れおぱるレビュー

『怪人開発部の黒井津さん』

オススメ度 B

 

あらすじ

 

悪の組織「アガスティア」に所属する怪人開発部の黒井津は上司の無茶振りにより、会議に提出する企画書が未完成のまま新怪人のプレゼンを行うことなる。黒井津は一筋縄ではいかない幹部たちに対して無事プレゼンを成功させ予算を勝ち取ることができるのか? 戦う相手はいまだ勝てたことの無いヒーロー「剣神ブレイダー」。果たして黒井津たちは徹夜の日々を乗り越えブレイダーを倒す怪人を作り出すことができるのだろうか。

引用元:「怪人開発部の黒井津さん」アニメ公式サイト

©️水崎弘明・COMICメテオ/「怪人開発部の黒井津さん」制作委員会

 

どうも!アガスティアに転職したいんですが、まずはどこに連絡したらいいですかね?

れおぱるレビューです!!

 

主に仮面ライダー系の特撮をベースに、ヒーロー側と怪人側を企業化したお仕事コメディ。

こういうお仕事を取り扱ったギャグでよく描かれるのが、あからさまなブラック企業などのネタですが、本作が取り扱うお仕事コメディは他のアニメには見受けられないような細やかなところまで手を伸ばしたあらゆる企業に通ずるネタでした。

一つの書類に偉い人たちの印鑑を頂戴しにいくスタンプラリーだったり、企画書を出せばなんやかんや詰められて結局予算が降りなかったりなどなど...見ていてビクっとしてしまうようなブラックジョークの効いたネタが盛り沢山で、今までのブラック企業などのネタを中心に取り扱っていたアニメにはない面白さがありました。

また、怪人側が比較的ホワイトで描かれ、ヒーロー側がブラックに極めて高いグレー、またはものすごく胡散臭い企業として描かれていたという設定も光っていましたね。

社会に蔓延るオンラインサロンなど胡散臭いなと思えるものから、派遣社員の激務に至るまで、お仕事やビジネスに関わる事柄を幅広く描き、ものすごい社会派アニメだなと感じる箇所もちらほら見受けられ、このアニメが生半可な気持ちでお仕事コメディを取り扱っているわけではないんだなという本気度すら感じました。

 

そして、ギャグを彩る個性豊かな怪人たちも非常に良かったですね。

主人公・黒井津さんは、怪人を開発するに至って、戦闘に特化させるわけではなく、その後の生活のことも考え、心に「揺らぎ」を与えているという設定があるんですが、その揺らぎを活かして様々な怪人たちが各話で生み出され、その後のエピソードでギャグ要員として毎回のように登場する様は非常にいい設定と動きだなと思いました。

こういう設定と動きが今まで他のアニメで無かったかと言われれば、普通にある設定と動きだという回答になってしまいますが、お仕事×特撮という舞台でこの設定と動かし方はマッチしていたなと感じることができ、非常にいいアニメだと振り返ることができるので、黒井津さんの魅力として受け取っても良いと思います。

 

ただ、作画があまり安定していないのは難点でしたね。

前半の方はそんなに気にならなかったんですが、最終回に近づくにつれどんどん怪しくなっていった作画はやっぱり気になってしまいました。

これが仮に作画が安定していれば、コメディとしての面白さと萌えを両立できたんじゃないかなと感じることができ、非常に惜しいなと思ってしまいます。

 

また、めちゃくちゃ個人的な話になってしまいますが、

私、特撮にそんなに興味がないんですよねw

昔から仮面ライダー系に興味が湧かずまともに見た記憶もないので、今回もそんなにそそられなかった...というのが多少なりとも評価に影響しています。

私が興味湧かなかったというだけなので、特撮好きな人からすればものすごく面白い!と感じる方もいると思いますし、特撮が好きだ!って方は見た方がいいと思いますよ!特撮ネタも盛り沢山でしたし。

 

お仕事に関わる事柄を幅広く取り扱い、様々な企業で蔓延っている制度などをブラックジョークの効いたネタで描いてくる社会派アニメな本作。

特撮×お仕事コメディというテーマを徹底して描いており、どちらかの要素が弱くなるということもなく、両者の掛け合わせ方描き方が非常に上手いなと感じました。

茶番とも言えるヒーローとの戦いには、毎週見たくなるようなしょうもなさもあり、出来ることなら一生放送してて欲しいなとも思えるほどでした。

現実にはないお仕事を現実にある企業に準えて描くifの徹底ぶり、恐れ入りました。