したい社畜の皆様、必見ですよ!!

それと、今まで知らなかった水族館の裏側であったり、水族館の営業の仕事というものもどこまでが事実でどこまでが嘘かなど詳しいことは分かりませんが、他のお仕事シリーズと同様、非常に美しく描かれており、私がまだ就活前の学生であれば、水族館という職場も一つの候補として考えようと思えるほど興味を持てたので、就活を控えてる学生の皆さん、水族館、ありと思います!

水族館なんてイルカショーだけだろ?と思っていましたが、いろんな魚の生態なども詳しく描かれており、水族館に行きたい欲も高まってくるので、仕事に対するモチベと共に何もかもを昂らせてくれる良いアニメでした。

 

これだから私はお仕事シリーズが嫌いなんです。

仕事に行きたくて仕方がありません。

水族館に行きたくて仕方がありません。

私は、お仕事シリーズというものが描く全ての内容に影響されてしまうので。

本当に素晴らしいシリーズです。