れおぱるレビュー

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』

オススメ度 A

 

あらすじ

 

激務で嫌われモノの警察官という仕事に嫌気がさした川合は、パワハラで飛ばされてきた元刑事課の藤とペアを組むことに。さっそくパトロールに出かけた川合は、藤の警察官としての実力を目の当たりにする。 別の日、川合と藤は、小学校の交通安全教室に講師として参加していた。 児童からの「どうしてルールを守らないといけないの?」という質問に、川合が出した答えとは!?

引用元:STORY|TVアニメ「ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜」公式サイト

©泰 三子・講談社/ハコヅメ製作委員会

 

どうも!車を運転してる時にパトカーが近くにいると挙動不審をついつい極めちゃいますよね!

れおぱるレビューです!!

 

非常に面白いアニメでした。

警察になりたくてなったわけじゃない主人公・川合は、警察の過酷さを痛感し、辞表提出の一歩手前まだ追い込まれていた矢先、藤巡査部長とペアを組むことになり物語が動き出す。

 

このアニメの1番いいところは、川合が警察官になりたくてなったわけじゃないと言う設定だと思います。

普通、警察官を取り扱う創作物といえば、正義感に満ち溢れるようなバリバリに働く奴などが主人公に抜擢されますが、川合の場合は公務員になりたかったが、合格した先が警察だけだったので致し方なく...という成り立ちがあるので、警察の仕事にそこまで積極的ではない、どこか我々の勤務態度と似たような部分を兼ね備えており、非常に感情移入と言いますか、寄り添いたくなるような、応援したくなる主人公像が完璧に出来上がっていたのが本当にすごいと思うんですよね。

無線が聞き取れず、何をやったかも分からない犯人が目の前にいれば、心底どうでもいいと思いつつも追いかける姿など、人間味に満ち溢れていて非常にとっつきやすくいい設定だなぁと何度も感じました。

そんな常にやる気がない川合ですが、藤巡査部長と出会ったことにより、警察官としてひと回りもふた回りも成長していく姿を本作ではメインテーマとして描きます。

やる気があまり感じられないだけでなく、新人である川合は、警察の仕事などはまだまだ覚える事が沢山あるとのことで、藤部長に扱かれながらエピソードを展開していくわけですが、そこで出会う人間味溢れる警察官達の描き方も非常に良いものでしたね。

主要キャラであげると、藤部長、源部長、山田巡査長がハコヅメを象徴するような性格をしており、犯人逮捕の原動力が正義感だけからくるものではなく、己の見返りを求める為だったり、行方不明者を捜索している最中にめんどくさい不法投棄などを発見しても仕事を増やしたくないからスルーしたりと、他の警察を描く作品では描かれないような人間味溢れる言動が描かれており、川合に続き非常に親近感の湧くキャラ立ちだなと感心が止まりませんでした。

この非常に良いキャラ立ちがあるおかげで、非常にとっつきやすい警察作品というものが出来上がっていたのは本当に素晴らしいことだと思います。

 

本作のメインテーマである川合が警察官として成長していく物語ですが、これも非常に良いものでしたね。

一癖も二癖もある先輩警察官達と仕事をしていく中で、やる気がない川合なりのやる気というものが見出されていく様は非常によく、特に印象深かったエピソードは第10話。

警察官になり、初めて目の当たりにした死亡事故により、気が滅入ってしまっている川合に、交通課の宮原部長がかけた言葉が非常に印象的で、普段交通切符を切るたびに罵声を浴びせられる警察官ではあるが、そういう一つ一つの取り締まりが悲惨な事故を未然に防ぐための取り組みになるという言葉は、川合はおろか、我々視聴者にも語りかけてくるような当たり前尚且つ非常に考えさせられるものだなと感じさせられました。

今もこうして交通違反を取り締まる警察官の方々に敬意を表したいなと、違反がないような運転を心がけたいなと、思いましたね。

こういう先輩の言動を間近で見た川合が1人のプロの警察官として少しずつではありますが、確実に成長していく様を見るだけでも、この作品の凄さに毎度驚かされていました。

 

基本的にギャグベースで各エピソード描かれますが、その中にも警察官という仕事の大切さを考えさせられるようなエモいエピソードも散りばめられており、いろんな角度から楽しめた作品でした。

各キャラのキャラ立ちが非常に良いこともあり、他作品のような正義感を押し売りしてくるキャラがいないのも特徴で、よりリアルな警察のお仕事というものに触れられた気がします。

原作者の方が10年間警察官だったということもあり、描いてるものはよりリアルに、創作物で描かれない事務的なシーンも積極的に描きより詳細に、といった警察を取り扱った作品のあり方や価値観をひっくり返されたようなそんな革新的な作品だったなと個人的に大満足しています。

エピソード内で描かれる事件も、創作物にありがちな爆弾魔やテロリストなど非日常的なものを描かず、一地方の交番が取り扱うような事件を描き、本当にリアルだなと毎度感心させられること間違いなしですよ!

ほんと、欠点がないと言っても過言ではない作品なので、A+以上をつけたかったんですが、枠的に仕方なくAということになってしまったのが悔しくて仕方がありません。

アニメでは、交番勤務と刑事課がメインで描かれていましたが、きっと原作では警察署内のいろんな課にスポットを当てていると思うので、そこが描かれるであろう2期を大いに期待したいですね。