れおぱるレビュー

『takt op.Destiny』

オススメ度 SS

 

あらすじ

 

D2との停戦を告げた『ザーガン宣言』から4年。未だ世間では『音楽』はタブー視されており、旋律は途絶えたままであった。荒廃したアメリカで、音楽を知らずに育った少年は、ある日ピアノの旋律を耳にする。奏でるのは、黒髪の青年――『タクト』。そして、彼の音色に引き寄せられるように、異形の怪物D2と、剣を手にした少女『運命』が現れる。

引用元:指揮-Creed- | STORY(各話あらすじ) | TVアニメ『takt op.Destiny』公式サイト(タクトオーパス)

©DeNA/タクトオーパスフィルハーモニック

 

どうも!アメリカ大陸を横断するような物語というものは、いつ見てもワクワクしますねえ...!

れおぱるレビューです!!!

 

来ました、今期No.1アニメのお時間です。

今年からSSの上限を毎クール1つまでと決めてからというもの、SSのありがたみというものがめちゃくちゃ上がってますよね。

私も毎期SSを何にしようかと悩む時間が楽しくなってきてます。

 

そんなことはさておき、本題。

もう素晴らしいとしか言いようがないアニメでした!

D2という得体の知れない敵は音楽に反応するため、全世界で音楽に対する自粛が求められる中、音楽を愛してやまなかった青年・タクトは音楽をやめるということはせず、あくる日もピアノを弾き続けていた中、世話を焼いてくれていた少女・コゼットから誘われた祭りでピアノを披露することになりますが、その場に眠っていたはずのD2が現れ、戦いに巻き込まれていく...というお話。

正直、導入というか、1話時点ではよくあるアプリ販促アニメのように訳の分からない敵と訳の分からない設定で頭を抱えるんだろうなぁとまで思っていましたが、この物語が本格的に動き出すのは第2話からでしたね。

タクトとコゼット、2人がD2の被害に遭い、死んでしまったコゼットがムジカート・運命になるところから物語がスタートしていく訳なんですが、この2話時点で死んだはずのコゼットという少女がこの物語の面白さを語る上で最も重要な要素になっていましたね。

コゼットの死と運命の誕生、両方を目の当たりにしたタクトは、運命に言われるがままD2と戦いD2を薙ぎ払っていくのですが、運命の姿形がコゼットそっくりということでタクトを含め、アンナも運命を心の底では受け入れられずコゼットを追い求め続け、運命は2人が望んでいるコゼットに少しでも近づけるようにとコゼットならこう動くであろうと自ら人助けをしたりなど、すれ違いが少しずつ起こっていき、心を通わせてなければならない関係であるタクトと運命にも亀裂が入り始める...という展開が非常に面白く、その後待ち受けているどうしても心を通じ合わさなければならない壁を目の前にし、コゼットの死を認め、目の前にいる運命を受け入れるという展開は、まるで『天元突破グレンラガン』に登場するセリフ「コゼットは死んだもういない!だけど俺たちの背中にこの胸に、一つになって生き続ける!」を彷彿とさせるようなアツい展開には震えが止まりませんでした。

そして運命を受け入れた後も、運命を始め、タクトやアンナがコゼットが望んだ未来を作り上げるため、彼女ならこの選択肢を選ぶという、コゼットが軸となり、コゼット亡き後もコゼットを含めた4人で戦っていく美しい物語が描かれており、非常に感動しました。

物語序盤で死んでしまうにも関わらず、最後まで物語に影響してくるようなコゼットという少女の偉大さ、コゼットから託された想いというものをアツく描き切った物語、本当に素晴らしかったです。

 

そして次に、SSになった要因として語らなければならない要素が2点あります。

一つ目は、アプリ販促アニメらしからぬ物語の面白さ。

アプリ販促アニメと聞くと、記憶に新しいところで『アサルトリリィ BOUQUET』などがありますが、アプリ販促アニメに共通している点として、世界観のわかりにくさであったり、得体の知れない敵に対抗する為の専門用語の覚えにくさ、そもそものストーリーのまとまりのなさなどが挙げられるんですが、本作にはそういうのが全くとは言えませんが、他のアプリ販促アニメに比べると非常に少なく、専門的な用語や知識も噛み砕かれわかりやすく描かれているので、物語の面白さやアツさにも反映されやすくなっており、アプリ販促アニメと一括りにしたら失礼に当たりそうなくらい、アプリ販促アニメらしからな面白さが確かにそこにはありました。

なんなら、1クールのアニメを見ているというよりは、一つのハリウッド映画を見ているような面白さすら感じられ、決してアプリ販促アニメとして見ないで欲しいなとこれから見る人に伝えたくなるような素晴らしい出来だったと思います。

そして、ここから先はネタバレになるのでまだ見てない方は見ないで欲しいのですが、

最終回。

タクトと運命の想いを託されたアンナが運命として歩み出し、本編であるゲームに繋がっていく物語は本当に美しかったですね...

アニメ放送時から、ゲーム版の運命の声優が本渡楓さんであることから、アンナが運命になるんじゃ?という考察はされていましたが、まさか本当にそのような展開が描かれ、ゲームの前日弾としてアニメが描かれゲームに繋がっていくという流れになるとは夢にも思っておらず、アニメのみならずゲームも含めたコンテンツ全体を盛り上げていくような締め方というものは本当に素晴らしく、アプリ販促アニメらしからぬ面白さを兼ね備えながらアプリ販促アニメとしても機能してしまう新しいアプリ販促アニメの形というものが見れて興奮しまくりでした。

 

二つ目、

託されていく物語としての完成度の高さ。

本作が最も描きたかったこと、それはコゼットの話の時からうっすらと話していましたが、託される想いというものに詰まっていると思います。

主人公・タクトの父親である朝雛ケンジからタクトが託された想いだったり、先ほど申し上げたようにコゼットからタクト・運命・アンナに託された想い、朝雛ケンジからレニーさん、レニーさんからタクト・運命に託された想い、タクト・運命からアンナへと託された想い。

と言ったように、物語の全ての行動理由は託された想いから始まり、またそれを誰かに託し託された人物がまた誰かに託していく...というような託される物語というものが徹底的に描かれ、その想いの伝え方というものも非常にオシャレに、アツく、エモささえをも感じてしまうほど美しいもので、物語単体の面白さというものに直結している要素だと思います。

それぞれの人物が何を託されたかというのは是非本編を見ていただきたいんですが、ほんと美しすぎて震え上がるので注意してくださいね。

 

何もかもが美しく、まるで名曲と呼ばれるクラシックを聴いているかのような感覚にまで襲われてしまう本作。

物語に絡まった一つ一つの糸を丁寧に解いていき、糸が繋がっている先に進めばラスボスがいた。

というような、なるべくしてそうなったという自然な流れのまま物語は進み、そこに至るまでのタクトや運命、アンナが体験した全ての経験、出会った人々が彼らの音楽として紡がれ、託されていく。

物語の脚本単体の面白さというものは今期の中でも頭ひとつ抜けており、それに加えてとんでもない戦闘作画で視界をも圧倒され、何もかもが高水準でSS以外考えられないと思わせてくれるような総合力の高さ、本当に素晴らしかったです。

正直、こういうジャンルのアニメに私自身SSを付けるということは非常に少ないのですが、今回ばかりはこれにSSを付けずに何にSSを付けるのかと言いたくなってしまうほど物語、コンテンツとしても完成しており、尚且つあまりアプリゲームというものにそそられない私ですらアプリをやってみたくなるような盛り上げ方には感心することしかできませんでした...

もう文句の一つもないです。

『takt op.Destiny』が21秋の優勝です。