れおぱるレビュー

『がっこうぐらし!』

オススメ度 S

 

OP: S

ED: S

作画: B

わちゃわちゃ: A

 

あらすじ!

 

ゆきとくるみ、りーさん、みーくんの4人は、「学園生活部」の仲良しカルテット。この部活の目的は「授業だけでは触れられない学園のさまざまな部署に親しむ」こと! 今日も、おいしいパスタに舌鼓を打ったり、園芸部の屋上庭園でプチトマトの収穫に励んだり、あるいは授業で居眠りしたり。なんだかんだと賑やかに、毎日を楽しんでいる。そんなある日、学園生活部のマスコット的存在、柴犬の太郎丸が行方不明に。学校中を探してまわるゆきたちだったが……?

引用元:STORY -TVアニメ「がっこうぐらし!」公式サイト-

©️Nitroplus海法紀光千葉サドル芳文社がっこうぐらし!製作委員会

 

どうも!窓...割れてね...?

れおぱるレビューです!!!

 

15年夏に放送された本作ですが、あれから何年経とうと色褪せる事なくゾクゾクさせ続けてくれた事に驚きが隠せませんが、言えることはただ一つ。

相変わらず面白かった!です。

 

ゾンビものの定石をしっかり物語に落とし込んでくる作品なので、ゾンビものをある程度観たことがある方ならこの先の展開にはこういうのが待ち構えていて...なんていう展開の予想がある程度出来てしまい、本作でもほぼそれ通りにことが運んでいくように描かれていますが、そんな事は関係なく面白いが持続する凄みに溢れていたように感じます。

その理由は、これをきらら作品がやっているからの一言に尽きると思います。

きらら作品の良いところというか、我々が潜在意識として刷り込まれているきらら作品らしさが先行することにより、多くの人が騙された!と言いながら恐れ慄いた第1話にきらら作品がやっているからが顕著に表れているんじゃないでしょうか。

学校の中で活動する「学園生活部」というわけのわからない部活が描かれ、活発な女の子達がわちゃわちゃ学校で暴れ回っている事で、きらら作品特有の強みを活かした作品がまた始まったなと思わせる導入部分から、まるでシャツのボタンを掛け違えたように違和感を覚えだし、それが間違いではなかったと全ての問題が解き放たれる1話のラストは圧巻の一言ですよね。

きらら作品特有のわちゃわちゃした空間のすぐ裏には目を背けたくなるような絶望が当たり前のように待ち構えておりそれが我々に叩きつけられるようかにして血塗れの教室が映し出されるシーンは何度も見返したくなる1話の完成形と言って良いほど。

それに加え、ゆきちゃんが笑顔で駆け回っている導入部分から違和感を覚えさせる為にゆきちゃんの言動とのズレを事細かに描く事で楽しいながらも不安が刺激される経験したことがない感情に陥れてくるのは、この作品が持つもの全てを活かした最高の導入と言えます。

ほんと何年経っても色褪せないなとひしひしと感じさせられました。

 

そんな衝撃の第1話からまずは我々視聴者に現状把握させるかの如く描かれる絶望の中で逞しく生きる学園生活部の日常。

ゆきちゃんがひたむきに明るい事で、どうしようもない不安に駆られることこそありませんが、日常の中に当たり前のように共存するようになっている不安の種というものは当然のことながら取り払えておらず、ここでもこの作品ならではの雰囲気が醸し出されていて本当にすごいなと感じましたね。

そして、現状把握が終わると共に浮き上がる疑問。

なぜこうなったのか。

が示される4話から6話に跨るの過去回突入は圧巻でした。

物語の構成的にも現状を把握することにより疑問がマックスに膨れ上がった段階で差し込まれる事の発端を示す過去回ですから、視聴者が欲しいと思った時に欲しいものをしっかり描いてくることにより物語の面白さの持続にも繋がっていて凄いなと感じられますし、

ストーリー的にも過去回を挟むことによって疑問が取っ払われるというよりかは、過去回を挟むことによってどうにもならない絶望を確実なものに固め上げ、更なる問題を物語に落とし込んでくる抜かりなさも感じることができて2周目ながらゾクゾクが止まりませんでしたね。

 

そして、この頃にちょうど浮上しだす問題の代表格として浮かび上がるのが、ひたむきに明るいゆきちゃんの存在です。

ゆきちゃんは第1話から学園生活部での生活を心底楽しんでいるように見受けられ、それが最初から描かれていることによって我々視聴者はそういうものだと認識してゆきちゃんの明るさを自然と受け入れていましたが、みーくんが加入することによって指摘されるめぐ姉の存在でその考えが一瞬にして覆され、大切な人を失ってしまって狂ってしまったゆきちゃんに向き合わなければならない時間に突入します。

これがもう物語の肝となる部分で、初見時も2周目もこれは凄いな...としか言えなくなるレベルの問題の提示は恐れ入りました。

みーくんに指摘されるまでは、ゆきちゃんの明るさが精神的支柱になっていると解釈するまでにゆきちゃんの存在の大きさを認める舞台が整っていたので、それが一気に崩される描き方は絶望を徹底してるなとひしひしと感じますね。

 

そして訪れるクライマックス。

ここまで描いてきた問題や不安と、絶望に絶望を重ね続けた展開が一気に押し寄せてくるクライマックスは一度観たことあるのにハラハラが止まらない内容で、生きた心地がしませんでした。

クライマックスで1番印象に残るのは、なんといっても狂ってしまったゆきちゃんが自我を取り戻すフェーズ。

これ以上にない絶望が押し寄せる中で、めぐ姉がいないことによる違和感からめぐ姉と別れることになってしまったあの日の記憶を取り戻し、ゆきちゃんが本当のゆきちゃんとして目覚めるために過去に別れを告げ未来に歩みを進めるシーンは圧巻という言葉がよく似合います。

ゆきちゃんの中で生き続けていた象徴的なめぐ姉にあの日のあの場所で別れを告げることでめぐ姉から背中を押し出される形で未来に進めますし、

地下区画で出会った物理的なめぐ姉にもみーくんが別れを告げることで後腐れなく学校を去る為の舞台を整えることができるという2重の別れはわかっているのに泣いてしまいます。

それほどまでに物語の紡ぎ方が非常にうまく、終始面白いが持続できる環境を自ら作り上げている凄みは色褪せない理由なのかなと思いました。

 

最終回では、大好きな学校に別れを告げなければならない時が訪れますが、逃げるように去るという事はせず、

あくまで学校の部活動として然るべき手段を踏んで卒業という形で学校を後にするので、この先にまた新たな物語が待ち受けているとわかる締め方なのに綺麗に締めたなと感じてしまうほど後腐れなく解決できる全ての問題を片付け学校を後にしていたので最後の最後まで素晴らしいの一言です。

押し寄せてくるゾンビ達に対しても、物語の中でちらほら描かれていた過去の記憶を刺激する形で片付けることに成功していますし、本当綺麗な最終回でした。

 

何故いまだに大学編をアニメ化しないのかという文句がある事が本作最大の弱点だと言えるほど、物語面が優れ過ぎている作品ですので、当時はまだアニメを見てなかったから見てないよって方はぜひ観てみて下さい。

太郎丸もきっと喜びますよ。