れおぱるレビュー

『かげきしょうじょ!!』

オススメ度 A+

 

あらすじ

 

女性のみで構成された唯一無二の劇団「紅華歌劇団」。
その養成機関である「紅華歌劇音楽学校」の入学試験が今年も行われている。
受験生の中で一際目を引くのは、元アイドルの奈良田愛。
男性のいない世界を求めて紅華の門をくぐった愛が桜の下で出会ったのは、オスカル様を夢見る長身の少女・渡辺さらさだった。

引用元:第一幕|物語|TVアニメ「かげきしょうじょ!!」公式サイト

© 斉木久美子・白泉社/「かげきしょうじょ!!」製作委員会

 

 

どうも、君の瞳に乾杯🥂

れおぱるレビューです!!

 

非常に面白いアニメでした!

紅華歌劇団を夢見て、紅華歌劇音楽学校に入学した少女達の青春群像劇。

夢に向かって真っ直ぐに進んでいくタイプの物語ですので、言わずもがな王道であり、すなわち面白さが約束されているようなジャンルですが、はっきり言って...

今期の覇権でした。

個人的に、今まで見てきたミュージカルとか、歌劇団を舞台にしたような作品にガッチリ合うものというのが無かったので、今回も合わないかもしれないなと思いつつ視聴を開始したんですが、もうその考えが間違っていました。

もう面白いのなんの。

私が今まで歌劇団を舞台にしたような作品に求めていたのはこういう事なんだなと思う事を全てやってくれていたので、ドハマリしました。

やっぱり、我々ってすごく単純で、どんなに小洒落たストーリーなんかよりも本作のような王道でまっすぐなストーリーが好きになっちゃうですよ。

本当に大変素晴らしかったです。

 

描いているものが群像劇という事で、主人公以外にも次々にスポットが当たっていく展開だったんですが、この群像劇要素がとにかく素晴らしかったと感じます。

主要キャラ一人一人には、過去でいろんな体験をしていたり、その体験が問題となり現在進行形で悩んでいたりと、様々な事情が渦巻いていたんですが、それを解決すると同時に現状のぶち当たっている壁を突破するという王道展開もしっかりと描き切っており、面白いと。言わざるを得ないようなアツい物語を描いていました。

そんな主要キャラの掘り下げ回で1番印象に残ってるのが、第8話。

周囲からのプレッシャーに押しつぶされそうになっている星野薫ちゃんのお話。

夢を追っている理由は責任感やプレッシャーからではなく、自分が目指したい道だからだと胸を張るような、強い物語が描かれており、作中で1番感動した話で、未だに事細かに内容を思い出せるほど印象深い話を展開していたので、本当にすごいなと感じました。

このようなレベルの話を本作は何度もやるような物語で、他にもぶっ刺さるエピソードは数多く存在するので、自分のお気に入りエピソードというものがきっと見つかる素晴らしい作品ですよ。

 

そんな主要キャラ掘り下げ回繋がりで話しておきたいのが、作中で出てくる演技論。

ここまで細かく描いてくるのかと正直驚かされるレベルのものが描かれており、これも大変素晴らしかったと思います。

主に語られていた演技論は、役に寄り添った演技論。

その時その役はどんな事を感じていたのかというのは当たり前の話で、その考えに至ったのは普段どんな生活をしているからだなど、表面的に役を捉えるのではなく、役の深いところを知るような演技論が描かれていたわけですが、その演技論と主要キャラ掘り下げ回を繋ぎ合わせた物語の描き方が非常にうまかったと思います。

過去に経験したありとあらゆる事であったり、現在大切に思ってる仲間の存在というものに役の深いところを結びあわせ、役に寄り添う演技というものをしっかり表現しており、本当に上手いなと感じさせられるような出来に拍手を送ることしかできませんでした。

また、役に寄り添うだけではなく、顧客が求める役になりきるという演技論も描かれており、実際に舞台に立ったかのような感情で顧客が求めるものを分析し演じるような表現も良くできていて、この辺は我々視聴者も"顧客"に入っているような感覚に陥れられるので、画面の中のみならず、我々視聴者も巻き込むような空気の操り方、本当に素晴らしかったと思います。

 

また、この演技論繋がりで語りたいお話は、先程申し上げた今までミュージカルや歌劇団を舞台にしたアニメにハマれなかったというお話。

今まで、ミュージカルなどに疎いこともあり、素直にハマれなかったというのもあるかと思いますが、本作を見て何をこのジャンルに求めていたのかというのもはっきりさせられました。

それが作中で描かれる演技論なんです。

先程申し上げた事細かな演技論もさることながら、一人一人が抱いている感情によって、セリフが同じでも全く別物になるような演技の描き分け、これこそが私がずっと見たかったものであると本作が正解を示してくれたんです。

役に沿った演技というものは、感じることによって全く違った印象になり、それがそのまま演技として取り入れられるという演技の深みに触れられるような描写がもうほんと良く描かれており、ミュージカルなどに疎い私でもその演技論や演技の描き分けに納得させられるような出来がとにかく素晴らしかったと思います。

十人十色な作中の演技を見るだけでもめちゃくちゃ楽しめるので、本当に見た方がいいですよ。

 

そして、本作の素晴らしいところは群像劇や演技論だけでなく、主人公・渡辺さらさの破天荒さも大変素晴らしいものでした。

王道ストーリーらしく、巻き込み型の主人公で、全員の背中を押しながら前に進むと同時に、全員を引っ張って夢に向かって走っていくような破天荒極まりない主人公像がしっかり描けており、この主人公無くしてこの物語は成立しない!と言わしめるような非常に素晴らしい主人公でした。

そして、その渡辺さらさにも過去に大きな問題があり、その問題が歌舞伎と結びついているんですが、この歌舞伎と歌劇を結びつけた物語も非常に光っていましたね。

歌舞伎用語は詳しくないのでうまく説明はできないんですが、見得だったり、歌舞伎のいろいろな要素が渡辺さらさの演技に組み込まれており、これもまた十人十色な演技の描き分けを構成していたので本当にすごいなとひしひしと感じながら見ることができ、見たいものがちゃんと見れるという満足感も得られたので、もう感想は満足以外の何者でもないです。

 

夢に向かってみんなでまっすぐ進んでいく中で、本気で笑い合えたり、嬉し涙を流して抱き合えたり、時には本気で悔し涙を流せるようなそういう青春の清々しさというものがみっちりと描かれる中で、歌劇に特化した演技論というものが事細かに描かれていて、原作の漫画では表現できないような声の抑揚でしたり、緊張感からくる声の震え、十人十色の演技幅というものがしっかりとアニメで表現されている、アニメ化のお手本のような素晴らしい作品ですので、見た方がいいです。

正直、今期の中で1番続きが気になると真っ先に思うのが本作ですので、面白さというものは保証します。

その素晴らしさに震え上がりましょう。