れおぱるレビュー

『時光代理人-LINK CLICK-』

オススメ度 A+

 

あらすじ

 

とある街にある「時光写真館」。トキ(程小時)は大家であるリン(喬苓)に借金を返済するため、ヒカル(陸光)とともに特殊な仕事を請け負っていた。
依頼人から預かった写真の中に“ダイブ”し撮影者の精神に乗り移り任務を遂行するのだ。
今回の依頼は大手ゲーム会社「雀徳チュエダーゲーム」の財務データを入手すること。
トキはCFOの助手・エマとなりその機会をうかがう。過酷な残業とパワハラに直面する辛い日々を送っていたエマに、母親から電話が入る。
ヒカルの指示通りに任務をこなすトキだったが、その感情は徐々にエマの心と記憶にリンクしていく。

引用元:STORY | TVアニメ「時光代理人 -LINK CLICK-」公式サイト

©bilibili/BeDream

 

どうも!中国産アニメのレビューは初めてじゃないですか?

れおぱるレビューです!!!

 

私自身、中国産アニメをあまり見てこなかったので、そんなに期待していなかったアニメなんですが...

度肝を抜かれましたね

めちゃくちゃ面白かった...!

 

写真の中に入り込んで、写真を撮った人物の過去を体験することができる能力を持つトキが、写真から数時間分の過去を読み取れる能力を持つヒカルと様々な依頼を遂行していくという物語。

簡単に言うと、タイムリープとか、タイムトラベル的な話ですが、過去に戻れる=過去を改変していいと言うわけでもなく、過去を改変してしまうととんでもないことが起きてしまうという脅しをされた上で、とてつもない問題を抱える数々の写真に潜り込んでいくという、心臓に悪いアニメでしたね。

 

まず驚かされるのが第1話。

あるデータを盗み出すために過去に入り込んだ2人を待ち受けていたのは、都会の荒波に揉まれ、今にも消えてしまいそうなほど弱っていた女性。

ほんの親切心で些細な改変をしてしまった結果、未来が変わってしまい、1話がバッドエンドで始まってしまうという日本のアニメではあまり見かけないようなとんでもない始まり方をしていたのがとてつもなく印象に残っています。

そんな脅しを1話で見せつけられて、恐る恐る見た2話では、過去の改変を行わず、ハッピーエンドが待っていたという緩急の付け方に一気にやられましたね。

過去を改変するのとしないのでは結末がここまで変わるというものを1.2話で描いてくる導入のうまさもさることながら、この1.2話の1話完結エピソードの質もめちゃくちゃ高いんですよね。

人が感動するポイントを確実に突いてくるかのような、感情移入しまくれるエピソードはもう、非常に素晴らしいとしか言えません。

しかも、それが1.2話だけでなく全体を通してエピソードの質が保たれるわけですから。

もう何をやっても面白いとしか感じられなくなる妄信状態に突入しますよ。

本作の各エピソードにはほんと期待していいと思います。

 

ちなみに、私が好きなベストエピソードは3〜5話。

死という少しの改変では絶対に変えられない変えられない過去を目の当たりにしてしまったトキが、写真の中での姿であるチェンシャオの壮絶な人生を体験するというお話。

ここで描かれる母からの無償の愛というものはもう、泣かない人いるの?と言いたくなるような描き方をしていて、今思い出しただけでも涙が出そうになってきますよ。

全話は見たくないって人にもこの3〜5話は無理矢理にでも見せてあげたいほど、気に入ってます。

 

こんな感じで、各話いろんなエピソードをやり、短編集のような雰囲気で進んでいく本作ですが、各エピソードの中でも過去を改変するしないという葛藤が描かれ、些細な改変を度々してしまうことになりますが、その場では1話のような大きな問題が起こるわけではないので、我々は完全に油断し切ってしまいがちですが、1話を無視してこないのが本作の抜かりのなさですよ。

実は1話のバッドエンドからそれ以降に描かれてきた短編集は、一つの大きな物語として繋がっており、度々繰り返してきた些細な改変がトキ達に大きくのしかかって返ってくる終盤のエピソードはもう、すごいとしか言いようがありません。

写真の中の人物を不幸にしたくて改変したわけではなく、少しでも幸せになってほしいと思いやったことなので、のしかかってくる問題が重いのなんの。

各話エピソードの繋げ方の綺麗さというものは本当に圧倒されました。

そして、各エピソードで体験してきた写真の中の人のいろんな人生で、トキは人生がいかに後悔ばかりで同時に美しいものかということを学んでいく本作が伝えたいことというものも非常に美しく、中国アニメというものを正直舐めていたなと自分自身を殴りたくなってしまいました。

 

そして、本作が伝えたいことはもう一つあると思うんです。

写真を撮ること。

皆さんは写真、撮ってますか?スマホの中身はソシャゲのスクショばかりではありませんか??

私も写真を撮らない人間なので、人のことは言えないんですが、本作を見ていると写真を撮ることの大切さに気付かされるんですよね。

幸せな感情に包まれている時や、辛い経験をしてしまった時など、全ての時に当てはまることですが今探している1秒1秒がその人の人生そのものを作り上げていっており、その歴史の瞬間を切り取ったものが写真であり、写真というものはその人の人生そのものなんだ!と伝えてきている気がして、写真を撮らない自分が恥ずかしく思えるほどでした。

本作を見て、写真を残すことの大切さに気付かされたので、私はもう写真を撮りまくってやろうと思います。

 

中国アニメの質の高さに終始驚かされる本作。

導入のつかみ方や、決してハッピーエンドだけじゃない各エピソードの完成度の高さ、物語全体の雰囲気がブレない非常に良いアニメでした。

最終回の締め方は、ものすごく驚かされるところで締まるので、1クールでキリのいいところまで描いて欲しかった人にはもしかしたら物足りないかもしれませんが、中国では2期制作が決定しているそうで、日本にも2期が輸入されるのは時間の問題かと思いますので、待ちましょう。2期を。