れおぱるレビュー

『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』

オススメ度 B

 

OP: B

ED: S

作画: B

わちゃわちゃ: A

 

あらすじ

 

18歳の少女ミツハは、高校卒業を目前にして両親と頼れる兄を一度に失い、天涯孤独の身になってしまった。ショックで大学受験にも失敗して途方に暮れていたミツハは、崖から海へ落ちてしまった…はずが、異世界の大平原にいた!彷徨っていたところを、森の中で出会った少女・コレットに助けてもらい、村での生活が始まった。ある日、コレットと山菜取りへ出かけたところ、オオカミに遭遇してしまい――。

引用元:老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

©FUNA・講談社/「ろうきん」製作委員会

 

どうも!相変わらず異世界×商売に興奮する性癖は治りません!

れおぱるレビューです!!!

 

両親と兄を一度に失い天涯孤独になってしまった18歳の少女・ミツハは、ある日崖から落ちてしまい気が付いたら知らない平原で寝転がっていた。

周辺を散策していると村に住む少女・コレットと出会い村での生活が始まる...という物語。

 

異世界転生でも異世界転移でもなく、自由に現実世界と異世界を行き来できる能力ということで、必要なものがあればすぐにでも現実世界で準備を行えるというチート能力が描かれている作品で、大きなテーマに金儲けが据えられているので、やる事はただ一つ。

異世界×商売ですよね。

我々が普段何気なく使っているものが異世界の人たちからすると革新的なもので驚かれまくる様に我々は気持ちよさを感じるだけというどうしようもないテーマですが、私はこのテーマがほんと大好物すぎて毎度のことながら新鮮な気持ちで興奮できるんですよね。ほんと困ったものです。

 

天涯孤独となったミツハちゃんが現実世界で老後に優雅に暮らすための資金を貯めるために異世界の金貨を荒稼ぎしていこう!というテーマの下物語がスタートするわけですが、そう簡単に自分の店を持てるわけもなく、まずは偉い貴族の後ろ盾を作ろう!という打算的な考えで動いていくのが『ろうきん』らしさに溢れていて凄く気持ち良かった印象があります。

異世界で18歳の女の子が金稼ぎをするとなると、イケメンな貴族や王子に取り入ってそこから商売の糸口を見出していくみたいなストーリーを導入は想像しますが、ミツハちゃんの場合はお金に対する執着が半端じゃなく、男にかまけている暇があるなら何が売れるのか考えまくる!という金儲けに対する徹底ぶりが常に貫かれていたことで、『ろうきん』にしか描けないお金にがめついミツハちゃん像が完成していました。

また、恋愛のれの字も見せないほど突き進む商売の道の中で行く先々で幼女から熱い信頼を得て萌え成分を増幅させてくれたのも実に私好みで終始楽しかったです。

私の細かい性癖を狙いを定めて突いてくるような展開の数々に好きを隠しきれませんでしたね。

 

商売面でも、初めから異世界人に地球のものが大人気になる!という甘ったるい展開は描かず、見ず知らずのものに近寄ろうとしない異世界人を説得するべく商品が売れるための活路を考え見出していく涙ぐましい?ミツハちゃんの努力も見ることができますし、商品を売り出すために別のビジネスを行いしっかり金儲けもし商品も売るというお金に対する執着も曲げることなくストーリーの中にしっかり落とし込まれていたので大変素晴らしかったです。

また、その新たなビジネスによって後ろ盾を更に増やしていく様も、商売の延長線上である出会いとして貫かれていて、テーマを一切崩さないなと感心することもできます。

 

クライマックスでは世界間転移能力と、異世界に来る前に準備してきた傭兵達との関係性をフルに生かした王都を守る展開が描かれ、初めは躊躇していた近代兵器の持ち込みも段階を踏むことでミツハちゃんの中で解放し文字通り無双していく気持ちよさもあって、求められていることを理解しているな...と感じることができる出来に言うことはただ一つ、素晴らしいな...の一言です。

 

そんな着実に私の性癖を突いてきた『ろうきん』ですが、めちゃくちゃ面白いのか?と言われると素直に頷けない安っぽさがあるのも事実なんです。

全てがミツハちゃんの想像通りに収まってしまっており、物語の雰囲気からも安っぽさが滲み出ているので、面白くはないが面白くなくもない、普通という印象で最終的にまとまってしまうほど無難に描いてしまったのかなとも感じてしまいます。

ただ、私からするとこの安っぽさこそが作品の味そのものだと思うので、クール内に1本は欲しいアニメの筆頭格だなという位置付けにあります。

私と同じように安っぽいストーリーが逆に良いんだ!と思う方は是非見てみてくださいね。

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』

オススメ度 A-

 

OP: A

ED: B

作画: C

わちゃわちゃ: C

 

あらすじな件

 

藤宮周は、人付き合いが苦手な一人暮らしの高校一年生。同じマンションの隣には、天使様と呼ばれる学校一の美少女・椎名真昼が住んでいる。ある日の学校帰り、周は雨の中ずぶ濡れになっている真昼を見かけ、傘を貸す。翌日、風邪を引いてしまった周を看病することになったことから、特に関わり合いのなかった二人の、不思議な交流が始まった――。

引用元:TVアニメ『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』公式サイト

©佐伯さん・SBクリエイティブ/アニメ「お隣の天使様」製作委員会

 

どうも!お隣に椎名真昼が住んでいればどれだけ世界が変わっただろうか...

れおぱるレビューです!!!

 

美人で礼儀正しく誰もが天使様と崇める存在・椎名真昼が同じマンションの隣の部屋に住んでいることを知った・藤宮周は、ある日雨にずぶ濡れになりながら公園で1人佇む天使様を発見し...という物語。

 

タイトルの最後に付く「件」や一人暮らしの高校生、その隣にも同じような境遇の同級生など、古き良き平成のラノベを感じるような少々古臭い導入から始まる物語でしたが、いざ物語を紡ぎ出してしまえば視聴者の誰もが椎名真昼に恋をしてしまうというとてつもないヒロインの魅力の引き出し方をしており、毎度「椎名真昼お前が好きだ...」という感想だけで成り立ってしまうとんでもない作品でした。

まず、タイトルにもある通り周が椎名真昼に甘えれば甘えるほど、駄目人間にされればされるほど物語が成立してしまう設定の良さから椎名真昼の魅力を引き出すことから始まります。

一人暮らしをしてる周はお世辞にも健康的な生活をしているとは言えない状況で、それを見兼ねた椎名真昼が料理を振る舞いそれが日常になっていくという関係性からスタートし、周の身の回りのお世話もしてあげるようになるというママみに溢れた女子力の高さや母性を感じられるのは非常に良かった。

このスタートがあるおかげで周は遺憾無く椎名真昼に甘えられる環境にハマっていき、2人で過ごす時間が増えていきますし、それを観ている我々も椎名真昼に甘えたくて仕方がなくなるいつのまにか駄目人間にされてしまっている始末。

テーマに沿った魅力の引き出され方を椎名真昼がしっかりされていることで今期の誰にも負けないヒロイン像へと駆け上がっていく様は圧巻でした。

そして、椎名真昼の良さが最大限表れるようになる中盤から終盤にかけて。

これはもう兵器と言っても過言ではないレベルの破壊力がありましたね...

2人で過ごす時間が増え、お互いの気になるという感情が好意に変換されていく重要なフェーズ。

あからさまな見せ所で物語を突き動かすのではなく、日常で繰り広げられる会話や共に過ごすイベントから相手への興味を積み重ねていき、気付いた時にはその積み重ねが大恋愛に繋がるものに変わっていって...という自然な流れで恋に落ちる空間が用意されていたのも椎名真昼の魅力に拍車をかけていたように感じます。

また、物語の進展的に椎名真昼からアプローチをかける事が多くなるのもここからで、相手に好意を気付かせようとしてあまりの恥ずかしさに撃沈していく様はノーベル賞を受賞した方がいいんじゃないかと思えてしまうほど美しいもので、こんなにかわいい女の子がまだアニメとして世に出ていなかったのかと驚きが隠せないほどでした。

それほどまでにヒロインの魅力。ただ一点のみを極めている作品でしたので、その武器だけで他のアニメと勝負して余裕で勝ててしまうような強さには文句のつけようがありません...

最高でした...

 

そんなヒロインの魅力の引き出し方が非常に長けている作品ですが、そこが強すぎるだけにどうしても浮上してしまう不満があるのもまた事実。

第7話で自分の弱いところや嫌いなところを全て曝け出し、その全てを周に受け止めてもらうことで周に対する全ての感情が恋愛感情に変換されていくフェーズ。

この話以降、椎名真昼の周に対する好きな気持ちが止まらなくなり、早く自分の気持ちに気付いて欲しくてあからさまなアプローチを何度も繰り返すんですが、周がそれに気付いていながらも応えるシーンが最終回の最後までないというヘタレっぷりは良くなかったんじゃないかと感じます。

男側の心境としては、今まで2人で過ごしてきた空間が楽しすぎた、心地良すぎたが故に自分が告白をすることによってもし失敗してしまった時、元の関係性に戻れなくなってしまうのが怖いという心理が働き中々告白という大きな一歩を踏み出せなくはなりますが、踏みとどまっているシーンがあまりにも長すぎます。

周の中でグルグル巡る葛藤を描くなとは言いません、むしろ描くことで作品の深みがさらに増して良いものにもなりますが、椎名真昼があからさまなアプローチを何度もしているのにそれに応えようとしない状況が8〜12話まで続くのはあまりにも長すぎるなと感じ物語全体のダレにも繋がっているように思えました。

また、告白の大きな一歩を踏み出す最終回においても、椎名真昼から逃げ道を塞がれることでやっと重たい腰を動かすというヘタレっぷり。

椎名真昼に恋する私としては椎名真昼に早く幸せになって欲しかったので、そのヘタレっぷりに対してイライラを感じてしまい作品に対する印象が少し悪くなってしまいました。

椎名真昼の恋心を確定させるフェーズが良かっただけに、それ以降周を男にするフェーズが同等の強さで描かれなかったのは素直に良くなかったですね。

物語の展開においても畳み掛けの部分なのでもう少しテンポを早めるなりもうひと展開行うなどやっても良かったんじゃないかなと感じました。

 

project No.9とかいうヒロインの魅力を引き出すことに特化した制作会社がアニメ化を行ったということもあり、椎名真昼の美しさは今年のヒロインランキングでもかなりの強さを見せるんじゃないかと冬の段階で予想できるほど完成され尽くされていたのでかなり見応えがあります。

革新的な物語ではありませんが、ヒロインの魅力をテーマに据えた作品としては大成功な物語です。

ヒロインの美しさを常に描き続けなければならない作品としては作画の乱れ方に不満を感じてしまうほど安定を感じることはできませんが、そんなことは関係ないと言わんばかりに暴れ散らかし数多くの男を恋に落とし殺してくるような勢いの椎名真昼は誰にも止められません。

椎名真昼...お前が好きだ...

結婚しよう...

『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』

オススメ度 A

 

OP: A

ED: S

作画: C

わちゃわちゃ: B

 

あらすじ

 

放送部に所属する高校生、遠藤碧人と小林詩帆乃は、困惑していた。実況と解説を付けながらプレイしていた乙女ゲーム『マジカルに恋して』のメイン攻略キャラ・ジークヴァルトに、自分たちの“声”が聞こえていたから。「神々よ!エンドー様、と、コバヤシ様...とおっしゃるのでしょうか?」リアルとゲーム世界が交差する、ファンタジー・ラブストーリー開幕。

引用元:TVアニメ『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』

©恵ノ島すず・えいひ/KADOKAWA/ツンリゼ製作委員会2023

 

どうも!あぁ...そうだ...今日もリーゼロッテがかわいくて尊い...

れおぱるレビューです!!!

 

放送部に入部したばかりの遠藤くんは発声に伸び悩んでおり、それを見かねた小林さんがゲームをしながら実況をやってみることを勧める。

小林さんの解説付きでやり始めたゲームは、彼女が愛してやまない作品『マジカルに恋して』。

『まじこい』の良さを永遠と語る小林さんだが、どうしても許せないことがあるらしく、それは悪役令嬢・リーゼロッテが歩む結末がどのルートも悲しすぎるというもの。

そんな話をしながらプレイしていると何やらゲームの世界に声が届いているらしく...という物語。

 

悪役令嬢作品が増え出した近年、悪役令嬢自身に転生や憑依する形で破滅エンドを回避していくというフォーマットが主流でしたが、本作では現実世界からゲーム世界に干渉する形で破滅エンドを回避していくという全く新しい視点でスタートしていたので設定そのものに面白さを感じられました。

肝心のストーリー部分も設定の良さが遺憾無く発揮されているものばかりで新たなジャンルを開拓していく様子に立ち会えたような喜ばしい気持ちが持続していたので素晴らしい作品に出会えたなと心の底から感じられましたね。

 

ストーリー部分ですが、前述した通りまずは描く視点の良さが大前提としてあるので、『まじこい』のありきたりなストーリーも面白さに変換できていて非常によかったですね。

この物語の大きなテーマ、「リーゼロッテを救う」

それを達成する為には、結末を知る小林さんの助言の下ゲーム内の各キャラを動かしていく必要がありますが、表面上の問題だけをゲーム内キャラに伝え動かしてしまうと、小林さんが掲げる最高を超えた最高のハッピーエンドには辿り着けないので、まずはリーゼロッテの悪役令嬢ムーブを無効化していく作業から始まります。

悪役令嬢ムーブの無効化と聞くと何を言っているのか分かりませんが、簡単に言うと照れ隠しのためにツンデレのツンをリーゼロッテがこれでもかと発揮してくるので、その照れ隠しを婚約者であるジークやゲーム内主人公であるフィーネに理解させ、ツンを発動してきても反感を買わないような下地を作り上げるという問題の深いところを改善していく描写が物凄く良かった印象があります。

その悪役令嬢ムーブの無効化を行う事により、リーゼロッテがどれだけツンツンしていようともそこには、かわいい女の子とそれを今日も愛でる優しい人達しか残らないというとてつもなく幸せな空間が広がっていて、小林さんがリーゼロッテに惚れる理由も身をもって体験できるという抜かりなさも味わえるので素晴らしかった。

また、その無効化を行っていく際にゲーム内キャラのリーゼロッテに対する気持ちを表した描写もそうですが、そのゲームを俯瞰している遠藤くんと小林さんの喜びも描写する事で二重に嬉しい感情が我々に伝わってくるという設定の良さを生かした感情の描写をしてくるのは非常に良かった。

しかも、ゲームを俯瞰してるのは遠藤くんと小林さんだけでなく、我々視聴者も俯瞰している立場にあるので、遠藤くんと小林さんが感じているものを共有できるかのような感覚に陥ることができ、我々視聴者を巻き込む形で進行できたのも本作の武器であり特権でしたね。

ほんと、設定の良さが終始滲み出ていた作品でした。

 

前半で悪役令嬢ムーブを無効化することによりただのかわいい女の子・リーゼロッテを手に入れることができた我々に待ち受けるのは、本当の問題であるリーゼロッテに訪れる破滅。

それを回避し最高を超えた最高のハッピーエンドに到達させることが本来の目的であるのでここからが本番になるんですが、

前述した通り問題の根底にある深い部分、リーゼロッテに対する意識改革を行なっていることにより、ゲーム内キャラが自然とリーゼロッテを守りたいと思えるような空間がすでに出来上がっていたので、後は遠藤くんと小林さんの助言を聞きつつ破滅エンドを回避していくように各キャラが動いていく後半はシンプルにストーリーが面白いなと感じることができました。

『まじこい』が本来紡ぐはずのシナリオはありきたりなものなのでそこに面白さは感じ取れませんが、リーゼロッテが主役になることにより、新たに紡がれ出したシナリオのシンプルな面白さ、このゲームを網羅する小林さんですら未知の領域に入ってしまった先の見えない面白さなど、現実世界とゲーム世界がリンクして面白いを紡いでいくストーリーはやはり圧巻。ここでも設定の良さをふんだんに生かしてきて二重の面白いを叩きつけてくるな...と。

惚れ惚れする展開に指を加えて観ていることしかできないくらい没頭できました。

 

それに加え、本作に対する信頼が揺るぎないものになった要因の一つに、1クールできっちり納めてくる手際の良さもあります。

良いところで納めたとか、納めることはできたけどまだ続きがありそうとかいう中途半端なところでケリを付けずに、作中で提示された全ての問題にケリをつけ、小林さんが目指した最高を超えた最高のハッピーエンドを迎えるどころか、我々視聴者が更に望んだ遠藤くんと小林さんに対する、

最高を超えた最高のハッピーエンドを超えた最高のハッピーエンド

を理解しそれを明確に描いてくることで全員が幸せな気持ちになって大団円を迎えるというとんでもないことを成し遂げていましたからね。

ここまで完璧に終わらせてくるのかと。

正直ここまで描いてくれるとは思ってもなかったので、驚きが見終わった今でもずっと続いています。

本当に素晴らしい作品をありがとうと伝えたいですね。

 

ただ、ここまでベタ褒めしている作品でも悪いところがあるのでAに留まる形になってしまいました。

その悪いところは作画にあります。

私自身、作画が悪くても物語が面白ければSSをつける意思と覚悟は持ち合わせているんですが、この作品の場合は小林さんが愛してやまないリーゼロッテをいかに美しく見せ続けるかというのも重要なポイントなので、それが出来ていないというか、作画の悪さにより「あ、今のところ作画乱れてたな」と思ってしまい物語に没頭している最中に横槍を投げられるような事が何度もあったので、そこは減点対象かなと思います。

また、クライマックスが割と軽いノリで進むんですが、そのノリ自体はこの作品が当初から作り上げてきた雰囲気にあっているので問題ないんですが、作画の悪さが相対的に安っぽさに繋げてしまっているのは良くないなと感じられたのも良くなかったですね。

原作のCMやEDの原作絵が非常に美しいだけあって、アニメ本編の作画の悪さを見るたびに悲しくなりますし、もう少し力を入れて欲しかった。

 

リーゼロッテは幸せになりますし、リーゼロッテの周りに集まる人物たちもリーゼロッテのツンデレを愛でることにより幸せを感じ、どうしようもないほどの愛をリーゼロッテに募らせていき、

それを見ている遠藤くんと小林さんも共に何かを成し遂げる事で信頼関係が芽生え恋愛に発展していく...という2つの世界を同時に動かし、双方を幸せにする事で我々視聴者も幸せを永遠に感じられるとかいう頭のおかしなことを平気でやってくる天才的な作品。

これはものすごい革命を起こしたんじゃないでしょうか。

散々擦られまくっている異世界系や悪役令嬢系も視点を変えるだけでまだまだ描けることは沢山あるなと思い知らされた気分です。

是非見てほしい、立ち会ってほしい作品ですので、リーゼロッテは今日もかわいい!と言いながら観てみてください。

『氷属性男子とクールな同僚女子』

オススメ度 B+

 

OP: B

ED: A

作画: A

わちゃわちゃ: B

 

あらすじ

 

新社会人の冬月さんは、入社式の朝、足下が凍ったまま桜を見ているスーツ姿の青年、氷室くんに出会う。
雪女の末裔で感情が高まると周囲を凍らせてしまう氷室くんは、入社式に向かう途中、緊張で凍って動けなくなっていたのだ。冬月さんのおかげで緊張がほぐれ、会話を交わして別れた二人は同僚として再会。同期入社の狐森さん、冴島くんとも知り合う。

引用元:TVアニメ「氷属性男子とクールな同僚女子」公式サイト

©Miyuki Tonogaya/SQUARE ENIX

©殿ヶ谷美由記/SQUARE ENIX・氷属性製作委員会

 

どうも!社会人を題材にしたラブコメはいつも素晴らしいですね...

れおぱるレビューです!!!

 

入社式に行く途中、緊張のあまり物理的に凍っていた雪女の末裔・氷室くんと出会ったクールな女子・冬月さんは氷室くんの凍りついた脚を溶かす為に色々と尽力し、感謝される。

その後、入社式で再会した2人は同じ部署に配属され...という物語。

 

社会人の恋愛を取り扱った作品だったので、落ち着いた雰囲気の中で燃えたぎるような大恋愛を繰り広げる事に期待し見始めた本作でしたが、大恋愛には至らなかったものの、求めていた落ち着いた恋愛を終始展開してくれ、静かに悶えながら2人の幸せを祈るような気持ちで終始視聴できたのでとても楽しかったです。

 

本作の特徴として特筆すべきなのは、冬月さんの魅力の引き出し方とその多さですね。

クールな同僚女子というテーマで描かれてはいますが、冷徹みたいな冷たい雰囲気ではなく、滅多に取り乱さない落ち着きの良さでそこを描いているので、エピソードを重ねる毎に増していくギャップの多さは直接彼女の魅力に繋がっていて、氷室くんと共に冬月さんに惚れてしまい続ける空間が出来上がっていたのは非常に素晴らしかったですね。

元々落ち着いた性格なのでそこから滲み出る大人の女性の魅力はもちろんの事、仕事の中でかっこいい一面を垣間見せたり、女の子の心を忘れないお茶目な一面を時折見せてきたりと...冬月さんが持つ魅力の多さとその引き出し方が非常に長けていた印象がありました。

一方で、冬月さんの魅力の引き出し方を見ているともっとどうにかできなかったのかなと思ってしまうのが氷室くんの魅力の引き出し方になります。

本作は男子が女子を追いかけるという描き方がなされているので、恋する乙女の顔を担うのも男側の役目になってしまっている為、冬月さんの溢れんばかりの魅力に終始翻弄されていく氷室くんが多く描かれていたので、もう少しかっこよさで冬月さんを振り向かせて離さないような魅力を描いてもよかったんじゃないかなと感じます。

 

また、氷室くんが冬月さんに想いを寄せていることは早々に明確に描かれていたので、恋愛面のストーリーをもう少し進めてもよかったんじゃないかと感じました。

こういう系のラブコメはテーマに沿ったヒロインのかわいさを描くことが大前提ではあるので、2人の関係性が現状維持のままというのも正解なんですが、近年では現状維持という手法を取らずに最終的にゴールするところまで描いてくる作品も増えているので、現状維持というままでは少し物足りなさを感じてしまいます。

なので、氷室くんの明確な想いを増幅させていき、冬月さんに対するアプローチを積み重ね、感情をあまり表情に出さない冬月さんをどうしようもない恋する乙女へと変貌させ恋する乙女の顔で最大瞬間風速を叩き出すような描き方をしたらもっと盛り上がったと私は思いました。

 

恋愛面の展開のさせ方でもう一つ言うと、氷室くんと冬月さんのカップリング以外にも、本作では2組のカップリングが成立していましたが、この2組のフォーカスの当たらなさが少々消化不良だったかなと感じます。

というのも、氷室くんと冬月さん以外の主要キャラも妖狐の末裔や不死鳥の末裔など非常に設定の良いキャラが集まっていたので、主軸の2人とは違ったラブコメが2組分描けてしまうポテンシャルがあったからです。

氷室くんと冬月さんの関係性を現状維持のままにさせるのなら、せめて主軸のカップリングも含めた3パターンのラブコメで全体が盛り上がっていくような群像劇の愛の物語にもシフトできたと思いますし、それができる環境が整っていたので惜しいことをしているなと感じました。

 

氷室くんと冬月さん、2人の相性が非常に良かった為、早い段階で関係性のフォーマットが完成しており、恋愛面に進展がなくとも面白いが持続し安定した面白さがここにはありました。

恋愛面を進めてみても、このプレゼントを渡してどんな反応するのかな?とか悩みまくる描写にやられますし、

お揃いの物が増えそれを見つめるだけであの日の出来事を思い出せるようなどうしようもない恋心をしっかり堪能できる素晴らしい作品でした。

また、本作で印象的だったのは瞳の動かし方。

事あるごとに瞳が小刻みに動く演出は表には出していないが内心ものすごく感情が動いている事を容易に感じ取れますし、ただ見つめ合う空間で頬を赤らめるよりもよっぽど心境の揺らぎを感じ取れたので、そこでも我々の恋する乙女の一面が刺激されます。

雪女の末裔とかいうファンタジー要素も出オチにはせず、氷室くんの心の揺らぎが伝わりやすいようなエフェクトとして能力が使われていたのも新しくて楽しかったです。

こういう安定したラブコメがあるからこそ3ヶ月が楽しくて仕方がなくなるような、各クールに欠かせない存在枠として非常に良いアニメですので是非。

『お兄ちゃんはおしまい!』

オススメ度 S

 

OP: SS

ED: SS

作画: SS

わちゃわちゃ: S

 

あらすじ!

 

2年も外に出ないで、いかがわしいゲーム三昧の“引きこもりでダメニート男”な緒山まひろ。昼時に目を覚ますと、どうも身体の様子がおかしい…。不思議がりつつも布団から起き上がりタブレットを手に取ると…、そこには見ず知らずの“可愛い女の子”が画面に映っていた!自身の姿に混乱するまひろの元に、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れると、飲み物に薬を盛ったと告げられる…!みはりによる“女の子になる薬”の経過観察として、突如始まった女の子の生活!トイレやお風呂など分からないことばかり…。“元”お兄ちゃんであるまひろの運命はどうなる…!?

引用元:#01.まひろとイケないカラダ - エピソード | TVアニメ「お兄ちゃんはおしまい!」公式サイト

©ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会

 

どうも!TSっていいよな...

れおぱるレビューです!!!

 

引きこもりのダメニートの兄・まひろを更生させるために、飛び級で大学に進学した天才妹・みはりが女の子になる薬をまひろに盛り、女の子の身体になったまひろに女の子として人生を再スタートさせる...というお話。

 

導入部分だけ見ると、エロ漫画で見かけるような導入だけにえっちな展開へと思考が働いてしまいますが、そんな我々を嘲笑うかのようにしっかりとテーマに準える形で物語を展開し、しっかり面白いを叩き込んできた素晴らしい作品でしたね...

というのも、題材が一歩間違えれば下品になってしまうのにも関わらず、一歩踏み外すという事を徹底的に行わない事で、美しさを感じるレベルの変態アニメーションとしてあり続けたことにこの作品の凄みがあると思えるんです。

主人公のまひろちゃんは元男の子という事で、女の子の身体になったからには!と大暴れしそうなものですが、それを抑止するために物語前半部分で叩き込まれた女の子のいろは。

そこには我々が知る由もない、ただ生きてるだけで月に一度ものすごく辛い現象が待ち受けていたり、毎日入るお風呂でもいろんな部分をケアしなければならなかったり、一歩外に出てしまえば色々と気を使うことがあったりと、女の子はただかわいいだけ生き物じゃないんだぞと、いい塩梅で女の子のリアルを描いてくるので、まひろちゃん自身もそれを身をもって体験し、そういう下品な思考に至らなくなるように仕向ける物語展開に隙がなさすぎましたね。

しかも、女の子のリアルな部分を描きすぎないというのもポイント。

あまりにも徹底的にリアルを追求してしまうと、我々のような紳士は創作物でそんなものは見たくないと反発してしまいますが、そこを考えられた上での良い塩梅のリアルだったので我々もまひろちゃんと同じ立場に立って女の子というものを叩き込まれていく感覚に陥ることができ作品そのものに没頭できる空間が完成していたことは非常に素晴らしかった。

しかも、紳士だけに気を使いすぎるとどうしてもリアルではないような萌えに振ってしまいがちですが、そこを考え淑女にも受け入れられるように淑女に共感を得やすい女の子あるあるをリアルに寄せた形で提示してくることで、淑女にも愛される作品にもなってしまうという強さあふれる采配をとっており、紳士淑女に愛される唯一無二の作品へと上り詰めていく様は見ていて気持ち良すぎましたね。

オタク文化に浸かっている人間なら性別問わずに惚れさせてしまうような設定と物語の運び方、脱帽する以外することがありません。

 

その設定を生かした物語展開が徹底的に描かれた導入〜前半で女の子の立ち振る舞いを叩き込まれたまひろちゃんに待ち受ける中盤〜後半にかけてのパートも素晴らしさが止まらないのが『おにまい!』な素晴らしいところ。

ある程度女の子らしくなってきたところで中学生、それも女の子だらけの空間に放り込まれ徐々に社会復帰という大きなテーマに触れ出してくる重要なパート。

前述したように女の子だらけの空間に放り込まれようとも下品な空気感というものは一切なく、程よく変態であり続けながらも、しっかりと萌えを増幅させ続ける展開に私は涙を流して喜びました。

というのも、ただわちゃわちゃするだけというエピソードの中にも、男に戻りたがっていたはずのまひろちゃんが女の子の生活も悪くないと徐々に考えを改め出している描写が絶妙に差し込まれ、至る所で満更でもない表情を浮かべるので、我々視聴者はみはりちゃんと同じような嬉しい気持ちに包まれ、常に幸せな空間が広がっていたからなんです。

その空間を作り上げた立役者として、女の子を叩き込んだみはりちゃんの存在もありますが、何よりも内向的なまひろちゃんを温かく迎え入れてくれたもみじちゃん達の存在が非常に大きく、まひろちゃんに女の子だらけの世界の楽しさを教えてくれたおかげで、徐々にではありますが外交的な一面もまひろちゃんが見せ始め、大きなテーマである社会復帰に繋がるような描写も描くことができ、遊びパートにも関わらず物語のテーマに直結するような重要なパートはと昇華させられる程の関係性が構築できていたので素晴らしいという言葉以外かける言葉がありません。

しかも、徐々に社会復帰という名の階段をまひろちゃんが登る過程で、みはりちゃんやもみじちゃん達のおかげでここまで来れたことをまひろちゃんが誰よりも理解しているので、不器用ながらも感謝をまっすぐ伝える描写にエモさが溢れ出ており、ただかわいい女の子達がわちゃわちゃやるだけの作品ではない、只者ではない作品だと我々はひしひしと感じ取ることができるので、最終的には涙を流しながら拍手しかすることができない哀れなオタクにされてしまいます。

ほんと、オタクが好きな事を徹底的に理解し描いてきているなと感じる作品でした。

 

みはりちゃんの一存によって始まったお兄ちゃん改造計画ですが、当の本人であるまひろちゃんが誰よりも女の子の生活を楽しめるような物語展開、キャラ達の動かし方をしているので、見ている我々も終始笑顔で見守ることができる、そんな悪いところが一切ない素晴らしいジャパニーズ変態アニメーション。

日常系に分類されるアニメにも関わらず、画面の至る所が常に動きまくり、めちゃくちゃ安定した超作画を1〜12話まで毎回楽しめるのも凄いところ。

アニメーションの技術については詳しくありませんが、そんな私でもこのアニメーションが物凄い技術で作られていることはわかる。

聞くところによるとOPは1秒間に160枚の絵が使われているとかいないとか。

それと、演出部分においてもアニメーションの強みが存分に生かされていて、第9話のクリスマス回では、意図的に台詞を入れないシーンを長尺取るというあまり見ない攻めた描写を挟みますが、誰がどんな言葉を発しているのか容易に想像が出来るような動かし方をしていて、今でも鮮明に記憶に残っているほどのもので凄いなという言葉しか出てきませんでした。

この意図的な演出はここだけに留まらず、第8話のお泊まり回では意図的に作画を崩して独特な雰囲気を作り出すような演出も見ることができるので、純粋に映像作品としての凄さも堪能できます。

 

日本のオタク文化の良いところと悪いところがこれでもかと詰まり共存している作品なので、恐らく世に出てはいけないジャンルに分類されてしまいますが、

純粋な物語の面白さ、純粋な映像作品としての楽しさという点で是非全人類に周知してほしい作品だと私は考えます。

女子中学生の下着姿やお風呂に入るシーンなども一切手を抜くことなく大真面目に描き抜く姿勢もジャパニーズ変態アニメーションとしての地位を揺るがないものにしていますし、突き抜けたフェチズム描写があるからこそ下品に捉われない、一歩を踏み外さない絶妙なラインを攻めることができている素晴らしい作品です。

萌えはちょっと...など言っている場合ではありません。

全ての要素のレベルが高すぎるかわいい女の子の世界に平伏し、『おにまい!』無しでは生きていけない身体に改造されましょう!

『転生王女と天才令嬢の魔法革命』

オススメ度 B

 

OP: B

ED: A

作画: A

わちゃわちゃ: C

 

あらすじ

 

前世の記憶を持つ王女、アニスフィアは魔法で空を飛ぶという夢のため、日夜怪しげな研究に勤しんでいた。ある夜、アニスはお手製魔女箒の試験飛行で、貴族学院の夜会に飛び込んでしまう。そこでは、天才公爵令嬢のユフィリアが王子アルガルドから婚約破棄をつきつけられていて!?

引用元:ストーリー | TVアニメ「転生王女と天才令嬢の魔法革命」公式サイト

©2023 鴉ぴえろ・きさらぎゆり/KADOKAWA/転天製作委員会

 

どうも!やはり百合が全ての問題を片付ける...

百合こそが至高...れおぱるレビューです!!!

 

魔法は使えないが魔法を誰でも使える世界を夢見て自ら編み出した魔学を熱心に研究し続ける王女・アニスは、空飛ぶホウキのテスト飛行中貴族学院の夜会が行われている矢先に墜落してしまい、そこで今まさに弟で王位継承権第一位の・アルガルドからフラれてしまい次期王妃の座を剥奪されてしまった天才令嬢・ユフィと出会う。

アルくんがいらないならとユフィの才能を誰よりも欲しているアニスはユフィの手を取り空飛ぶホウキで夜会を後にして...という物語。

 

公式で「王宮百合ファンタジー」を謳うだけあり、導入部分から描かれる百合に抜かりのない姿勢はお見事でした...!

というのも、アニスが徐々にユフィを侍らせるような導入ではなく、多少強引であっても居場所を失ってしまったユフィを連れ去るという形で自らの間合いに連れ込み居場所を瞬時に与えてしまい抜け出せない沼へと始めからどっぷりハメてしまうような導入には迷いがなくそれでいて完璧で大いに盛り上がりましたからね。

そしてその後に描かれるユフィの心情変化も非常に丁寧で良かった。

まずは強引な形でアニスの懐に入れられてしまい何が何だか分からない状態で、しかも次期王妃の座までも失ってしまい憔悴しきってるユフィを落ち込む暇もなくグイグイ引っ張り続けてくれるアニスにユフィは次第に惹かれるようになり、自分が持ち合わせていないものに憧れを感じ自ら付いていく事を選ぶようになっていくフェーズは見たかったものであり、よくぞやってくれた!ありがとう!と無限に感謝を伝えたくなるような描き方でした。

また、アニスに至ってもただ同情によってユフィに居場所を与えていたのではなく、本当に必要な存在だから、自分が持っていないものを持ち合わせている憧れからユフィと共に歩む事を選んだという描写がしっかりあり、

お互いがお互いを求め、お互いの凄いところをリスペクトし合う美しい関係性を前半パート丸々使いじっくり描いてくれた事で唯一無二の関係性が出来上がっており、求めている以上の百合が拝めたと言っても過言ではありません。

公式で「王宮百合ファンタジー」を謳うだけのことはあるなとひしひしと感じさせられました。

 

ただ、前半の2人の関係性の描き方が良すぎただけにどうしても心が離れてしまうのが後半パート。

2人の関係性が完成し、いよいよ魔学による魔法革命が始まるのかと思いきや、浮き上がるのはユフィを振った張本人であるアニスの弟アルガルドの問題。

アルガルドは姉に誰よりも憧れ、誰よりも愛していただけに王位継承権を放棄した姉が自分を突き放しているようで許せなかった。

また、アニスは魔法を使えない自分が魔法を重んじてきたこの国の王になるのは相応しくないと想い、大好きなアルくんに王位の座を譲ったという、

姉弟が大好きすぎるが故に生じてしまった幼少期から続くすれ違いがユフィやレイニを巻き込む形でものすごく大きな喧嘩へと発展してしまい、最終的には全てを壊さないと仲直りできない状況にまで発展してしまった重い空気感が長々と描かれてしまったのは物語そのものの失速に繋がってしまったかなと感じます。

確かに、物語導入部分で撒かれた問題の一つではありましたが、物語当初の流れからするとそんな問題がどうでも良くなるくらいの素晴らしい百合で飲み込んでくれるかと思っていたので、あまりにもフォーカスされすぎる問題にそんなもの求めていないんだよな...となってしまうのが正直な感想です。

それに続き訪れる問題が王位継承権が再びアニスに戻りユフィを引っ張り続けたあの頃の笑顔が失われてしまうクライマックス。

かつて憔悴しきったユフィをアニスが懐に入れてしまったように、今度は自らの道を歩み出したユフィがアニスを支える非常に重要なパートではありますが、あまりにも重苦しい雰囲気にしすぎだと感じてしまいました。

物語のクライマックス部分なので、最終回が更に盛り上がるように必要な工程ではありましたが、あまりにも登場人物が悲しい目をしすぎている為、本来見たかったものになかなか辿り着けず焦らされている我々にとっては心が離れてしまう大きな要因になってしまっていたと感じてしまいます。

しかも、本来このアニメに求めていた物語は、

転生者目線で魔学を用いて世の中の暮らしを更に豊かにしていき、天才令嬢と共に革命を起こし続けるような気持ちのいい物語だったので、求めていない王位継承がどうのとかいう問題は心底どうでも良かったというのが正直な感想。

転生者と天才と魔学という強みをあまり伸ばさずに物語当初から配置されている問題を少し強調しすぎたのかなと感じます。

 

ただ、終わり良ければ全て良しという言葉がこの世にあるように、

最終回では本来見たかったものが全て詰め込まれていて、更に求めている以上の百合を当たり前のようにそれも大量に濃密に描いてくれていたので笑顔で終われたことは非常に素晴らしかったと言えます。

本来見たかったシンプルで楽しい2人の魔法革命は最終回のその後の物語という消化不良要素もありますが、前半の盛り上がりと最終回の素晴らしさだけはガチという言葉以外見つからないほど素晴らしい作品なので是非。

 

魔法使いは人を笑顔にする為に魔法を使う、

『転天』は我々を笑顔にする為に物語を紡ぐ。

やはり百合は世界を救いますね。

『不滅のあなたへ Season 2』

オススメ度 A

 

OP: C

ED: C

作画: B

わちゃわちゃ: D

 

あらすじもあなたへ

 

老婆ピオランとの別れから40年。不死身のフシはたったひとり、孤独で退屈な島での日々を過ごしていた。「もう誰にも会わない」そう決めたはずのフシの前に、ヤノメ国の少女・ヒサメが現れる。彼女は言う。「私はハヤセの生まれ変わりなのだ」と……。再び動き出したノッカーの脅威から罪なき人々を救うため、フシはヒサメたち『守護団』と行動をともにすることにした。

引用元:ストーリー | アニメ「不滅のあなたへ」Season2 公式サイト

© ⼤今良時・講談社NHK・NEP

 

どうも!3ヶ月ぶりです!

れおぱるレビューです!!!!

 

個人的に大忙しの秋から解放され身も心も余裕ができまくる冬は毎年心の底からアニメを楽しめる期間であり、年内の好きなクール上位に数えられるクールで、23冬ももれなく好きで好きでたまらないクールになってきておりますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

そんなことはさておき、本題。

 

21年春〜夏に全20話で放送された『不滅のあなたへ』の続編。

1期で浮上した突発的な問題は大方片付いていましたが、物語全体で掲げる「フシが生きる理由」や「終わりのない旅路」でフシが見出していくこと、「ハヤセさんとノッカーのその後」など大きな問題は片付いていなかったので、その辺の問題にもケリがつけばいいなと思い視聴を始めた第2期。

前述した大きな問題が片付いた?という感じで幕を引いた2期でしたが、問題を片付けるためのゴールを見出せたという大きな収穫があったおかげで、1期からの面白さを持続していた凄みをひしひしと感じられましたね。

 

深く関わってきた人全てが己の不死身のせいで死んでしまう悲しみを受け入れられなくなったフシは、人と関わらなければノッカーは自分のところにしかやってこない性質を活かし、誰とも関わらない生活を続けていた矢先、ノッカーが自分のいないところで人を襲ったと観察者から聞かされる。

ノッカーから人々を救う為に数十年ぶりに赴いた街でジャナンダで共に戦ったトナリと再会する...

という導入から始まった第2期。

まず目を引くのがフシの不死身を利用した数十年後の再会、数世代にわたる関わりなど、長い時を経て紡がれていく物語です。

数十年の時を経てフシの為に身体を作り替えてきたトナリに然り、ハヤセさんの死後数世代にわたりフシに関わってくるハヤセ一族などなど、1期で紡がれた物語や一緒になってしまったハヤセさんとノッカーの存在など、

1期丸ごと土台にしてそこに2期という枠組みを作り上げていくような面白さ、物語全体を見渡したときの一貫性など、長期にわたって紡がれる物語として非常に上手いなと感じることができました。

また、ハヤセ一族が敵ではなく、フシを愛する頭のおかしい一族として終始物語を掻き回していく様もハヤセさんの血を色濃く感じることができ、ふとした時にハヤセさんのあの不敵な笑みを思い浮かべることができる描き方は凄すぎましたね。

これも1期のハヤセさんの描き方がなければ成立しなかった事柄なので、こういう面でも1期という土台の良さをひしひしと感じることができます。

 

そして、2期で特筆すべきはなんといっても、

ボンシェン・ニコリ・ラ・テイスティピーチ=ウラリスの存在でしょう。

もう好きすぎてフルネームで書いてしまったんですが、彼の活躍はもう惚れ惚れするほどのもので、

1期である程度人間らしさを構築したフシにそれでも足りなかったというか、深く人と交わることで失ってしまった失わざるを得なかった人を信頼する心や、物語の大きなテーマであるフシが生きる理由を見出す存在として長期にわたって関わりがあった人物なので、本作の中でも群を抜いて印象に残る人物になったんじゃないでしょうか。

はじめは、トナリがフシの人を信頼できなくなった心は仲間がいないからだと指摘したところから始まり、程なくしてボンと出会うところから始まるんですが、始めの印象はふざけ倒していたキャラだったのでどんなネタキャラだと。不安に思う節もありましたが、フシと共に行動する中でボン自身も城の中で過ごしているだけでは体験できないことをいろいろと経験していき、フシにとって欠かせない仲間、友達、親友として常にそばに寄り添い続け、正しい道を指し示してくれる存在にまでなっていったのは圧巻でしたね。

また、ボンの大きな特徴としてあるのは、

見えないものが見える視野。

所謂幽霊が見えてしまうボンは他の人とは違った視野や価値観を持ち合わせており、それを大いに利用し、大きな成長を遂げ王としての器を完済させる7.8話は2期の最大瞬間風速だったと思います。

この話があったからこそ、ボンが覚醒しフシをより導く存在になり、クライマックスでの大きな起爆剤となりましたし、ボンの存在があったからこそフシが人を信頼していいことを再び学べたエピソードにも繋がってきてました。

今までフシ以外は比較的普通の人を描いてきた本作にとってボンはイレギュラー的な存在になりますが、それでも『不滅のあなたへ』らしさが損なわれずにむしろボンがいなかったら『不滅のあなたへ』は成立しないと言わしめるほどにまでなってますから、改めてボンという人物の突き抜けた描き方の良さに脱帽してしまいます。

 

ハヤセさんの子孫であるカハクやボンと旅していく中で訪れるノッカーからの大襲撃が2期のクライマックス。

ノッカーの襲撃に備え根を張り感覚を伸ばすという新たな技を習得したフシが大暴れしていきますが、それも万能ではなく限界が近づいた中で、満を持して徐々に明かされていくフシの真の能力の数々は興奮しましたね。

我々視聴者から見ると、真の能力はボンが早々に気付いた段階で認知していたんですが、それをボンがフシに伝えるタイミングがよく考えられてるなと心底感じられました。

ノッカーという目に見える敵が目前に迫り、兵士たちや仲間やフシが疲弊していく中で新たな情報をフシに流しこみフシが何も考えられなくなっていく様子や、意図せず蘇ったマーチがフシを探して彷徨う様など、真の能力を知っていた我々でさえもあまりの情報過多に何も考えられなくなっていき整理がつかなくなっていく様など、もう何も考えたくないのに面白いだけが先行していく様は圧巻そのものでしたね。

また、見えないものが見えるボンの能力を最大限活かしたフシのもう一つの真の能力が種明かしされる第18.19話は反則でした...

フシがその能力に気付くために必要になるのはボンの死である事を我々視聴者が一番理解するタイミングでそれが訪れるのでもう...もう!という感じで、どうして『不滅のあなたへ』はこういうことを平気でできるんだ!と言いたくなることが待ち構えてるので頭がおかしくなりそうでしたね。

ただ、その後に待ち構えていた幸せ・希望が大きくそれを上回ってくれたので、今回ばかりは許してあげることにするとします。

 

1期の短中編の組み合わせで、大切な人の死を起点にフシが成長していく物語とは異なる構成がなされた、中長編で構成される2期。

個人的には1期のマーチ編のエピソードが今も尚記憶に深く刻み込まれてるので、そのような物語が見たかったという願望もありましたが、ボンと共に歩み「フシが生きる理由」「終わりのない旅路」にゴールが見え、大きなテーマに対するケリの付け方が見出されていく非常に重要な章だったのでもう文句はありませんね。

強いて言うなら、ハヤセさんの子孫が女性のままでフシが一晩身を委ねて愛を教え込まれる展開が2期でも描かれなかったことが残念なことぐらいでしょうか。

2期で見出されたゴールに向かうための道が整備され、1期の土台に2期の骨組み、そして3期で完成に近付くであろう『不滅のあなたへ』は早々に3期も決定しましたし、まだ観てない方には是非とも見ていただきたいですね。

命の生死という非常に重いテーマを掲げる作品で、それに対するアプローチも非常に上手く、フシが感じ取っているものもそれにより深く共鳴できるので見応えがあります。是非。

 

ハヤセさんの愛を見返したい?

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『不滅のあなたへ』