れおぱるレビュー

『僕のヒーローアカデミア 第6期』

オススメ度 SS

 

OP1: S

ED1: S

OP2: S

ED2: S

作画: SS

わちゃわちゃ: B

 

あらすじだぜ!少年!

 

ホークスの内偵により、死柄木率いる敵ヴィラン勢力“超常解放戦線線”の決起の情報を得たプロヒーローと警察は、敵ヴィラン一斉確保のために集結、最大規模の作戦に臨む。そこには、デクたち雄英高校ヒーロー科の生徒たちの姿もあった。そしていよいよヒーローたちが“超常解放戦線”のアジトである群訝山荘と、ドクターこと殻木球大のいる蛇腔病院に突入!エンデヴァーたちは早速ドクターを補足するが、そこに大量の脳無が出現!一気に戦いへとなだれ込んでいく。いよいよ、ヒーローと敵ヴィランの全面戦争へ―!

引用元:EPISODES|TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』

© 堀越耕平集英社僕のヒーローアカデミア製作委員会

 

第6期が来た!

そして私も6度目の来たーーーー!!!!

という事でれおぱるレビューです!!!

 

16年春から続く『僕のヒーローアカデミア』ももう6期に突入したんだな...と感情に浸るままなく怒涛の勢いで描かれる集大成と呼ぶに相応しい6期、

圧巻の一言でしたね。

 

5期のラストで描かれた超常解放戦線が行動しだす前に叩こうとヒーロー側が動きだすところから始まる第6期。

5期でヴィラン連合をほぼ1クール通して掘り下げていることにより、ヒーロー側だけでなくヴィラン側の思惑を深く汲み取れるような戦闘が描かれていたのは最高でしたね...

ヒーローが主役の作品で間違い無いんですが、ヴィラン側の思惑や思考を痛いほど汲み取れるまでに5期で感情移入できていたので、誰対誰の戦闘が起ころうとも、ヒーローやヴィランに限らず誰もが主役級の動きができてしまう環境がここで作り上げられ爆発していた群訝山荘線はシビれたの一言でしたね...

5期分の積み重ねがあるとかどうとか以前に、物語の紡ぎ方そのものがここに向けてのものだったんだと戦闘の中で汲み取れるのもまさに圧巻で、

必要に応じてヒーロー側もヴィラン側も掘り下げ・覚醒がなされているので、ただ深掘りされているだけではないとんでもない物語に昇華していたように感じました。

それを象徴するかのようなエピソードは、第116話。

5期で掘り下げ・覚醒がなされたトゥワイスがメインになる話ですが、トゥワイスのバックボーンを我々が知っていることにより、ただヒーローがヴィランを駆逐するという物語ではなく、双方の正義がぶつかり合う意地の張り合いになっており、どちらの主張も正しく感じてしまうというとんでもないものが描かれてたのはすご過ぎました...

この集大成とも言える6期を象徴するようなエピソードが開始3話目にして描かれるんですから、後はもうただ映し出されるものを指を加えて見ることしかできないレベルのものになっていたのも圧巻と呼ぶに相応しいですね。

 

そして訪れる死柄木の目覚め。

同じ強大な能力の継承者として対比され続けたデクと死柄木。

オール・フォー・ワンやオールマイトが現役から退く形になったことで失われていた正義の象徴と悪の象徴にハマるべくして描かれ続けた2人でしたが、死柄木のほうが先に悪の象徴としての目覚めを果たしてしまい、ただでさえ上手くいかない超常解放戦線線にとんでもない絶望を与えもうダメだと何度も思えるほどの力をつけていて震えが止まりませんでした。

6期に至るまでにいろんな敵が描かれ対峙し続けてきましたが、ここまでどうにもならない存在というものは我々にとっても初めてのことで、絶望しか感じない目覚めの描き方が物凄かったですね。

また、一見死柄木に関係ないように思えていた過去の敵達の思惑もここで死柄木に集約されるようにまとまっていき、意外なところで絶望の繋がりを見せ始めるという畳み掛け方も物凄く、

1期第1話から紡いできた物語が全部ここに集約されているかのような勢いにも感じ、ヴィラン面でもまさしく集大成と呼ぶに相応しい物語全体を通しての描き方は脱帽でしたね。

 

ヴィラン側の掘り下げ方のすごさに目が行きがちな1クール目ですが、もちろんヒーロー側も5期分の積み重ねがあるので物凄いのは確かなんですが、ここでも猛威を振るってくるのはここまで描いてきたもの全てだったことも物語全体を見渡した時の面白さに直結してしまうのも6期の凄いところ。

ヒーロー側の成長は5期までに死ぬほどと言っていいほど描き尽くしてきており、これ以上あるのか?と思えるレベルに達してきておりますが、6期で描かれるのは、積み重ねによる成長ではなく、

積み重ねによる絶望。

ここまでヒーロー達を十分掘り下げてきたからこそ失うときの反動が大きくなっていることを利用し、今までになかった総力戦で次々と失っていく戦力。

その失われていくヒーロー達の大切さを視聴者自身が1番わかっているからこそ「あの人がやられたのならもうダメだ」に繋げてしまうことができ、死柄木の目覚めによる絶望にさらに絶望が上乗せされとんでもない空間を作り出していました...

ヒーロー達が勝つことにより面白さを見出してきた作品でしたが、まさかヒーロー達が負け同然の引き分けをすることにこれ以上にない絶望が加算され面白みをここまで感じるとは思っていなかったので、この面白さを感じ取る面でも今までにないが徹底されているなとひしひしと感じました。

 

そして2クール目。

絶望の中でも絶望を打開する決定的な一打にならなくともみんなで繋いできた攻撃が一縷の希望として輝いた1クール目ラストも虚しく崩れ落ちてしまうかのように始まる本当の地獄。

手に負えないヴィラン達が収容される刑務所が襲撃されたことで、世に解き放たれる凶悪犯達を前にして、敗北を喫したヒーロー達は信頼できないと暴徒化した一般市民達による個性の行使が絶望を地獄に変えていた描き方は、物語的には最悪ながらも物語全体を見た時には凄いなと言わざるを得ない事を描いていてここでも圧巻でしたね。

個性を持つことが当たり前になっている世界で、個性を公の場で使えるのがヒーローだけという設定レベルからこの問題が浮上することが露見しており、個性を自由に使うことを訴え続けてきたヴィラン達の主張が正しいかのように思える見せ方は凄すぎます。

ヴィラン達の掘り下げがあってこそ感じる凄さなどではなく、掘り下げられる前から、具体例を挙げるならVSステインの時からヴィラン側の主張が妙に納得できてしまうのは設定レベルの伏線があったからかと思い知らされるような起こるべくして起こった展開はシンプルにストーリーが面白過ぎました。

今まで描いてきたもの全てはこれを描く為だったかと。

今までの全てをここに注ぎ込む集大成がここでも光っており本当に怒涛と呼ぶに相応しい第6期でした。

 

そして、その地獄から這い上がってくるのが『僕のヒーローアカデミア』らしさがより一層輝く部分。

信頼が崩壊してしまったヒーロー達が再び信頼を取り戻すために動き始めるのも2クール目。

ヒーローが何故ヒーローを志し、ヴィランが何故ヴィランになってしまったのかという、表面上の善悪だけでなく、人そのものの生き方にスポットを当てた荼毘とホークスの掘り下げは面白さを加速させていましたね。

ヴィランも最初からヴィランを志したわけではなく、ヴィランになるしかなかった経験をしたからこそ。

また、ヒーローは一歩間違えればいつでもヴィランになってしまう危険が隣り合わせていると明確に提示されることにより、ただ己の正義を主張するだけの戦いではないもっと深い何かとして物語全体が描き直されているかのような掘り下げも今までにないもので素晴らしかった。

 

そして、ヒーローを負けたままでは終わらせない為に行われる第6期最大のイベントにして物語全体の最大のイベントとも呼べるデクの覚醒。

5期で明らかになったワン・フォー・オールの新能力を歴代継承者の承認を得て全開放することでデクが新たなデクとして歩み始めますが、

元々抱え込みすぎるデクだからこそみんなをこれ以上巻き込まないように間違ってはいないが間違った道を1人で歩み出してしまう。

そこで必要なのはやはりここまで共に歩み成長し、困難を乗り越え続けてきた仲間の存在。

ただ新たな能力を解放するだけの覚醒ではなく、間違った道を歩むデクをただしてくれる存在がいるからこそ、守るべきものを気付かせてくれる存在がいるからこそ初めて成立する覚醒はお見事でしたね...

全138話に渡り、デクが悩めるクラスメイト達を救い出してきたように、こんどは悩めるデクをクラスメイト達が救い出すという恩返しがなされており、

誰も手が届かないほど強くなってしまったデクだが、みんなで力を合わせれば擬似100%にだって勝る力を出すことができるという、間違ったデクをぶん殴り目覚めさせる第136話は、先んじて誕生した悪の象徴に対抗するべく生まれようとしている新たな正義の象徴になる為の第1歩にもなりますし、

オールマイトが引退すると共に言い放った、

「次は君だ」がデクに対するものでなくヒーローを志すもの全てに突き刺さりここまで突き動かしているというヒーローアカデミア要素にも大きく響いており、改めて物語全体を見渡した時の凄みがここに集約されているなと感じることができました。

 

まさしく集大成と呼ぶに相応しい第6期。

物語の大きな問題にケリはつきませんでしたが、新しい悪の象徴に生み出されてしまったこれ以上にない地獄を打開するために積み重ねられる一つ一つの必要な展開がしっかりなされていることにより、新たな正義の象徴が生まれる一歩手前にまで迫るという希望を残して次に繋げることができていたので面白い以外に言う事はありません。

新たな悪の象徴として描かれている死柄木でさえも誰も見捨てない精神によってデクの手が伸ばされようとしていたのもアツかったですね...

力の差はあれど対等な関係、仲間でありライバルである関係を1年A組に再認識させることにより、全員が全員を引っ張りあって成長していく要素も最後の最後までみっちり描かれ、改めて、

全員が主人公の物語

なんだなと久々と感じさせられましたね。

デクと死柄木だけが手の届かないほどにまで成長してしまいましたが、『僕のヒーローアカデミア』ならその手が届かないところで2人を放置せず全体のレベルを上げて2人だけに抜け駆けなんかさせない環境をこれから築いてくれると信じているので、

第7期が待ち遠しいですね。

 

第6期でももちろんあの言葉で締めますよ!

 

さらに向こうへ!

Plus Ultra!!!!!!

 

 

第5期は多分こっちだった気がするぜ!少年!!!

 

『僕のヒーローアカデミア 第5期』