れおぱるレビュー

『ぼくたちのリメイク』

オススメ度 C-

 

あらすじ

 

勤務するゲーム会社が立ち行かなくなり、実家へ帰省した橋場恭也。
10年前に選択を間違わなければ……。
後悔だらけの恭也がかつて受験した芸大の合格通知を眺めていると、なんと10年前にタイムスリップしてしまい……!?

引用元:ストーリー | TVアニメ「ぼくたちのリメイク」公式サイト

©木緒なち・KADOKAWA/ぼくたちのリメイク製作委員会

 

 

どうも!10年前に戻ったらあなたなら何をしますか?私は変わらずアニメを見て、10年前からレビューを書く始めるかも知れません。

れおぱるレビューです!!!

 

非常に面白くないアニメでした。

全体的に見て、一つ一つの歯車が噛み合っていないと言うか、全ての要素が痒いところに手が届いていないようなそんなむず痒さだけが残る、非常に悪い出来だったんじゃないかなと感じております。

というのも、まずストーリーが全体的に悪かったんじゃないでしょうか。

勤め先のゲーム会社が潰れてしまい、実家に帰った主人公・恭也は、同世代で神作品を生み出し続ける「プラチナ世代」はすごいなと感心しつつ、自分も10年前に芸大の合格を蹴らずに芸大に進んでいたら「プラチナ世代」と一緒に仕事或いは仲間入りできていたのかなと後悔し、眠りにつき、目が覚めるとそこは10年前で、今度こそは後悔をしないために芸大へと入学するというお話。

タイムリープやタイムスリップものでよくある後悔からくる物語の動かし方をしており、特段悪いところもなく、導入的には面白いアニメが始まるぞ!と期待をしていたんですが、ここからもう勢いが落ちていく一方でしたね。

芸大に入学し、住むことになった寮には当時無名だった「プラチナ世代」の面々が揃っており...というのも良くある展開ですが、まず一つ言いたいのが、

この頃の「プラチナ世代」にカリスマ性がなさすぎる事です。

10年後は「プラチナ世代」が創作界を席巻していたにもかかわらず、この頃の「プラチナ世代」は非常に頼りなく、自分たちで道を切り開こうとすることもせず、常に恭也におんぶに抱っこだったのは良くなかったんじゃないかなと考えます。

百歩譲って、その頼りない「プラチナ世代」を恭也が「プラチナ世代」たらしめるような成長物語なら良かったんですが、恭也に関わってから作品作りに対する熱量が無くなってしまい、その後の世界線で「プラチナ世代」が生まれることは無かったという未来を描いていたので、この作品が描きたかったもの、「プラチナ世代」を使って何がしたかったのかというものが本当にわかりませんでした。

こんな事になるのであれば、最初から「プラチナ世代」のスペックを高いものにして、恭也がその世代を追いかけて仲間入りするようなまっすぐでアツいストーリーの方が受けたと思いますし、物語的にもまとまりができ、こんな微妙な感情で見終えることもなかったと思います。

ですので、この、「プラチナ世代」が頼りない問題は作品の面白さを左右する致命的な問題だったんじゃないかなと感じます。

 

次に言いたいこと、

主人公の感情が足りていない事。

何を描きたかったのかわからないストーリーの最後に、恭也が「僕は未来からチート能力を持ってきているわけじゃない。ヒーローでも救世主でもない。俺が持ってきたのはただ一つ、作品作りに対する熱量だ!」みたいな事を言っていたんですが、全話通して言えることとして、その熱量が一切感じられなかったのはどういうことなんだろうと思います。

その未来から持ってきた熱量とやらを視聴者に見せたいのであれば、先ほど言ったような「プラチナ世代」をサポートするような物語はまずいりませんし、描くべきものは、「プラチナ世代」と共に作品を生み出していくような熱いストーリーだと思います。

それに対して、このアニメがやっていた事は全体的にズレが生じているだけでなく、恭也があまり感情的にならず流れに身を任せているようなスタンスで物語に参加していたので、熱量を一切感じることができませんでした。

恭也が感情的にならないという点においても主人公として欠陥があると感じます。

主人公がある程度感情的になった方が物語は大きく前進したり行進したりと動かすことができますし、この感情の無さ、表情の少なさが熱量を感じられない要因に拍車をかけていたと思います。

ここは本当に良くなかった。

 

次、作品作りをテーマにした作品にも関わらず、作品作りという工程を蔑ろにしてしまっていた事。

これはもう残念としか言いようがないです。

近年評価されるアニメというものは、物事をどれだけニッチな視点で詰めて描いているかというものがあり、作品作りをテーマにした作品で高評価されている記憶に新しい作品に、『映像研には手を出すな!』などがありますが、そういう作品と本作を比べると、どうしても本作がチープに見えるというか、チープと見られざるを得ないことをしてしまっていました。

『映像研』などでは、作中作品というものを大事に丁寧に描いており、行き詰まっているところや〇〇からヒントを得て完成させたところのみならず、作り上げたものを全て映像として流してくれていたので、その時感じている苦悩なども伝わりやすかったんですが、本作はそういう事が一切なく、作中作品を視聴者に見せる事なく、どこがすごいのかもわからないまま話が進んでいたので、作中作品を通して感じられることなども全く伝わって来ず、残念だなとしか思いませんでしたし、我々視聴者に何も見せる事がないにも関わらず、恭也の株だけが上昇し続けていたので主人公に対してムカつくなという印象しか抱く事ができず、全体的に見てもマイナスにしか働かない要素になっていたので、これは本当にどうなのかなと感じました。

作品作りを取り扱っている作品なので、少なからずストーリーだったり作中作品というものに注目が集まるので、ここに力を注げないようであれば、最近の趣向から見ても評価されないのが当たり前と捉えられてしまうのは仕方ないのかなと思います。

 

全体的に見て、深掘りしなければならない要素を浅く描き、逆に描かなくていい描写を深く取り扱ってしまっていたせいで、一つ一つの歯車が噛み合わず、痒いところに手が届かないようなむず痒さだけが残る面白くないアニメになってしまっていました。

作品作りに対する熱量ですとか、本気で未来を変えたいという熱量も感じる事ができず、表情が2パターンしかないと揶揄されるようなムカつく主人公だよりで話が進んでいく事自体も我々は望んでいませんでしたし、その主人公自体も流れに身を任せてるような立ち回り方だったので、果たしてこれが物語として面白いかと問われると面白くない。とはっきり言えてしまうような物語はいかがなものかと考えます。

作品作りをしたいためにタイムスリップしたにも関わらず、女の子とイチャイチャするだけだったり、所謂萌えに逃げるようなストーリーは、作品作りをテーマにしている作品でやるべきではない事ですし、その考え方自体が一昔前の考え方で時代遅れです。

このアニメが仮に6〜10年前に放送されていれば、時代にあった萌えに寄り添う作品として評価されていましたが、今の令和時代はどれだけニッチに物事を捉えられるかという細やかな時代だと思いますので、時代そのものにあっていない作風だと感じました。

萌えという観点では素晴らしいなと思うほどキャラの描き方は良かったと思いますが、褒めるべき点がそこだけなのは非常に悪いなと判断します。

面白くないアニメでした。