れおぱるレビュー

『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』

オススメ度 SSS

 

あらすじでも本気だす

 

34歳・童貞・無職の引きこもりだった男は車に撥ねられ、その一生を終える……はずだった。しかし、男が次に目を覚ましたとき、そこは剣と魔法の異世界であった。少年・ルーデウスとして転生した男は考える、この世界ならば、自分も本気で生きていくことができるかもしれない……と。

引用元:STORY | TVアニメ「無職転生 ~異世界行ったら本気だす」公式サイト

©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

 

どうも!私も異世界に転生したら本気だしますんで、美少女に囲まれる異世界ライフを送らせてください!

れおぱるレビューです!!!

 

めちゃくちゃ面白いアニメでした...

2021年を代表するアニメと言えば?と聞かれたなら、真っ先に本作の名前を挙げるほど、文句なしの今年No.1アニメだったんじゃないでしょうか。

 

本編を見始めだと同時に、まず心を掴まれる事といえば、高すぎるクオリティで作られたアニメーションです。

細かいところまでは詳しくありませんが、アニメを形作るにあたり、作画や音響、脚本、演出など、ありとあらゆる分野を組み合わせ一つのアニメーションというものが完成していくわけですが、本作のそれは本物のプロの仕事を見せられているかのような、全ての要素においてクオリティが高すぎる仕上がりになっており、毎週映画を見せられているというよりは、映画を超えたなにかを見せられているという感覚に近いものが味わえ、毎週本当に無料で見て良いものなのかと震えていた記憶があります。

それほどまでに本作のアニメとしてのクオリティは非常に高いものなので、異世界ものが苦手...という方もそれ目当てで見て欲しいレベルです。

 

そんな本作ですが、クオリティの高さはストーリーにも表れていました。

無職転生』といえば、今現在のなろう作品の基盤になったと言われるほど、なろう作品に欠かせない設定や物語などを形作った、キングオブなろうの愛称で熱烈なファンがつくほど名を轟かせていましたが、本作を見る前までは私も名前を聞いたことがある程度で、ストーリーは全然知らないというところから見始めましたが、本作を見だすとストーリーの完成度の高さに毎週驚かされていた記憶があります。

今現在のなろう作品の基盤になっているということもあり、『無職転生』よりも先にアニメ化されたなろう作品で似たような話をいくつも見ているんじゃないの?と思ってしまうかもしれませんが、『無職転生』が圧倒的なクオリティで描いているからこそ、基盤になっていても真似をできない要素がいくつもあったというのが事実で、なんでこの類の話を他のなろう作品はしないの?と思うエピソードも、この『無職転生』が圧倒的なクオリティで描いているからこそ真似すらもできないんだと納得させられてしまう面白さに私は唸ることしかできませんでした。

代表的なところで言えば、

前世の男の存在です。

前世の男は、後悔だらけの人生を送ってきており、異世界に転生した事をきっかけに今度こそは後悔しないように本気で生きていくんだと心に誓います。

ここまで見るとどこにでもあるような設定だと思うかもしれませんが、本当にすごいのはここからで、

他のなろう作品だと、前世の記憶はあるものの、それは物語の補助的な要素でしか使われず、あくまで主役は転生後の人物だというものが多いですが、

本作では、前世の男の人格というものが、転生先のルディの中に確かにあり、前世の男が思考していることが主流でルディを動かしているような描写が多く、ここまで前世の記憶や人格が活かされた作品はなかったなと思い知らされるほどの描き方をしており、この設定を『無職転生』が使っていたらもう真似すらもできないな...と思わされる一つの要因でもありました。

 

そして、凄いのはアニメとしてのクオリティや、他が真似できないような設定だけに留まらず、ストーリーの良さというものも物凄かったですね。

転生後、独学で魔法を学び続け、3歳で家庭教師ロキシーと出会い、魔法のプロフェッショナルになっていく様子は異世界でしか味わえない体験をしているワクワク感と相まってものすごく面白く感じ、その過程で描かれる前世との対比がこれまた物凄く良かったですよね。

先程申し上げた通り、本作で重きを置かれている前世の男。

ここまで重きを置かれているのはちゃんと理由があり、前世の男が前世で経験してきたありとあらゆる後悔を、本気で生きていくと誓った今世で払拭すべく、今世で体験するいろんなシチュエーションが前世の記憶とリンクしそれを乗り越えていく様に感銘を受けました。

前世では、鼻で笑って関わらなかったような問題にも率先して首を突っ込み、問題を解決し、良心が痛むような事は避け、なるべく後悔を減らしていく様というものはとてつもなく丁寧に描かれ、それに加え、今世のいろんなシュチュエーションと前世の記憶が結びついていく中で、前世で体験した辛い思い出と向き合い乗り越えていく過程というものもものすごく丁寧に描かれており、今世で誓った本気で生きていくというテーマに寄り添うストーリーというものがちゃんと描かれていて本当に素晴らしいなと思いました。

 

そして、前世で体験した後悔を減らしていく中で、シルフィと出会い、同じ学校に行く事を反対され、シルフィの学費を稼ぐために父親・パウロの知り合いであるギレーヌの下に送られ、そこでエリスに出会うのですが、本作の面白さがさらに加速したのはここからでした。

1クール目後半から2クール全体にわたって描かれるエリスとの物語、本当に凄すぎました。

この期間に放送されたエピソードは、冗談抜きで毎回神回クラスのものが描かれており、指を咥えてストーリーの運びを見守ることしかできなかった記憶があります。

特に印象に残っているのは、16話〜18話にかけての親子のエピソード。

中でも16話と17話は今年放送された全アニメの中でも、トップクラスのエピソードと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

エリスと出会った後、魔力災害というものに巻き込まれ、遠くの地に飛ばされてしまったルディは、エリス、スペルド族のルイジェルドさんと共に故郷に帰る旅を始めることとなりますが、その旅を旅行気分で楽しんでいたルディは父親・パウロと再会し、魔力災害に巻き込まれたのは自分達だけではなく村全体が巻き込まれたものだと知らされ、旅行気分を楽しんでいたこの旅路を後悔させられるようなどん底に叩き落とされる話が第16話。

自分の子だからこそ、ルディの年相応ではない強さや思考を知っているからこそ事態を把握して家族を探してくれていると信じていた父親と、冒険者ごっこをし楽しんでいたルディの間には見事に溝ができてしまい、修復不可能に思えましたが、ここで効いてくるのが、本作のメインテーマである今世を本気で生きていくだったんです。

前世では、引きこもりであったため、親子関係というものは良いものではなく、むしろ最悪と言って良いほどまでのものが築かれており、それも前世の一つの後悔として捉えていたルディは、今世でも同じ過ちを繰り返してなるものかと自ら一歩踏み出し、和解に繋げていくシーンは、感動という言葉以外のものでは表せず、本当にお見事でした。

しかもそれに加えて、動いたのはルディだけでなくパウロ自身であったり、パウロが父親として間違った行動をしていると指摘した冒険者仲間やルイジェルドさんなど、ありとあらゆる人達が2人の和解に向けて動いてくれたことにより、2人は完全に和解にするという結末も見事なものでありました。

 

人というものは、一度きりしかない人生で、後悔ばかりをしてしまう不器用な生き物であるが故、その後悔を少しでも和らげていく為に自分が率先して動き変わらないといけないという、今世を本気で生きていくというテーマに寄り添ったエピソードは他にもいくつもあり、ストーリーが描いてるものの一貫性の面白さは本当に素晴らしいものがありました。

それに加え、圧倒的なクオリティで描かれる『無職転生』の世界というものは凄まじく、雨に濡れた葉っぱの匂いが伝わってきそうなほど細かく描かれた綺麗な作画でその場の空気感というものも痛いほど伝わってきますし、そんな綺麗な作画で至る所の景色や景観が描かれ、地球にはない景色や景観が異世界を旅しているというワクワク感に繋がり、ルディが実際に感じているであろう感情なんかも伝わってくる本当にクオリティが高すぎて訳の分からないアニメでですので、見た方がいいと思います。

物語は、ルディがエリスとルイジェルドといろんな経験を積んでいく中で、魔力や武力はもちろんのこと、人間として一段階も二段階も何段階も成長していくという大変エモいものが全体にわたって描かれ、ルディ、エリス、ルイジェルドの3人が互いに与え合ってきた影響の大きさというもの、それを失った初めて気づくものなどにも触れ、ルディの人生はまだまだこれから!というところで幕が引き、2期にも非常に繋げやすい終わり方をしているので、2期を期待しつつ見てみることもありだと思います。

ていうか、無職転生の2期をやってくれないと困ります。

私は、数多くの異世界アニメを見てきましたが、もう『無職転生』でないと満足できない身体にされてしまったので、2期がないと困るんです!!!

今すぐ2期を私にください!!!!!