れおぱるレビュー

『大正オトメ御伽話』

オススメ度 A

 

あらすじ

 

大正十年。事故であらゆるものを失い、山奥に追いやられた志磨珠彦。世を嫌うペシミストとなった彼のもとへ、ある日、白無垢の少女がやってくる。彼女の名前は夕月。珠彦の妻となるべく、父親に買われてきた少女だった。冷たく突き放すも、夕月は甲斐甲斐しく接してきて……。朽ち果てかけていた珠彦の生活が、一変する。

引用元:第一話 | TVアニメ「大正オトメ御伽話」公式サイト

©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

どうも!アニメや漫画で映し出される大正時代というものはどうしてこんなにも美しいんでしょうね...

れおぱるレビューです!!!

 

大正時代を珠彦として生き、夕月ちゃんと結婚したかった以外の感想がない私ですけども...面白いアニメでしたね。

 

時は大正。

事故で片腕の自由を失ってしまい、名家志麻家から追い出された珠彦の元へ、金で買われた夕月が世話をしにやってくるという物語。

事故で片腕の自由を失ってしまってから、珠彦はこの世の全てを恨むようになってしまい、次第に塞ぎ込むようになってしまうのですが、夕月ちゃんの存在というものが非常に大きなもので、珠彦の人生を180度変えてしまう人物として描かれていました。

元は金で買われた身ですので、珠彦に出して愛が成立するのか?と疑問に思うかもしれませんが、珠彦に愛を向けるようになった描写というものが丁寧に描かれており、物凄く納得した形で物語が見れますよ。

というのも、珠彦に会う前から珠彦が置かれている境遇を知らされていた夕月は珠彦を大変不憫に思い、世話だけはちゃんとしないとと珠彦の元に使うわけですが、そこで珠彦から向けられた不器用すぎるほどの優しさに次第に惹かれ、同情が愛情に変わっていく様はなんとも美しく、非常に素晴らしいなと感じさせられました。

 

その次第に愛に変わっていく感情の描写は夕月だけに留まらず、珠彦自身にも表れていたことが物語全体の美しさを加速させていましたね。

この世の全てを恨み、塞ぎ込んできた珠彦でしたが、根にある優しさというものを夕月に見破られ、日々愛を注がれ、人に愛されることを知る中で、次第に前を向くようになり、ここまで自分を変えてくれた夕月を愛すようになる描写はこれまた美しく、それに伴い、珠彦が変わる事でつまらなかった人生が一変して楽しくなっていく様子というものも描かれており、この辺も全体的に美しいなという印象を抱くような要因になっていたと感じます。

 

そして、この物語の面白さはそれだけに留まらず、関東大震災という非日常的な自然災害も描かれ、そこで愛を確かなものにしていくというストーリーも、うまかったですねぇ。

関東大震災が起こった直後、たまたま東京にいた夕月を真っ先に心配した珠彦は、千葉から歩いて東京まで向かい、夕月を捜索し続け再会を果たすというクライマックスが描かれていましたが、この非日常的なクライマックスで、関東大震災以前に描いてきたなんの変哲もない日常がとてつもなくかけがえのない日常として記憶を刺激されるようになる、物語の緩急の付け方。

また、非日常的な極限状態を体験する事で、今まで口に出して伝えてこなかったいろんなことを非常に後悔し、再会すると同時にお互いにそれが爆発し、育んできた愛が確固たるものとなる愛の物語。

この辺りの物語構成が非常にうまく、初心な恋愛を取り扱った作品はいくらでもありますが、その有象無象に生まれないような物語のシンプルな強さというものも感じることができ、非常に満足のいくアニメだったなぁと思わされました。

 

描いてる時代が大正ということもあり、現代とは違い、男性の一二歩後ろの位置を歩き、常に男性を支える女性像が描かれていたのも、時代背景に合ったものでしたので、その辺の設定の活かし方のうまさというものも際立っていましたね。

世界を救うようなアツい物語ではありませんが、こういう2人の男女が愛を確かなものにしていく物語というものはいつの時代でも求められていることで、本作はその求められていることにしっかり応え素晴らしいものを見せてくれたので、文句なしです。

非常に美しいものを見させていただきました。