『異世界薬局』
オススメ度 B
OP: B
ED: B
作画: B
わちゃわちゃ: C
夏らしさ: C
あらすじ
世界トップクラスの薬学研究者であった薬谷 完治は目を覚ますと、宮廷薬師の名家ド・メディシス家の次男ファルマ・ド・メディシスとして転生していた。転生後の能力【神術(しんじゅつ)】にも目覚め、家庭教師のエレンに力の使い方を教わるが、ファルマの神術は常人のものを遥かに超越したものであった―
どうも!異世界は商売!という時代から、異世界は薬局だ!という時代に変わりつつありますね??
れおぱるレビューです!
薬学研究者が過労で倒れてしまい、気が付くと異世界でファルマという少年に転生しており、仕方なく暮らす中でこの世界の薬学知識は大いに間違っていることに気づき...というお話。
異世界は武力の無双というより、知識の無双の方が100倍面白いと再三言ってきた私ですが、この作品の知識の無双にはどうにも乗り切れなかった感じがします。
物語や知識の無双の見せ方自体全然悪くなく、むしろ面白いと感じているんですけど、全体的に堅苦しくしすぎな印象があったせいなのか、面白いな!と感じるのに早く続きが見たいな!とは思わなかったんですよね。
というのも、薬局アニメで記憶に新しいのは1年前の『チート薬師』。
あのアニメは様々な患者さんや依頼人が薬局に来店し、様々な症状にアプローチする薬を提供するというお話で、ストーリーそのものもライトに描かれていたので、異世界の薬局のイメージといえばこれ!という印象がものすごく残っていたんですよね。
なので、勝手な話ではあるんですけど、比較的かっちりなストーリーを展開した本作に面白みは感じたもののハマる事はなかったのではないかと感じています。
ストーリー自体は目を見張るものがありましたね。
序盤、転生したファルマは間違いだらけの薬学知識を正していく中で、女王が患っている不治の病とされる病の治療に率先して当たるというくだりは、知識の無双、前世で妹を病で亡くしてしまった悲しみから絶対治療を諦めないという心が見られ、序盤から見たいものが見れるな〜!とワクワクしていた記憶があります。
そして中盤、薬局開店に伴い、平民の方達にどうしたら薬局を受け入れてもらえるのか試行錯誤を続けたり、平民の薬剤師ギルドの人に対し適切な診断や薬の処方を見せ、言いくるめて仲間にするよりも背中で語る構図で信頼を勝ち取っていく様子など、見ていてめちゃくちゃ気持ちよかったなという印象が強く残っています。
そして、序盤と中盤で描いてきたエピソードがクライマックスへ矢印を向けていく終盤。
一見、いつもの無双して俺TUEEEをかましまくるアニメかと思ってしまいますが、なんとこのアニメは序盤と中盤で描いてきたものがクライマックスに必要不可欠だったという物語そのものの一体感を感じられる凄い脚本だったんですよね。
クライマックスで取り扱われるものはペストなんですが、異世界やファルマにとっても未知のウイルスを前にして、ファルマが正してきた薬学知識とそれについてきてくれた人達で立ち向かっていく構図はアチアチでしたよ。ほんと面白かったです。
ただ、クライマックスで急に出てきた微生物おばさんなども序盤で描かれていたら尚良かったとは感じましたけどね。
そんなストーリーは普通に面白い本作ですが、ひとつだけ残念だなって思ってしまうところが個人的にありまして、
ファルマの身体に薬学研究者が転生した後のオリジナルのファルマの意識に対するけじめの付け方。
異世界転生の際に元々あった誰かの身体に入り込んでしまうというシーンは度々描かれる設定ではありますが、元のオリジナルの意識はどう受け止めるのか描かれているか?といえば、描かれない作品が大半だと思うんですが、本作の場合はファルマがファルマではないことを父親が気付くシーンがあったので、そこを描いてくるかなとワクワクしていたんですが、結局今のファルマを受け入れる話をやっただけで、元のファルマの意識については何も触れなかったので、そこは触れて欲しかったなと感じましたね。
『本好き』でこういう元の意識について〜というエピソードがあった時はもう衝撃でしたから、この描写があるかないかっていうのは割と重要になってくる気がします。
求められている知識の無双はしっかり行い、ストーリーもしっかり組まれてて面白い作品ではありましたが、全体的に堅苦しく空気が重い印象が常に漂っていたのはよくなかったのかなと思います。
あと、時折求めてもいないバトルシーンが組み込まれるのは個人的には大反対したいですね。
総合的に振り返ってみると、面白いけど普通かなという感想になるアニメでした。