れおぱるレビュー

『平家物語』

オススメ度 A+

 

あらすじ

 

平安末期の京都。平家一門は、権力・武力・財力、あらゆる面で栄華を極めようとしていた。
天皇をもしのぐ勢いで野心を募らせる父・平清盛を危うく感じる長男の重盛はある夜、邸内で琵琶法師の少女・びわと出会い、平家の滅亡を予言される。
重盛とびわには、ともに見えないものが見える「目」を持つという共通点があった。
 引用元:STORY | TVアニメ「平家物語」

©️「平家物語」製作委員会

 

どうも!漫画や小説だけでなく、歴史的に有名な物語がこうしてアニメ化されるとなんだか興奮しますね!

れおぱるレビューです!!

 

平安末期、栄華を極めた平家が滅びゆくと共に、日本が武士の時代へと移る日本史の大きな転換点が舞台となるこの物語。

平家物語の全ては知らずとも、始まりの祇園精舎の鐘の声〜というフレーズは誰しもが聞いたことがあるのではないでしょうか?

お恥ずかしながら、私も平家物語の始まりと終わりくらいしか知らず、全容は全く知らない状態で見始めたわけですが、非常に面白いアニメでしたね!

 

平安末期、平家の地位を確固たるものにした平清盛、彼の息子である重盛が琵琶法師の娘であるびわを平家に招き入れたことから始まるこの物語。

びわという少女は、原作である平家物語には登場しないものの、原作平家物語には主人公が存在していないそうで、アニメを動かす上で主人公は必要だということで、アニメオリジナルで追加されたそうですが、このびわという少女がアニメ版平家物語を語る上で非常に重要なポジションについていました。

びわは、未来と死後の世界が見えるという目を持っており、平家の滅亡すらをも物語開始時点で見ていたというところから始まっていましたが、

びわが物語を通して、傍観者として描かれていたのはものすごく新鮮でしたね。

未来が見えるからといって、琵琶法師の子であるびわに何かできるわけでもなく、ただただ実際に起こりうる事柄を見続けることしかできないという立場で、己の無力さに悲観することもありましたが、最終的に平家の滅亡を目の当たりにする傍観者として、1人の琵琶法師として、平家の生き様を語り継ぐことを決め、平家物語が生まれたという締め方は非常にオシャレであり、アニメ版平家物語の質を上げていた要因だったと私は考えます。

これがあったからこそ、最終回が決まっている物語であろうと、物語らしく面白く、エモさも増していました。

 

肝心の平家物語の内容ですが...非常に悲しい物語でしたね。

壇ノ浦の戦いを経て、平家が滅亡することは知っていたんですが、そこに辿り着くまでの過程が非常に悲しく、もっと早く平家物語の全容をされていたらこのアニメをどれだけ楽しめたことかと後悔すらしました。

栄華を極め、移ろいゆく季節を謳歌した平家であれど、清盛の横暴から世の反感を買うようになり、重盛の死や清盛の死で滅亡の道を辿るしか選択肢がなくなっていく様などを見ていると、平家の滅亡が見えていたびわと同じ気持ちを視聴者も体験することができ、エピソードを重ねるにつれてどんどん平家の人達が減っていく様などはもうやばかったですね...

この令和の時代まで、数百年間平家物語が語り継がれてきた理由がわかった気がしました。

 

ただ、気になる点が一つあり、

所々爆速で処理される描写があったことは難点かなと感じます。

私のように、始まりと終わりくらいしか平家物語を知らない人間にとっては、爆速で処理されるシーンを公式サイトのコラムや、wikiなどで補完するしか方法がなく、平家物語の全容を知っている人の方がスムーズに楽しめてしまうようになってしまっていたので、そこは残念かなと感じました。

ですが、上記の通り、公式サイトの解説コラムは非常にわかりやすく解説されており、私も毎話解説コラムを読んで、各エピソードの理解をより深めたりすることができたので、アニメ本編と公式サイトの連携が非常に素晴らしいと感じました。

この辺も質が高いアニメのあるべき姿だなと感心させられたので、A+という評価に結びついた要因ですね。

 

平家物語と聞くと、訳の分からない古文で唄われる訳の分からない物語でしょ?と牽制する方もいるかもしれませんが、アニメ版平家物語では、非常にわかりやすく平家物語が描かれていることが特徴で、質の高い作画と質の高い脚本、質の高い琵琶の音、アニメをフォローする公式サイトの解説コラムなど、アニメ全体が平家物語をリスペクトしている様子などがひしひしと伝わってくる出来に仕上がっているので、楽しめること間違いなしだと思います。

そして、監督はあの山田尚子さんということで、山田尚子さんらしい描写もちらほら垣間見えていて、山田尚子ファンの方々も楽しめるんじゃないかなと思います。